“人生100年時代“という言葉もすっかり定着したいま、個人の資産形成を後押しするために様々な税制優遇制度がつくられています。なかでも代表的なものといえば、「NISA(少額投資非課税制度)」。いったい、どのくらいの人が利用しているのでしょうか? 一般NISAとつみたてNISAの利用率を、年代別に調べてみました。
- 利用しているNISA制度の種類は、若い人ほど「つみたて派」
- NISAとつみたてNISAを合計した利用率は約13%
- 年代別で見ると、60代のNISA利用率がもっとも高い
自身の状況に合わせて選べる3種類のNISA
2014年に制度がスタートした当初は1種類しかなかったNISAも、2020年10月現在では「一般NISA」「ジュニアNISA」「つみたてNISA」の3種類に増え、下記のように自身の状況に合わせた投資スタイルを選べるようになりました。
・年間120万円までの投資が非課税になる。株や投資信託などへの投資が可能
・非課税期間は5年間で、対象は成人
・つみたてNISAとの併用は不可
【つみたてNISA】
・年間40万円までの投資が非課税になる
・金融庁が積み立て投資に適していると判断した一定の投資信託への投資が可能
・非課税期間は20年間で、対象は成人
・一般NISAとの併用はできない
【ジュニアNISA】
・年間80万円までの投資が非課税になる。株や投資信託などへの投資が可能
・非課税期間は5年間で、対象は未成年
NISA利用率は約13%
金融庁の「NISA 口座の利用状況調査(2019 年 12 月末時点)」によると、2019年12月末時点のNISA口座開設状況は以下のとおりです。
口座数 | 保有割合 | |
---|---|---|
一般&つみたてNISA合計 | 13,637,583 | 13.0% |
一般 NISA | 11,747,353 | 11.2% |
つみたてNISA | 189,230 | 1.8% |
出所:金融庁・総務省統計局のデータより編集部作成
NISA口座の開設状況は、一般NISAで約11%、つみたてNISAで約2%と、決して多くはないけれども、まあ想像通り……といったところでしょうか。両制度の仕組みの違いのほかに、一般NISAは2014年、つみたてNISAは2018年と、スタートした時期が異なる点も利用率に差が付く要因になっていそうです。
続いて、年代別にNISAの利用率をチェックしてみましょう。
一般&つみたて NISA合計 |
一般NISA | つみたてNISA | |
---|---|---|---|
全世代合計 | 13.0% | 11.2% | 1.8% |
20代 | 5.8% | 3.4% | 2.4% |
30代 | 11.7% | 8.3% | 3.4% |
40代 | 12.4% | 9.7% | 2.7% |
50代 | 14.6% | 12.5% | 2.1% |
60代 | 17.0% | 15.9% | 1.1% |
70代 | 16.4% | 15.8% | 0.5% |
80代以上 | 10.7% | 10.6% | 0.1% |
出所:金融庁・総務省統計局のデータより編集部作成
年齢とともにNISA口座開設率が上がり、30代になるとおよそ10人に1人が一般もしくはつみたてNISAの口座を開設していることがわかります。そもそも投資にまわすお金がなければNISA口座を開くことも考えにくいことから、まとまった額の貯蓄ができる30代ごろからNISAを始めよう、という人が多いのかもしれません。
反対に、60代からは口座保有率が減少傾向に。定年退職を迎え、資産形成の時代から資産取り崩しの時代へと突入し始めるのがその一因でしょう。
若い人ほど“つみたて派”
すでにNISA口座を利用している人の中では、一般NISAとつみたてNISA、どちらの方が人気なのでしょうか。年代別に調べてみた結果が下の図表です。
一目見て、若い人ほどつみたてNISAの利用率が高くなっていることが分かります。
「若い人=最近NISAを始めた人=NISA口座開設の時点で、つみたてNISA制度が存在していた」というだけでなく、「若い人=資産形成に長い期間をかけられる人=積立投資向き」という思惑もあるのかもしれません。
かくいう筆者も20代ですが、やはりNISAは“つみたて派”。投資信託の積立投資なら、一度設定してしまえばほぼ放置するだけで資産形成ができるのはとても便利です。
最もNISA利用率が高い60代でも、口座保有者はおよそ6人に1人です。まだNISAを始めていない方は、ぜひ今のうちに口座を開設し、同世代の先陣を切ってみてはいかがでしょうか?