コロナショックが発生したとき、初めて「恐怖指数」という言葉を聞いた人は多いのではないでしょうか。恐怖指数に連動するように作られた金融商品は、市場が暴落した際、短期的に価格が大きく上がりやすい性質があります。うまく取り入れれば暴落局面での損失を抑えられる恐怖指数連動商品について、わかりやすく解説します。

  • 恐怖指数とも呼ばれる米国のVIX指数は、株式市場の暴落時に上昇する性質がある
  • VIX指数や、日本の恐怖指数「日経平均VI」への連動を目指すETFなどがある
  • 恐怖指数に連動する金融商品は、相場が急変したときのリスクヘッジに活用できる

「恐怖指数」とも呼ばれる米国のVIX指数

VIX指数とはVolatility Indexの略称で、別名「恐怖指数」とも呼ばれる米国の指数です。

VIX指数は、米国の株価指数であるS&P500指数を対象とする「オプション取引」のボラティリティ(値動き)をもとに算出され、オプションの値動きが大きくなると上昇することから、株式市場の心理を反映する指数といわれています。市場が暴落したタイミングで注目されることが多い指数で、VIX指数の数値が高ければ高いほど、市場の先行きに不透明感が高い(懸念を感じる人が多い)ことを表す点が特徴です。

ラッセル・インベストメントspendtime

普段のVIX指数は10~20前後で推移していますが、リーマン・ショックで世界中の株式市場が暴落した際には、90近くまで指数が上昇しました。直近のコロナショックにおいても、VIX指数が一時は80を超える上昇を記録したことから、実際に市場への懸念が高い状況ほどVIX指数が上昇することがわかります。

【図表1】2020年以降のVIX指数の推移(日足、終値)
VIX指数

日本にも「日経平均VI」という指数がある

実は、日本にもVIX指数と同じ方法で算出される、日本版恐怖指数ともいえる「日経平均ボラティリティー・インデックス(日経平均VI)」が存在します。日経平均VIは日経平均株価のオプション価格から算出され、日経平均が急落する時に急上昇する特徴をもつ指数です。

これから相場が大きく下がりそうだと判断した場合は、戦略的に日経平均VIに連動するETFなどを買って、実際に相場が下がったところで売却すれば利益を得られるでしょう。ただし、予想に反して相場が安定方向に向かった場合は、日経平均VIが大きく下落して、思わぬ損失が発生することもあるため注意が必要です。

ETFなどを通じて「恐怖指数」に投資できる

個人投資家でも、恐怖指数に連動した金融商品へ気軽に投資することが可能です。ここではVIX指数や、日経平均VIへの連動を目指す代表的な商品をご紹介します。

ラッセル・インベストメントspendtime

国際のETF VIX短期先物指数(1552)

VIX指数そのものではなく、同指数を対象とした先物取引の価格を示す「S&P500VIX短期先物指数」を円換算した指数への連動を目指したETFです。

運用会社の三菱UFJ国際投信は、このETFについて「中長期的には減価する傾向がある」「短期的な投資に活用いただくことが望ましい」としています。実際に、VIX指数は2020年1月2日より2021年10月19日の方が高くなっていますが、ETFの価格は同じ期間で約6割減となっています。「恐怖指数に連動する商品は、長期的には価格が下がっていく」という性質を覚えておきましょう。

【図表2】2020年以降の『国際のETF VIX短期先物指数』の価格の推移
2020年以降の『国際のETF VIX短期先物指数』の価格の推移

NEXT NOTES 日経平均VI先物指数 ETN(2035)

日本国内の恐怖指数、日経平均VIを対象とする先物取引の価格への連動を目指した、野村アセットマネジメントが運用するETN(※)です。ETNという商品はあまり聞き慣れないかもしれませんが、ETFと同様に東証に上場しており、株式と同様の方法で売買できる商品です。

こちらのETNについても、投資リスクとして「中長期的に下落する傾向となりますので、中長期の保有には注意が必要」と書かれています。同ETNの価格は、2020年1月2日から2021年10月19日の2年弱で4分の1まで減少しました。1万円投資して、絶好のタイミングで売却すれば3万5000円以上の利益を出せますが、売り時を逃して保有し続けると7500円ほど損をしてしまう計算です。

【図表3】2020年以降の『NEXT NOTES 日経平均VI先物指数 ETN』の価格の推移
2020年以降の『NEXT NOTES 日経平均VI先物指数 ETN』の価格の推移

※ETNは「Exchange Traded Note」の略で、ETFと同様に特定の指数と連動するように作られた金融商品。ETFとの相違点は、ETN発行の際には裏付け資産を必要としないため多様な資産が投資対象になる反面、ETNを発行する金融機関の財政状況によってETNの価格が下落する可能性があること。

この他にも、完全にVIX指数と連動するわけではありませんが、VIX指数を取り入れた投資信託があります。具体的には『PayPay投信 米国株式ボラティリティ戦略(為替ヘッジなし)』『楽天ボラティリティ・ファンド』などが挙げられます。

相場が急変したときのリスクヘッジに活用

VIX指数や日経平均VIなどの恐怖指数は、株式市場が暴落するような局面で大きく上がる傾向があります。市場が安定しているときには低迷を続けますが、暴落局面が訪れたときが恐怖指数の出番です。

恐怖指数に連動するタイプの金融商品を平時に購入しておけば、リーマン・ショックやコロナショックなど、対応のしようがないように思える暴落時に値上がりし、リスクヘッジとして役立ちます。非常にクセの強い金融商品ではありますが、うまく使えば暴落のダメージを緩和する特効薬になってくれるでしょう。

メルマガ会員募集中