「預金なら安心」って本当なの? 「元本保証」って、実際に何を保障してくれるの? 実は、現金にもリスクが潜んでいるのです。本連載ではそんな「現金のリスク」を切り口に、お金のほんとうの価値を守るための資産運用について考えていきます。今回は、日本株投資は銘柄選びが大切だということで、「PBR」という投資尺度をもとに銘柄を選ぶことを考えてみます。

  • 株価純資産倍率(PBR)が1倍以下の銘柄を4社選んだら、すべて値上がり
  • PBRが低ければ「割安」とみなされ、PBR1倍は「解散価値」ともいわれる
  • PBR1倍以下が必ずしも「お買い得」と言い切れないが、銘柄選びの基準にはなる

皆さん、こんにちは! 緊急事態宣言は延長されてしまいましたね。どことなく漂う閉塞感を残しつつ、Sell in Mayの時期も終わりました。6月に入り、気になるのは空模様と株価です。

2021年3月に投資した4社の全てがプラスに! どうやって選んだの?

銘柄 取得日
取得金額
評価日
評価額
A社 3月15日 5月31日
67,200円 78,100円
B社 3月23日 5月31日
987,100円 1,014,000円
C社 3月18日 5月31日
73,100円 77,000円
D社 3月8日 5月31日
252,000円 290,190円

(いずれも2021年)

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さて、本題。まずは表をご覧ください。表の4社は、いずれも今年の3月に、筆者が購入した株式の評価額と、5月末現在の評価額です。

ネット証券の口座を開設したのですが、ネット証券は株式売買手数料が安いので、ついつい調子に乗って買ってしまいました。

調子に乗ったものの、いずれもプラスです。金額は、それほど大きくはありませんが。
とはいえ、4社とも3月末の権利確定日をまたいで保有していますので、間もなく配当金を受け取ることができる、という楽しみもあります。

ところで、この4社は、筆者は、どのように選んだのでしょうか?
筆者は、これらの4社はすべて、投資尺度の一つである株価純資産倍率(PBR)を基に選んだのです。

トラリピインタビュー

これら4社に共通しているのは、筆者が投資を検討した各日の時点で、PBRが1倍以下だったのです。

株価純資産倍率(PBR)が低いと割安株?

株価純資産倍率(PBR)とは、「株価が、1株当たり純資産の何倍であるかを示す指標」です。
純資産とは、企業が持っている資産(お金や不動産など)から負債(銀行からの借金など)を除いたものの合計で、財務諸表では、貸借対照表(バランスシート)に計上している資産から負債を差し引くと計算することができます。この純資産を発行済み株数で割ったものが、「1株当たり純資産」(BPS)です。

PBRが低いと、株価が割安と判断されます。投資信託の「バリュー株ファンド」は、このPBRを活かして銘柄選びを行っています。
このように、株価純資産倍率(PBR)という“投資尺度”を活かす投資は、プロも実践しています。まさに投資の王道ですよね。

ところで、「PBRが低い」とは、何と比べて「低い」のでしょうか?
例えば、5月末日現在の日経平均株価のPBRは1.22倍でした。ですので、日経平均に採用されている個別銘柄のうち、PBRが1.22倍未満であれば、その銘柄は割安と判断できると思います。

安くて良いものを選ぶ
株式投資も普段のお買い物も、見た目の価格だけでなく、中身を見ることが大切

PBRが1倍以下=株価が解散価値以下

では、日経平均のPBR1.22倍を大きく下回る、PBRが1倍とは、どういうことなのでしょうか?

PBRが1倍の場合、その銘柄の株価は「解散価値に等しい」という言われ方がよくなされます。解散価値とは、先ほど説明した「純資産」と同じ意味です。

つまり、PBRが1倍以下ということは、株価が解散価値以下、ということなのです。実際の企業価値と比べて株価が安くなっていると考えられるので、これはお買い得銘柄と言えそうですね。

PBRが1倍以下の銘柄が本当に“お買い得”だったかは、まだわからない

さて、筆者はPBRが1倍以下の銘柄を、どうやって探したのでしょうか?

筆者がスマートフォンを利用するようになって、まだ1年足らずなのですが(時代遅れ?)、「割安株」を表示してくれるアプリがあり、そのアプリでPBRが1倍以下の「お買い得銘柄」を探し出しました。

ただし、このアプリだけで投資を決断したわけではありません。探し出した銘柄に関して、ヤフーファイナンスや四季報オンラインなどの情報に何度も目を通したうえでの投資の決断です。

ところで、ある証券会社のサイトには、「最近、株価純資産倍率(PBR)が1倍を下回ったままの銘柄も珍しくない」という記述があります。
PBRが1倍を下回ったままの理由のひとつとして、流動性の低さが考えられます。流動性の低さとは、その銘柄の売買量、つまり出来高の少なさのことです。

そもそも、この4社とも、投資してからまだ3か月も経っていません。このまま保有し続けて、株価が伸びるのか、はたまた期待とは裏腹な結果を迎えるのか。PBRが1倍以下だったというきっかけで選んだ4社が本当にお買い得だったかは、今は何ともいえません。今のところハッキリしているのは、「配当金を受け取ることができる」ということだけです。

まとめに代えて

株価純資産倍率(PBR)が割安な銘柄に投資するのは、投資信託のバリュー株ファンドなどが数多く出ていることでもわかるように、株式投資の王道とも言えるでしょう。

しかし、これまで繰り返し述べてきたように、投資とは「未知の未来への投資」です。PBRの低さだけが銘柄選びの全てではありませんし、PBRが1倍以下の銘柄が必ずしもお買い得とは言い切れません。

とはいっても、東証1部だけで、2200に近い銘柄が上場しています。銘柄を選ぶうえで、PBRが1倍以下というのは、候補を絞り込むための格好の材料となりそうです。

筆者は表で挙げた4社を持ち続けるつもりです。その後については、いずれお話ししましょう。

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