「預金なら安心」って本当なの? 「元本保証」って、実際に何を保障してくれるの? 実は、現金にもリスクが潜んでいるのです。本連載ではそんな「現金のリスク」を切り口に、お金のほんとうの価値を守るための資産運用について考えていきます。今回は、「認めたくないものだな、自分自身の若さゆえの過ちというものを」という有名なセリフではないですが、新NISAにまつわる「過ち」のお話をお届けします。

  • 株式相場が暴落しても狼狽売りは避けたいが、あわてて買うのにも注意したい
  • NISA口座の変更は、取扱商品の追加やキャンペーンなど金融機関の動向にも注目
  • 取引画面で商品を買う際は、「どの口座で買うか」をしっかり確認することが大切

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2024年1月に鳴り物入りで始まった、いわゆる「新NISA」制度も8か月が経ちました。その間、“ブラックマンデー”もありましたね……。さて今日は「NISA失敗談」をお届けします。

売らなければ、どうということはない!

本稿のタイトルもさることながら、この見出しも、どこかで似たようなセリフを……。

アクサ・インベストメント・マネージャーズ 未来の世界を見据えて、持続的な成長が期待される企業に厳選投資

投資の世界では、持っている株式や投資信託を売却するということは、同時に「損益を確定する」ことを意味します。そのときマイナス、つまり損失ですと、NISAで投資した意味がなくなってしまいます。逆にプラスですと、プラスに対して20.315%課税のところ、NISAなら非課税ということになります。
なのでNISAを確実に活かそうとすると、何がなんでも利益を出さなければ、と言えます。果たしてNISAは本当に初心者向きなのでしょうか?

とはいえ、見出しにもあるとおり「売らなければ」損益は確定しません。「時を待つ」ことも必要です。

いわゆる「狼狽売り」は避けましょう。

方針の見直しはじっくり腰を据えて

NISAにはご存知の通り、つみたて投資枠と成長投資枠がありますね。つみたて投資枠は「投資信託の積み立て」という方針で揺らぎはないでしょう。
課題は成長投資枠です。銀行でのNISA口座開設なら、同じく「投資信託の積み立て」という方針で良いでしょう……成長投資枠での積み立ては、つみたて投資枠にはない投資信託が、選択肢として浮上します。

トラリピインタビュー

しかし証券会社でNISA口座を開設した場合、成長投資枠では株式やETF、REITなども選択肢になり得ます。当初、成長投資枠を「投資信託の積み立て」と「ETFで高配当な分配金」の併行を考えていました。しかし、あのブラックマンデーの機会を利用しようと、NISAでETFの買い付けを行ったところ、成長投資枠の残りと投資資金が……。

方針の見直しをするのなら、やはりじっくり腰を据え、キチンと計算する必要があります。

金融機関や証券会社の選択で気に留めること

ネット証券でNISA口座を開設しました。しかしこの証券会社では、アメリカの株式やETFなどへの投資ができません。そこで、アメリカの株式やETFは、別の証券会社の課税口座で取引することにしました。別の証券会社も、もちろんNISAの利用は可能なのですが、アメリカの株式やETFはNISA対象外です。ところが、別の証券会社は先月から「アメリカの株式やETFもNISAが利用可能」と、制度が見直されたのです。

さあて、どうしましょうか? NISAはご存知、一人一口座ですが、変更も可能です。しかしネット証券ですでにNISAを利用していますから、今年中は変更できません。来年、NISAを未使用なら、ネット証券から別の証券会社に変更もできます。しかし、今年ネット証券のNISAで投資したものは、売却しない限り、NISA口座を別の証券会社に変更した後も、ネット証券のNISAにそのまま残り続けます。管理が大変そうです。

スマートフォンで口座管理
NISA口座を変更すると、NISAで運用する投資信託などを複数の金融機関で管理するケースもあって大変そう

NISAを今まさに利用していても、制度の変更はあり得ます。特に気に留めておかなければならないのは、例えば「手数料優遇キャンペーン」や「ポイント付与キャンペーン」などですね。こうしたキャンペーンを、意外と当てにしている方も多いのではないでしょうか? その時がいつになるかはともかく……いずれ変わるかもしれない、という気持ちは持っていたほうが良さそうですね。

取引画面の操作ミスに注意

画面の操作ミス。意外とご経験のある方もいらっしゃるのでは?

あるネット証券ですと、「預かり区分」は常に「特定預かり」、つまり課税口座になっています。ですので、株式や投資信託に投資する時に、預かり区分を操作せず、そのままスルーすると、課税口座での投資になってしまいます。

取引画面のイメージ
証券会社によっては、取引画面の初期状態が特定口座(=課税口座)での投資となり、NISAを選ばなければNISAで投資ができない場合もある

また投資信託を積み立てで投資しようとする時は、「成長投資枠」と「つみたて投資枠」をキチンと選ばなくてはなりません。つみたて投資枠の対象になっている投資信託は成長投資枠とつみたて投資枠の両方で投資することが可能なのですから。

以上、本稿ではNISAの失敗事例を特集しました。

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