3月10日の米国シリコンバレー銀行が破綻をきっかけに世界中で金融不安が高まっています。こんな時の投資戦略について、YouTubeチャンネル「【投資家】ぽんちよ」(2023年3月22日現在登録者数37.2万人)を運営し、「投資家ぽんちよのブログ」も大人気の投資YouTuberぽんちよさんに解説していただきます。

  • シリコンバレー銀行の破綻の理由の一つは急ピッチで進めた利上げにある
  • 利上げ政策は見直しを迫られており、これが株価上昇につながる可能性もある
  • 経済にとって悪いニュースが必ずしも株式市場にとっても悪いとは限らない

シリコンバレー銀行破綻の実態と米国政府の救援

どうもこんにちは、投資YouTubeチャンネル「【投資家】ぽんちよ」や「投資家ぽんちよのブログ」を運営しているぽんちよです! 米国株相場は2023年に入り好調な相場が続き、2月には、米国を代表する株価指数であるS&P500が、約4200ポイントまで上昇しました。ただ、その後は一旦下落し、さらに最近ではシリコンバレー銀行破綻のニュースが報じられ、再び2022年のような下落相場になるんじゃないか?と不安に思う人もいるかもしれません。今回のシリコンバレー銀行の破綻は、リーマン・ショックのような暴落相場の引き金になる可能性もある一方で、むしろ株価が上昇するのではないか?という見方もあります。

ALT:S&P500のチャート2022年末からのS&P500推移(Trading Viewより筆者提供)

今回、破綻が報じられたシリコンバレー銀行は、ハイテク企業やベンチャー企業が集まるシリアルバレーを中心としたアメリカ第16位の銀行です。破綻の理由としては、以下の4ステップで考えるとわかりやすいでしょう。

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  • シリコンバレー銀行に預金を預けていたのは、ベンチャー企業が中心だった。

  • シリコンバレー銀行は、顧客からの預金を下落中の米国債券に投資することで運用していた。

  • アメリカの政策金利が上昇したことで多くのベンチャー企業の資金繰りが悪化し、シリコンバレー銀行から預金を引き出そうとした。

  • シリコンバレー銀行が大量預金引き出しに対応するため、下落中であった長期債を売却し、多額の損失が確定し破綻した。

今回の破綻により金融不安が高まったことは間違いなく、また、次々と銀行で取り付け騒ぎになるのではないか、という不安もよぎりました。ただ、今回アメリカ政府はシリコンバレー銀行預金者の預金を全額保護するという救援策を出しました。これにより、他銀行で次々と取り付け騒ぎになるのを防ぐことには成功しています。アメリカ政府の対応から「第二のリーマン・ショックを起こさない」という強い意志を感じます。

もしかしたらシリコンバレー銀行破綻が株価回復のきっかけに?

2023年2月まで回復相場だった米国株が再び下落したのは、失業率やインフレ率を加味すると金融引き締め政策・利上げがまだまだ続きそうだという悲観的な予想からでした。ただ今回のシリコンバレー銀行破綻によって、いままで通りの利上げ政策では、企業倒産の可能性もあるというリスクが改めて表面化したことによって、アメリカ政府も利上げ政策の見直しを迫られているのは間違いないでしょう。

シリコンバレー銀行破綻のイメージ
シリコンバレー銀行の破綻はリーマン・ショックの再来になるか、それとも株価上昇のきっかけになるか……

これにより、いままで株価の重石となっていた利上げ政策が転換するのであれば、今回のシリコンバレー銀行は株価上昇のきっかけにもなるんじゃないか?と予想されるわけです。

株式投資の面白いのは、例えば失業率が低下などの経済における良いニュースが株価下落を引き起こしたり、逆に悪いニュースが株価上昇のきっかけになることです。もちろん今後も相場やニュースに警戒が必要ですが、必ずしも銀行破綻が「暴落相場を引き起こす」という悲観的な予想だけではないことは頭に入れておきましょう。

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