「預金なら安心」って本当なの? 「元本保証」って、実際に何を保障してくれるの? 実は、現金にもリスクが潜んでいるのです。本連載ではそんな「現金のリスク」を切り口に、お金のほんとうの価値を守るための資産運用について考えていきます。前回までは米国のNYダウなどの株価指数を見てきましたが、今回は「日本のNYダウ」と呼べるかもしれない株価指数、「TOPIX Core30」について考察します。
- 東京証券取引所第一部から選ばれた30社の株価指数がTOPIX Core30
- TOPIX Core30に投資する方法は、現時点ではETFのみ
- TOPIX Core30の値動きの幅はTOPIXに近く、価格の伸びはイマイチ
「貨幣価値の下落への備え」がますます必要に
最近、日銀による物価上昇の目標について、話題にのぼることがありません(日銀の「2%の物価上昇」という目標に関しては、連載第2回をご参照ください)。新型コロナウイルス感染症への対応で、それどころではありませんね。
では、もはや「物価上昇、つまり、貨幣価値の下落への備え」は不要になった、と言い切っても良いのでしょうか?
さにあらず。筆者は、むしろ「物価上昇、つまり、貨幣価値の下落への備え」が、ますます必要になったと思っています。
2020年度の税収は、当初の見込みに比べ、8兆円ほど減って55兆円になるそうです。そのため、国債の発行額は100兆円を超えることになるそうです。
国債の発行額が100兆円を超えるのは、初めてのことだそうです。
国債の発行額が増えることが、「貨幣価値の下落」の原因の一つになる可能性が考えられます。
ところで、話は変わりますが。最近の株価上昇に違和感を覚える方も、いらっしゃるのではないでしょうか?
最近の株価上昇の理由の一つが「貨幣価値の下落」にあると、筆者はみています。
さて、プロローグが長くなってしまいましたが。
今回ご紹介するのは、前回に引き続き「まるでアクティブファンドのようなインデックスファンド」、すなわち「フェイクミートみたいなインデックスファンド」というお話です。
前回はアメリカの「配当貴族指数」について紹介しました。日本のマーケットには、「配当貴族」のようなインデックスはないのでしょうか?
TOPIX Core30……NYダウの劣化版とも揶揄されそうですが
「TOPIX Core30」という株価指数があります。NYダウも30銘柄ですから、「どうせ、アメリカの真似したのね」などと思われてしまいそうですし、実際に筆者も、TOPIX Core30の話をしたときに、「NYダウの劣化版に過ぎないのでは?」と辛辣なことを言われてしまったこともありました。
しかし、筆者はかつてこのTOPIX Core30で、1度のみならず、何度もキャピタルゲイン(値上がり益)をいただいている実績があります。
誰が何をおっしゃろうとも、「利益を得ている」という実績があれば、それに勝る主張はありませんからね。
そもそも、TOPIX Core30とは?
TOPIX Core30とは、「TOPIXニューインデックスシリーズ」の一つとして、東京証券取引所から発表されている指数(インデックス)の一つです。
東京証券取引所第一部に上場している全銘柄を対象としているのがTOPIX(東証株価指数)です。そのTOPIXの中でも、時価総額と流動性(取引量・取引のしやすさ)に特に優れた企業(=銘柄)30社が名を連ねているのが、TOPIX Core30です。
TOPIX Core30では毎年1回銘柄の入れ替えが行われていて、今年も10月30日付けで、以下の4社が入れ替えの対象になっています。「たった4社?」と思われるかもしれませんが、30社中の4社ですからね。
追加 | 除外 |
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ダイキン工業 日本電産 HOYA 伊藤忠商事 |
日本たばこ産業 キヤノン 三菱地所 東日本旅客鉄道 |
さて、「時価総額と流動性に特に優れた」という株式市場独特の言い回しを聞くと、「何だか難しそう」というイメージもありますが、TOPIX Core30の銘柄の一つひとつを見てみると、おそらく読者の皆さまもお聞きになられたことがある、馴染みの企業ばかりだと思われます。