民法の改正により、成人年齢が20歳以上から18歳以上に引き下げられました。2022年4月1日時点で18歳以上20未満の方は、成人として株式や投資信託の取引に必要な証券総合口座やNISA口座の開設が可能になります。これから投資を検討される方に向けて、「投資の勉強を兼ねた投資信託の選び方」をファイナンシャルプランナーの恩田雅之さんが紹介します。
- 勉強を兼ねた投資は少額から。投資信託が始めやすい
- 投資対象が絞られ、情報を得やすい日経平均株価に連動する投資信託が適している
- 積立投資なら、損失リスクを抑える効果が期待できる
勉強を兼ねた投資は少額から始めよう
最初からある程度まとまった資金で投資を始めると、市場環境によっては高い授業料(投資による損失のこと)を払うことになってしまう可能性があります。勉強期間中は投資金額を少額にとどめ、授業料を払う場合でも少なく抑えるようにしておきましょう。
少額から始められる代表的な投資商品として投資信託があります。後で説明しますが、積立による購入なら100円から投資できる証券会社もあります。
投資信託なら複数の銘柄に分散投資できる
ここでは投資信託(ファンド)の仕組みや特徴についてみていきます。
投資信託は多くの投資家から資金を預かり、投資のプロ(ファンドマネジャー)が運用して、その収益(値上がり益や配当・利子など)を投資家に分配する仕組みの投資商品です。投資のプロといえども思うように運用成果を上げられないこともあり、投資金額を下回る場合もあります。
投資信託の特徴は、複数の銘柄へ分散投資することにより、1つの銘柄への投資に比べ運用成果を安定させる効果が期待できることです。
投資対象は、株式以外に債券、REIT(不動産投資信託)などがあります。投資地域も国内のみ、全世界、先進国、新興国、米国、欧州などがあります。それぞれの投資信託の運用方針によって投資対象や投資地域が異なります。
運用スタイルは、日経平均やTOPIXなどの指標(インデックス)に連動する運用を目指すインデックス型と、指標を上回る運用を目指すアクティブ型に大別されます。
投資の勉強を適した投資信託はどのタイプか
投資信託のタイプは、複数の投資対象(株・債券・REITなど)に分散して投資をするタイプ(バランス型)と投資対象を株のみ(債券のみ、REITのみを投資対象とするものもある)に絞って運用するタイプの2つがあります。
投資の勉強に適した投資信託のタイプは、後者の投資対象を絞ったタイプの中で投資対象は株式、投資地域は国内に限定したものと考えられます。
勉強に適している理由として、国内の株式市場はネットや経済新聞などで情報が取りやすく日々の基準価格の変動要因を確認しやすい点が挙げられます。バランス型の場合、投資対象・投資地域の幅が広いため、基準価格の変動要因を確認しづらくなります。その点から、国内の株式市場を対象にした日経平均株価やTOPIXに連動したインデックス型の投資信託が投資の勉強に適していると言えるでしょう。
その中でも、銘柄が225社に絞られている日経平均に連動した投資信託が最適かと考えます。
購入方法は通常の投資と積立投資、どちらが適しているか
通常の投資は、投資家が購入する金額やタイミングを自由に判断して購入します。それに対し、積立投資は、投資する金額をあらかじめ決めておき、定期的に購入する投資方法です。購入のタイミングは、毎月決まった日に買い付けを行うのが一般的です。
冒頭で触れた「授業料」(投資における損失)の点から考えた場合、ドルコスト平均法により損失リスクを抑える効果が期待できる積立投資の方が適しているでしょう。
*ドルコスト平均法:定期的に一定の金額で買い付けを行うことで、価格の安い時には多く、価格の高い時には少なく購入することで平均の購入単価を抑える投資方法。
以上、投資の勉強に適した投資信託について考えてまいりました。