本連載では、税理士に寄せられた相談者からの質問をもとに、主に「おひとりさま」の相続に関するさまざまな疑問に答えていきます。第4回は、若くして故郷を離れ、兄弟姉妹などの親族が今どこで何をしているのかわからないというおひとりさまのケースです。

除籍謄本を頼りに相続人を探す

「バツイチ」「バツ2」などという言葉、今では無意識に使っていますが、元々は離婚された方の戸籍謄本に元妻(妻の戸籍に夫が入った場合の結婚であれば元夫)の名前の欄に大きく×をつけて籍を抜くことが語源とされています。しかし、日常生活の中で「戸籍」を意識する機会といえば、「結婚」「出産」「離婚」「死亡」の時ぐらいのことですから、まさにおひとりさまにとっては縁のないもののように感じる方も多いでしょう。

ところがこの「戸籍」は、おひとりさまが亡くなったあと、その方の親族を調べるためにたいへん重要な役目を果たしているのです。

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Q.
若いころに実家を出た後、故郷とはずっと疎遠なままでした。現在独身で子どももいません。
持ち家など多少の財産がありますが、相続人がわからないまま私が亡くなった時、どのように相続が行われるのでしょうか?

A.
警察が親族の有無を調べて、相続人が見つかればその方に相続します。
相続人がいない場合や、相続人全員が相続を放棄した場合は、家庭裁判所が「相続財産管理人」を選任し、財産の管理や清算を行います。

今回の相談者は、独身で子どももいませんが、自身の名義で戸建住宅を保有しています。当然、持ち家は相談者の財産なので、亡くなったときは相続の対象となります。両親が亡くなり、故郷の兄弟や親戚が今どこで何をしているかわからない場合、財産はどのように扱われるのでしょうか?

持ち家
おひとりさまが所有する戸建住宅は、相続人が不明な場合はどのように扱われるのか?

基本的には、警察が亡くなった方の除籍謄本を調べて、6親等までの親族に連絡します。「除籍謄本」とは、結婚や死去などによって戸籍から抜け、その戸籍に誰もいなくなったことを示す書面です。おひとりさまの場合、自身が亡くなれば、戸籍謄本に記載されている唯一の人が戸籍から抜けるため、この除籍謄本が必要となるわけです。

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除籍謄本には除籍した人(=亡くなった方)の親族に関する情報も書かれているので、警察がその情報を頼りに、親族に連絡します。その対象は「6親等までの親族」とされていますが、連載第1回で説明したように、実際に法定相続人になりうるのは直系の血族(両親、祖父母、曾祖父母……、子、孫、ひ孫……)と、兄弟姉妹およびその子なので、現実的には3親等以内、相談者の例では兄弟姉妹や甥・姪が対象になると思われます。

相続人が見つかれば、基本的にはその方が財産を相続することになります。ただ、相続人にとっては必ずしも「知らない親戚から財産がもらえる、うれしい!」とはなりません。お金や持ち家などの財産だけでなく、負の遺産(借金)があれば、それも見知らぬ相続人が相続をすることになるからです。

亡くなった方の借金を受け取りたくない場合、法定相続人は相続を放棄することができます。家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出するなどの手続きは必要となりますが、亡くなった方の負の遺産は、必ずしも親族が承継しなくても良いのです。

親族が相続を放棄したら「相続財産管理人」が清算

それでは、相続人がいなかった場合や、相続人全員が相続を放棄した場合は、亡くなった方の財産はどうなるのでしょうか? その場合は、「申立人」の申し立てにより、家庭裁判所が「相続財産管理人」を選任します。申立人は亡くなった方にとって(法定相続人にはならない)遠い親族や、身近で故人を看取った方などが行います。故人にお金を貸していた人が、その債権を回収する目的で申立人になることもあります。

家庭裁判所に選任された相続財産管理人は、亡くなった方の持ち家を売却し、借金の返済に充てるなどの手続きを行います。借金を返済して余った財産があれば、国が受け取ることになります。

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