資産運用に慣れないうちはなんとなく難しいイメージがある株式投資。「興味はあるけれども、どの銘柄を選べばいいのかよく分からない」。そんな人は、1つのキーワードをヒントに銘柄を探していくという取り組みやすい方法があります。本連載では「健康経営」をキーワードに、具体的な銘柄も含めて紹介していきます。

健康経営優良法人とは、健康経営に取り組む企業を認定する経済産業省の制度です。健康経営優良法人は大規模法人部門と中小企業法人部門の二つに分かれています。中でも、大規模法人部門は通称「ホワイト500」と呼ばれ、2019年度には821法人が選ばれています。

投信工房

そんな「ホワイト500」に認定されている企業の中から、自社の強みを生かして他社の健康経営をサポートする取り組みに力を入れている銘柄をご紹介します。

① ルネサンス(2378)

フィットネスクラブといえばダイエットや筋トレですが、その枠からの進化を続ける

国内フィットネス業界で売上高第3位のルネサンスは、創業40年の実績を元に、現在では健康経営支援事業にも力を入れています。

2020年春頃には、株式会社日本能率協会マネジメントセンターと共同で、健康経営を実現するための知識をeラーニング形式で提供するサービスを開始し、場所や時間を問わず健康経営の学習ができる環境作りを支援します。その他、高齢者向けの予防介護事業の全国展開や、脳卒中特化型のリハビリセンターの運営など、これからの超高齢化社会に向けた活動を積極的に行っています。

② ファンケル(4921)

無添加化粧品、サプリメント、健康食品と健康事業に20年以上携わった実績を生かし、健康経営支援事業に取り組む

ファンケルのサプリメントは通常、通信販売や店頭で購入することができますが、健康経営支援の一つとして、オフィスの食堂や休憩室などにサプリメントを置く「ファンケル置きサプリ」を展開しています。タンパク質やビタミン、ミネラルなど不足しがちな栄養素をオフィスで簡単に補うことができ、初期費用も無料という、大変利用しやすいサービスとなっています。
また、来年度から、中国へ向けたサプリメント事業の進出が予定されていますが、ロシアでもサプリメント事業を展開することになっており、サプリメント事業の販路の拡大も期待できます。

投信工房

今年9月に、キリンホールディングスがファンケルの創業者である池森賢二会長から保有株式を買い取り、筆頭株主となったことは記憶に新しいですが、池森会長は今年で82歳とのことで「判断できるうちに、最良の道筋をつけるのが責任と思った」というのが保有株式を譲渡した理由だそうです。

【図表1】株式会社ファンケルの株式分布状況(2019年9月現在)
株式会社ファンケルの株式分布状況(2019年9月現在)

出所:ファンケルホームページの株式情報よりMonJa作成

③セイコーエプソン(6724)

インクジェットプリンターだけではない、独自の脈拍測定テクノロジーを生かして健康経営を支援する

セイコーエプソンはインクジェットプリンターやスキャナーなどのプリンター事業、液晶プロジェクターや液晶パネルなどのビジュアルコミュニケーション事業、時計や産業用ロボットなどのウェアラブル・産業事業の3つが経営の大きな柱となっています。

インクジェットプリンターのイメージが強いですが、現在、健康保険組合向けに「生活習慣改善プログラム」という健康支援プログラムを提供しています。運動量や体重変化といった活動データを元に、専門の健康相談員が支援し、健康作りを継続していくというものですが、このプログラムに参加すると、エプソン独自のテクノロジーを生かして作られた「脈拍計測機能付き活動量計」を着用して、脂肪燃焼運動の計測ができるようになっています。
2018年度には「生活習慣改善プログラム」を取り入れた健康保険組合が120組合にも上り、多くの働き盛りの方の健康をサポートしています。

【図表2】セイコーエプソンの売り上げ収益割合(2018年度)
セイコーエプソンの売り上げ収益割合(2018年度)

出所:セイコーエプソンの2018年度(2019年3月期)通期決算説明会資料よりMonJa作成

健康経営をキーワードに、自社の事業に付加価値を付けてさらなる広がりを見せる

自社の主力商品や技術力を生かした商品を他社へ提供しつつ、専門外の分野との融合を図ったり、海外へ進出したりと、健康経営をキーワードにすると色々な事業の広がりを見ることができます。

次回は、健康経営と切っても切り離せないSDGsの関係について、やさしくご紹介します。