「預金なら安心」って本当なの? 「元本保証」って、実際に何を保障してくれるの? 実は、現金にもリスクが潜んでいるのです。本連載ではそんな「現金のリスク」を切り口に、お金のほんとうの価値を守るための資産運用について考えていきます。今回は、いわゆる地政学リスクの高まりで注目を集めている金投資を題材に、投資信託の「とあるコスト」と金利の関係について考察します。
- 金(ゴールド)への投資は、金自体の価格変動に加えて米ドルの為替の影響を受ける
- 「為替ヘッジあり」の投資信託を選べば、為替変動の影響を抑えられる
- 為替ヘッジの「ヘッジコスト」は、日本の金利が高くなれば減ることが期待できる
年明け早々の、アメリカによるベネズエラ大統領の拉致には驚きました。こうした出来事を地政学的なリスクというのでしょうか?
地政学的なリスクの折に注目されるのが、やはり有事の「金(ゴールド)」ですね。そこで、本稿では「金」への投資について、特に為替の視点から考えてみたいと思います。
「金」もNISAで買えます!
金とひと言で申し上げますと、キラキラと輝くインゴット、つまり金の延べ棒を思い出しますね。良いですね。金は貴金属店などで買うことができます。
ある貴金属店での金の価格は24,905円、1g当たりです。1kgの延べ棒にすると24,905,000円となります。この金額は、なかなか手が届かないですね。そこで、貴金属店などでは金の積み立て買いも扱っています。
ところで、金はNISA成長投資枠で買うこともできるのはご存知ですか?
NISAで買う金は、金の延べ棒などの「金そのもの」ではなく、金を資産とした投資信託もしくはETFです。
では金への投資と、株式投資と、何が違うのかを見ていくことにしましょう。

金(ゴールド)は投資信託やETFを利用すれば、NISAでも投資できる
「金」は意外とハイリスクな投資先?
金への投資と、株式投資、その違いについてです。まずは株式から見ていきましょう。
株式には、株式を発行する企業の成長があり、株式投資は企業の成長を見込んで投資することになります。企業の成長は配当金や株価上昇(=下落もあり得る)、あるいは株主優待という、具体的なパフォーマンスで実現することになります。
では、金はどうでしょうか?
そもそも金は単なる鉱物資源ですから、成長はありません。ということで配当金はありませんし、もちろん預金のような利息もありません。つまり保有している間のインカムゲインがありません。あるのは需要と供給のバランスだけです。
需要、つまり買い注文が多ければ、「金価格」(投資信託なら基準価額、ETFなら取引所価格もしくは基準価額)が上がりますし、逆に供給、売り注文の方が多ければ下がります。
加えて、金はドルで取引されることが国際的なルールです。ですので、金を取引(投資信託やETFを円で取引)する場合、ドルでの「金価格」に加え、ドルと円の為替の影響も受けることになります。
金は「安全資産の金」などとも表現されることがありますが、実際には配当金や利息はなし、需要と供給に基づいた価格変動に加え、ドルの為替変動の影響を受けます。金は結構、ハイリスクな投資先ではないでしょうか?
為替変動の影響を、完全ではないが抑えることができる投資方法も
さて、意外とハイリスクな投資先である金ですが、そのリスクのうちの一つ、為替変動の影響を抑えることができる投資の選択肢があります。「為替ヘッジあり」の投資信託です。
為替ヘッジは金だけでなく、株式や債券などを投資先とする投資信託にもあります。
ところで「為替ヘッジあり」ですと、為替変動の影響を抑えることができるということですが、何か裏はないのでしょうか?
為替ヘッジにはヘッジコストがかかる……金利ある世界、このヘッジコストに追い風?
「為替ヘッジあり」の投資信託には「ヘッジコスト」がかかります。コストということで、費用です。
このヘッジコストは信託報酬(=運用管理費用)などのコストとは異なります。ヘッジコストという費用は投資信託の基準価額に反映、つまりヘッジコストの分、投資信託の基準価格が下がることなります。つまりヘッジコストという費用を払うことで、為替変動というリスクを抑えることができる、という意味です。
ところでヘッジコストは、どうやって計算するのでしょうか?
ヘッジコストは、
ドルなどの外貨の短期金利 - 円の短期金利
という計算式で求めることができます。
円の短期金利は数年前までマイナス金利だったのは、いまだに記憶に新しいところです。マイナスだった金利も、今では「金利ある世界」です。
金利ある世界では、住宅ローンに代表される借入金利の上昇につながる一方で、定期預金や国債などの利率が魅力的なものになりつつあります。そして、金利ある世界では、「為替ヘッジあり」の投資信託のヘッジコストを減らすことができるのです。

まとめに代えて
金は意外と安全資産ではないことにお気付きいただいたと思いますが、同時にリスクのうちの一つ「為替変動」を抑える選択肢として、「為替ヘッジあり」の投資信託があることも書きました。
そして為替ヘッジにはヘッジコストという費用がかかり、金利ある世界の今、そのヘッジコストを減らすことができる、そんな時代にもなってきました。
なお、ヘッジコストという費用を払って為替変動を抑えることができる「為替ヘッジあり」ですが、同時に「為替差益を得る機会」も無くしている、とも言えます。
じゃあ、どうしたら良いの? 答えは簡単です。「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」、これら両方を走らせれば良いのです。














