資産運用に慣れないうちはなんとなく難しいイメージがある株式投資。「興味はあるけれども、どの銘柄を選べばいいのかよく分からない」。そんな人は、1つのキーワードをヒントに銘柄を探していくという取り組みやすい方法があります。本連載では「健康経営」をキーワードに、具体的な銘柄も含めて紹介していきます。

SDGsに取り組む企業は年々、増加傾向にあります。元々は大企業を中心に広がっていた取り組みですが、現在では、中小企業や地方自治体などさまざまな方面に影響が広がっています。今回は、SDGsと健康経営への取り組みに力を入れている注目銘柄をご紹介します。

20万円台で買える(執筆時)「アンリツ(6754)」

創業120年を超える歴史を持ちつつ、最先端技術で進化を続ける

スマートフォンやモバイルPCといった通信機器類のデータのやり取りが、規格通りに出来ているかを検査する機械を通信計測機器と呼びます。その通信計測機器を主力事業とするのが「アンリツ」です。現在は「5G/IoT社会を支えるリーディングカンパニーになる」というビジョンの下、自動車や家電向けなど、さまざまな通信計測機器事業を国内外に展開しています。

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アンリツはSDGsと関係の深いESG指数4種類(詳しくは第2回連載にて)すべてに採用されているのを始め、その他の世界的ESG指数にも選出されています。国内では「健康経営優良法人ホワイト500」(詳しくは第4回連載にて)に3年連続選ばれるなど、外部評価の高さが際立ちます。

SDGsへの積極的な取り組みや、5G向け通信計測機器としての世界シェアの広さに加え、20万円台で100株買える手ごろさも魅力(執筆時)。放っておけない銘柄の一つです。

【図表1】アンリツの地域別売上高比率(2017年)アンリツの地域別売上高比率(2017年)
出所:「アンリツ総合レポート2018」よりMonJa作成

株主優待品も特徴的な「オムロン(6645)」

SDGsの取り組みが評価され、各種ESG指標、健康経営優良銘柄ホワイト500に選出

オムロンの製品といえば、多くの人は血圧計や体温計、体重計などをイメージするでしょう。しかし、事業の中心は、製造現場での段差の変化を検出したり、電気回路を開閉したりといった制御技術を利用した製品です。

トラリピインタビュー

SDGsの取り組みが企業価値の向上につながっていると評価され、2019年には日本経済新聞社から「SDGs戦略・経済価値賞」を受賞。同年「健康経営銘柄2019」にも選出され、その他、複数の国際的ESG評価機関からも高い評価を得ています。

また、株主優待品として自社商品の進呈が用意されていますが、もう一つ、ノーベル生理学・医学賞を受賞した山中教授が所長を務める「京都大学iPS細胞研究所への寄付」を選ぶことができるようになっています。任意とはいえ、個人投資家の利益を社会貢献活動に回す仕組みまで用意している、各方面に配慮が行き届いた注目銘柄です。

【図表2】オムロンの株主優待

①オムロンのヘルスケア商品などを進呈
100株以上保有の株主 2000円相当の商品贈呈
300株以上保有の株主 6000円相当の商品贈呈
②京都大学iPS細胞研究所iPS細胞研究基金への寄付
100株以上保有の株主 2000円の寄付
300株以上保有の株主 6000円の寄付

対象 3月31日の株主名簿に記載され、かつ100株以上保有の株主
出所:オムロンホームページよりMonJa作成

低迷するコンビニ業界でも好調な「ローソン(2651)」

新年祝賀会での代表取締役の姿勢がとても印象的だった

コンビニ業界は人手不足や店舗数の飽和といった課題があり、2019年12月には店舗数が減少に転化するなど、あまり明るい話題がありません。そんな中、ローソンは大手コンビニの中でも唯一、株価が右肩上がりの企業です。

「健康経営優良法人ホワイト500」にも大手コンビニの中では唯一、3年連続で選出され、従業員の健康促進に取り組んでいることが対外的に評価されています。SDGsについても「SDGs委員会」を独自に立ち上げ、解決課題や数値目標を掲げながら、具体的な取り組みを進めています。

竹増社長は新年祝賀会にて、「今後は、無人店舗営業のさらなる実験と検証や、従業員やお客様、地域の多様性に対応する店舗創りを行う」と身振り手振りを交えて力強くお話していました。

企業は人で成り立っている

中・長期投資を考えるときに、対象企業の情報収集をしますが、知れば知るほど、企業の人間臭さが見えてきます。

当たり前のことですが、企業は人で成り立っています。売上高や利益率など数字の面も大切ですが、健康経営・ESG・SDGsといった、一見数値化しにくいけれども、生きていく上で大切な事柄に力を入れるような、血の通った企業には良い人材が集まり、これからも発展し続けていくでしょう。

また、個人投資家としては、生命力を感じる企業に投資することが、ご自身の資産寿命を延ばすことにもつながります。企業の顔が見えてきて、もっとお近づきになりたいと思えたら、それは、投資のタイミングです。

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