J-LiC上場企業サーチによると、東証プライム市場1617社のうち、3月決算の企業が1119社と全体の約69%を占めます。また、9月は3月決算企業の第2四半期にあたり、年2回配当を行う銘柄への投資を検討するには良いタイミングに当たります。そこで今回は、株式の配当の概要や配当に関する指標、効率的に配当金を受け取る方法、NISAを活用した場合の注意点などについて見ていきます。

  • 配当利回りは株価にも関係するため、過去の値動きもあわせて確認するのが重要
  • 配当性向は利益の何%を配当金に回したかを示す指標。成熟した企業は高い傾向
  • NISAを利用して配当金を非課税で受け取るには「株式数比例配分方式」を選択
【図表】東証プライム上場企業の決算月分布
東証プライム上場企業の決算月分布
※銘柄数は2025年8月15日現在(全1617社)
出所:J-LiC上場企業サーチ

株式の配当とは

株式投資で期待できる主な収益は、「値上がり益」と「配当金」です。配当金は値上がり益に比べ大きな収益は期待しづらいですが、継続的に安定した収益が期待できます。

株式の配当の原資は?

配当金は、一般的に「当期純利益」と過去の利益を積み上げた「利益剰余金」を原資として、個々の株主の株数に応じて支払われます。また、配当金は1株あたり金額が株主に通知されます。

アート投資を資産形成に!

投資した企業の業績がよく、年々利益が増えていけば、増配が期待できます。逆に赤字など業績が悪ければ減配や無配になることもあります。

株式の配当に関する指標

配当収益を期待して株式投資を行う際に確認する指標として、「配当利回り」と「配当性向」があります。

配当利回り

配当利回りは、1株当たりの年間配当金が株価(投資金額)の何%に相当するかを示す指標です。
計算式は「1株当たりの年間配当金÷株価×100」です。

また、その銘柄を保有している株主の株価(投資金額)はそれぞれ異なるため、配当利回りも異なります。

これから株を購入する場合は、予想される1株当たりの年間配当金と現在の株価から算出された配当利回りを確認しながら、銘柄を選択することになります。

配当利回りは、配当金の金額が変わらずに株価が上昇すると利回りは低下、株価が下落すると利回りは上昇します。
例えば、1株当たりの配当金が50円として、株価1,000円の時は5%(50円÷1,000円)ですが、株価が500円に下がると10%(50円÷500円)になります。
そのため、投資を検討している銘柄の過去の株価の動きも合わせて確認しておくことが必要です。

配当性向

配当性向は、当期純利益の何%を配当金に回したかを示す指標です。
計算式は「1株当たり当期配当金÷1株当たり当期純利益×100」になります。

内部留保+配当=当期純利益

配当性向は、今後の設備投資などがあまり必要ない成熟した企業が高く、積極的な設備投資などが必要な成長企業が低い傾向があります。

効率的に配当を受け取るには

配当金を効率的に受け取るには、その企業が決めた権利確定日(配当を支払う株主を決める日)を確認し、権利確定日の2営業日前(権利付最終日)まで株式を購入しておく必要があります。権利付最終日を逃してしまうと次回の配当まで待たなければなりませんので注意しましょう。

配当の権利落ち日

NISAで配当を受け取る時に注意する点

NISAの成長投資枠では、投資信託だけではなく個別株にも投資することができます。ただし、口座開設は銀行などではなく、個別株式が扱える証券会社で行うことが必要です。

配当金の受取方法には、証券口座に振り込まれる「株式数比例配分方式」と、銀行口座に振り込まれる「登録配当金受領口座方式」「個別銘柄指定方式」、郵便局などの窓口に郵便振替通知書または配当金領収書を持参して受け取る「配当金領収書方式」の4つがあります。

NISAを利用して配当金を非課税で受け取るには「株式数比例配分方式」を選択する必要があるので注意しましょう。

最後に

以上、配当の概要や配当に関する指標、効率的に配当金を受け取る方法とNISAを活用した場合の注意点について説明いたしました。
配当を重視した株式投資を考えている方の参考になれば幸いです。