宮崎県延岡市で保険業や資産運用のアドバイスに携わる小田初光さんが、地方で暮らす生活者のリアルな視点で、お金に関するさまざまな疑問に答えます。第5回のテーマは、投資信託の選び方。初心者にとって大きなハードルとなる、投資までの第一歩の踏み出し方についてアドバイスします。

銀行などで投資信託を勧められたら?

いままでの連載では、投資が初めての方に対して、趣味などに使ってしまうお金を将来のために投資に回して、「長くお金に働いてもらう」手段として、iDeCo、NISA、つみたてNISAなどにチャレンジする方法をアドバイスさせていただきました。
しかしながら、実際に投資を始めようと思って行動を起こすまでの決断や、行動を起こしてから遭遇するさまざまなハードルを越えるのに、思った以上に知識と勇気が必要になってくると感じているはずです。

個人型確定拠出年金(iDeCo)、つみたてNISAなどにしても、そこで買うことになる商品は「投資信託」の集合体です。そのため、初心者の方が投資を始めるためには、「投資信託」の買い方について知っておくことが必要になります。今回はこの「投資信託」をベースに、投資を始めるまでの準備について考えてみることにしましょう。

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【質問】
普通預金に少し残高があったからかもしれませんが、ある金融機関窓口で「投資信託」といわれる商品を勧められ話を聞きました。しかしですよ? 口座持っているのにまた新たな口座などよくわかりませんし、中身も専門用語のオンパレードです。結局パンフレットをもらっただけになり残念。投資に興味はあるっちゃけどハードル高! どうすればいっちゃろか?」

このような相談をされる方は非常に多いのが現状です。銀行や信用金庫で投資信託を勧められて、投資についてよく知らない方がとまどってしまうのは当然だと思います。

銀行員
預金やローンの相談のときにいきなり投資信託を勧められても、その場で決めるのはなかなか難しい

そもそも、株式や投資信託のように「お金」のはたらきで「お金の価値」を高めてもらう、いわゆる金融商品を販売するのは、主に証券会社の役割でした。預貯金を扱う銀行などと、金融商品を扱う証券会社は、昔ははっきりと区別されていました。
しかし今では、いろいろな金融機関が販売窓口となり投資信託が提供されています。特に近年は国の「ゼロ金利政策」のためにローンの金利が低くなっているため、銀行にとっては金融商品を販売して、少しでも利益を出さなければいけないという厳しい現実があります。

トラリピインタビュー

ただ、金融商品は預貯金と違って、値下がりして損失が出る可能性があります。損失の可能性について、金融機関は顧客にきちんと説明する義務があります。
最近、ある保険会社がお年寄りのお客さんに対して、適切とはいえない保険商品を大量に販売したことが社会問題になりました。販売者側の説明責任(コンプライアンス)が、これまで以上に強く問われています。私が住む延岡市でも、今まであまり金融商品を扱ってこなかった銀行などが、最近は投資信託をメインに販売しています。ほとんどの銀行はきちんと説明責任を果たしていると思いますが、もしかしたら目先の利益のために、ふさわしくない商品を売ろうとする銀行員もいるかもしれません。

銀行へ行って投資信託を勧められたとき、皆さんはどうすればいいのでしょうか?

とりあえず銀行の話を聞く、そして調べる

そこで、私が資産運用の世界に初めて入ったときに取った方法を、皆さんに提案いたします。
もし銀行などの窓口で、定期預金以外の金融商品を勧められたら、お金を働かせる機会ができてラッキーと思って、一歩踏みこんでください。せっかく銀行から投資のチャンスをいただいたのですから、とりあえず話を聞いておきましょう。

ここで重要なのは、即決はしないで、保留にしておくこと。(保留にするハードルが最初の関門ですが、頑張りましょう。笑)

銀行から帰ってきたら、勧められた投資信託の名前をインターネットで検索して、販売している証券会社を調べてみてください。そして、その中から1つの証券会社を決めて資料請求してください。

投資信託を検索
投資信託の商品名で検索すれば、その投資信託がどの金融機関で販売されているかがわかる

資料が届いたら、時間をかけて吟味します。投資初心者にとっては、資料がわかりやすい(見やすい)ことが基準になってくるかと思います。
そうです! ここで事前準備、お勉強をするのです。ネットで資料を請求するだけなら、催促されることもありませんしね。銀行窓口などで話を聞くと、「商品を買わんと申し訳ない」などの心の葛藤がありますし、時間の制約もあります。銀行で投資信託を買うか、資料請求した証券会社と取引するかは、家でゆっくり考えればいいのです。

投資信託を購入するにあたっての口座開設の手続きや証券口座の仕組み、投資信託の専門用語(資産の価格変動リスク、為替リスク、手数料、信託報酬、信託財産留保額など)は、資料をじっくり読み返して理解します。そうすることで、頭の中の整理ができてくるはずです。
もし次に銀行などで声をかけられたときは、逆に質問を投げかけてみてもいいかもしれません。例えば、銀行が強く勧めてくる商品には

「○○商品に投資すれば一年でどのくらい増えますか?」

とか、

「○○商品のデメリットを教えてください」
「手数料はどうなっていますか?」

など。事前に勉強していれば、その担当者の答えが、この人に「お金」を預けて大丈夫か? という判断材料になります。それに、投資信託のことを少しでも知っていれば、銀行の担当者と対等に話ができるので、投資に対するモチベーションにもつながります。

資産運用や投資信託のことを興味を持って調べる

次のステップですが、ここがポイント。情報収集は絶対に行わなければなりません。

何に投資をするかによってお金の増え方は大きく変わるので、投資に関する参考資料を、事前に興味を持って調べておく。投資スタイルは人それぞれで、自身の考え方、あるいは家庭や仕事などの環境によって違うものです。投資信託も、株式などの売買を専門家に任せる(アクティブ運用)のか、市場に任せる(パッシブ運用)のかで違います。何を選ぶかを、自分で決めなければなりません。

雑誌を読んで勉強
資産運用について、雑誌や本を読んで勉強してみる

「漠然と勧められたから」という理由で投資信託などを買っても、資産運用のコツはなかなか身に付きません。最初の購入時を大切にしたいものです。そのために必要なのが、事前の勉強なのです。
その手段の一つとして、当サイト「MonJa」があります。この記事を見ているということは、投資について知ろうとする気持ちがあるということですから、すでに投資の一歩を踏み出しています。自信を持ってください。

ここまでいけば、あとはどこの金融機関で購入するのか、じっくり考えて決めてくださいね。もう、めんどうな手続きのことは頭から忘れ去られていることでしょう。金融機関に口座をつくったら投資信託を購入してみて、「ほったらかして、じっくり待つ」を実践して、資産運用の第一歩を踏み出してください。応援いたします。

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