レポート提供:ニッセイアセットマネジメント(2019年9月26日)

  • 減速傾向のインド経済。法人税の実効税率を約10ポイント引き下げへ。
  • センセックス指数が5%上昇。企業業績の拡大予測で景気回復に期待。
  • インドのシタラマン財務相が9月20日、法人税率の引き下げを発表。景気や企業業績の回復期待などを背景に同日のインド株式(センセックス指数)は前日比で5%を超える急騰。
  • インド株式は短期的な過熱感を警戒した売りなどを消化した後、業績回復期待やRBI(インド準備銀行)の利下げ観測などを支援材料に上昇基調入りするものと思われる。

(1) インドが法人税率の引き下げを発表

インド経済は、2019年4~6月期の実質GDP(国内総生産)成長率が前年同期比で5.0%増と約6年ぶりの水準に悪化する(図表1)、2019年8月の国内新車販売が前年同月比で33%減少する(図表2)など、減速傾向を強めています。

インドのシタラマン財務相は9月20日、経済の立て直しを図るために国内企業の法人税率を従来の30%から22%に引き下げると発表しました。特別追加税(Cess)と、利益が一定基準を超えた場合に課される追加税(Surcharge)を含む実効税率は従来の約35%から25.17%に10ポイント程度引き下げられ、2019年4月にさかのぼって適用されます。また製造業について、2019年10月以降に新規設立され、2023年3月までに生産を開始する場合の実効税率は17.0%とさらに低くなります。

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同財務相の発表によると、今回の減税措置により2019会計年度(19年4月~20年3月)の歳入は1.45兆インドルピー(約2.2兆円)減少する見込みです。また、新たな法人税率は南アジアや東南アジアの中の最も低い国・地域の税率と対等な水準になるようです。

【図表1】インド実質GDP成長率
インド実質GDP成長率
出所:ブルームバーグやCEICのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

【図表2】インド国内新車販売
インド国内新車販売
出所:ブルームバーグやCEICのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

(2) インド株式市場などの反応

突然の法人税率引き下げ発表を受け、インドの株式市場は急伸しました。9月20日のセンセックス指数は前日比5.3%上昇し、23日には約2カ月ぶりに39,000台を回復して引けました。なお、20日のインドルピーも対米ドルで前日比0.7%上昇(インドルピー高)しました(図表3)。

【図表3】センセックス指数とインドルピー
センセックス指数とインドルピー
出所:ブルームバーグやCEICのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

(3) インド株式市場などの見通し

インド株式市場は、急激な上昇による短期的な過熱感を警戒した売りや戻り待ちの売りなどにより、一旦は上値が重くなるものと思われます。しかし、売り一巡後は、法人税率引き下げを受けた企業業績の拡大観測や、インド政府による新たな経済対策期待、2019年に入り8月までに4会合連続で利下げを実施したRBIの金融政策に対する思惑などが支援材料となり、上昇基調入りするものと考えます。インドルピーも対米ドルで回復傾向になるものと思われます。

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