配偶者や親を亡くした時に利用できる、公的年金制度のひとつ「遺族基礎年金」。今回は遺族基礎年金で受け取れる金額や条件、受給資格などについて、国民年金第1号被保険者の遺族が受け取れる「死亡一時金」「寡婦年金」の制度とあわせて解説します。

  • 子のない配偶者は、遺族基礎年金を受け取れない
  • 遺族基礎年金で受け取れる金額は、781,700円+子の加算
  • 遺族基礎年金の対象外でも、「死亡一時金」や「寡婦年金」を受け取れるかも

子のない配偶者は受け取れない

もし、家計を支える大黒柱が突然、亡くなってしまったら——。縁起でもない話ですが、どの家庭にも起こり得ることです。こうした万が一のことが起こってしまった時に、頼りになるのが「遺族基礎年金」です。

国民年金に加入している親や配偶者が亡くなった際、残された家族は遺族基礎年金を受け取れる場合があります。

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遺族基礎年金は、「子のある配偶者」あるいは「子のみ」が受給できる年金です。したがって、「子のない配偶者」は受給できません。

子のない配偶者は遺族年金を受け取れない

遺族基礎年金の受給要件は?

遺族基礎年金には、①亡くなった方の年金保険料の納付状況、②年金を受け取る方の家族構成の2つの受給要件があります。

①亡くなった方の年金保険料納付状況

下記いずれかの条件を満たす必要があります。

1)被保険者(=亡くなった方)の死亡日の前日において、保険料納付済期間(免除、学生納付特例、納付猶予の期間を含む)が加入期間の3分の2以上

2)老齢基礎年金受給資格期間が25年以上ある方が死亡した時

ただし、特例として2026年3月末までは、65歳未満であれば死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までの直近の1年間に保険料の未納が無い場合も受給の対象になります。

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②受け取る方の家族構成

冒頭でも触れましたが、遺族基礎年金を受け取るには、下記どちらかの条件に該当することが必要です。

1)子のある配偶者(配偶者の収入は850万円以下が対象)

2)子(養子縁組をしていない配偶者の子(連れ子)は対象外)

また配偶者が再婚した場合や、子が成長して「子の要件」=「18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子または、20歳未満で障害等級1級または2級の障害者」を満たさなくなった場合には支給停止になります。

遺族基礎年金で受け取れる金額は?

遺族基礎年金で受給できる金額は、老齢基礎年金の満額(40年間、保険料を納付した場合の金額)+子の加算です。2020年4月以降に受け取る遺族基礎年金額であれば、781,700円+子の加算になります。

子の加算は、第1子、第2子が各224,900円、第3子以降が各75,000円。ただし、配偶者ではなく子が遺族年金を受給する場合の加算は第2子以降についてのみ行い、子1人あたりの受給額は、年金額の総額を子の数で均等に割った額になります。

【遺族基礎年金で受け取れる金額の計算例】
遺族基礎年金の受給金額

遺族基礎年金以外の公的保障

遺族基礎年金の受給要件に該当しない場合でも、「死亡一時金」を受け取れる可能性があります。また、亡くなられた方の妻には「寡婦年金」という制度もあります。ただし、死亡一時金と寡婦年金はどちらか1つを選択して受給することになります。

死亡一時金とは

死亡一時金は、死亡日の前日において国民年金の第1号被保険者(自営業など)として3年(36か月)以上保険料を納めた期間があり、老齢基礎年金や障害基礎年金を受け取らず亡くなった方と、同一生計の遺族が受け取れる一時金です。

死亡一時金は、遺族基礎年金に比べ受け取れる人の範囲が広く、1.配偶者、2.子、3.父母、4.孫、5.祖父母、6.兄弟姉妹が対象となります。ただし、死亡一時金を受け取れるのは優先順位の高い方のみ

無くなった人に配偶者がいれば配偶者、独身で子がいない場合は、父母以下で優先順位の高い方が受け取ることになります。死亡一時金の金額は、保険料を納めた月数により12万円~32万円の範囲で支給されます。

寡婦年金とは

寡婦年金は60歳~65歳前までの間の妻(配偶者でない点に注意。夫は対象外です)が受給できる年金です。寡婦年金は、遺族基礎年金を受け取った妻も以下の要件に該当していれば受け取ることができます。

寡婦年金の受給要件は、死亡日の前日において第1号被保険者として保険料を納めた期間(免除期間含む)が10年以上ある夫が亡くなった時に、婚姻関係が継続して10年以上あり、生計を維持していた妻になります。

ただし、亡くなった夫が障害基礎年金や老齢基礎年金を受けていた場合や、妻が65歳前に繰上げ支給の老齢基礎年金を受給している場合は受給できません。

寡婦年金で受け取れる年金額は、夫の1号被保険者期間だけで計算した老齢年金基礎年金額の4分の3。例えば、夫の1号被保険者期間が10年(120か月)の場合は、
781,700円(40年間免除なく保険料を納付した場合の年金額)×(120÷480)×(3/4)=146,569円です。

遺族基礎年金、死亡一時金、寡婦年金は請求しないと受給できない

遺族基礎年金、死亡一時金、寡婦年金とも遺族が請求をしなければ受給はできません。請求には期限があり、遺族基礎年金、寡婦年金は死亡の翌日から5年、死亡一時金は2年を過ぎると時効になってしまいます。注意しましょう。