本連載は、日興アセットマネジメントの研修機関「日興AMファンドアカデミー」による、銀行や証券会社などで働く投資信託の販売担当者に向けたセミナー講義の内容を採録したものです。
〈記事提供:日興アセットマネジメント

土台と柱と器

そうした基本方針を具体的に考える助けになるかな、と思うコンセプトをここで紹介します。この絵です。

これはここ数年日興アセットがご提案している「土台と柱と器」というコンセプトで、金融資産の設計を家の建築設計にたとえたものです。世の中でよく目にするのは「投信をいかに効率的に組み合わせるか」という、ポートフォリオとか資産配分(アセットアロケーション)の話ですが、一般個人にとって大事なのは、投信や投資資産の適切な組み合わせといった難しい話ではなく、もっと大きな「預貯金も含めた全体設計」をザックリとでも行なうことではないでしょうか。

この絵で考えると、具体的に「どんな投信を、どんな目的で、どんな順番で」買っていったらいいかを自分なりに考えられるようになります。さっきの3×3=9のマスの絵は(前回記事参照)、投信の中身を整理するのに便利でしたが、いざ何かを買おうとした場合、どこから踏み出せばいいかはクリアではありません。具体的なアクションについてはこちらの絵を使って考えてみることをお勧めします。

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さて、家の建築と同じように、預貯金を含めた全体設計の場合も「下から順に上に」組み上げて行きます。ひとつずつ説明していきます。

まずは「基礎工事」から

今日の話の最初に一緒に考えたのは、60歳で5,000万円は預貯金だけでは難しい、であれば預貯金の一部を投資に振り向けて、合計で5,000万円に到達することを考えよう、ということでしたよね。したがって、今持っている預貯金のところから考え始めなければダメです。だからこの絵の一番下にあるのはコンクリートの基礎なんです。

家を造る時も、まずはコンクリートの基礎工事をします。そこがしっかりしていないことには始まりません。いざという時に使える預貯金を残さず無理な金額で投信を買ったり、「本気の積立」とは言ったものの生活に支障のある無理な金額の積立をしていたりでは、「家」は完成する前に崩れてしまいます。

「ぶれない土台」

基礎がある程度しっかり工事できたら、本格的に投信を考えます。逆に言うと、いつまでもコンクリの基礎ばかりを厚くしていても、将来のための家は建ちません。地震が怖いからと家を建てず、いつまでも基礎工事のまま野ざらしにしていては意味がありませんよね。

トラリピインタビュー

家を建てるためには、まずコンクリの基礎の上に土台を組むところから始めるはずです。「ぶれない土台」とある通り、ここは安定こそが命。いわゆるバランスファンドが有力候補となります。

さっき言った3×3のマスの複数を1つの投信でカバーしている投信のことをバランスファンドと言います。もちろん別々に、日本株の投信、世界債券の投信……と自分でマスを1個ずつ埋めてバランス型の状態を自分で作ることもできますが、こと「ぶれない土台」の作り方としてはお勧めしません。あれこれ考えず、どんと構えて放っておけることが大事だと考えるからです。

というのも、3×3の9個をバラバラに持っていると、どうしてもひとつひとつが気になってしまうはずだし、申込の手続きや報告書などの書類や手間が9個分かかってくるわけです。「土台」部分にそれは相応しくない気がするので、1つの基準価額しか出ない1つの投信を、1つか2つシンプルに持つのが良いのではないかなと思うわけです。

第20回 「前向き」と「守り」、2種類のバランスファンド
第18回 投資資産を分散して、市場に居続ける

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