推計1000万人。実は身近な日本のLGBT層
日本では、人口の約8%の人がLGBTを代表とするセクシャルマイノリティを自認しているといわれています。(博報堂DYグループ・LGBT研究所による平成28年「LGBTに関する意識調査」)
人口の8%とは、一体どれくらいの規模なのでしょうか。
日本の総人口を1億2693万3千人(総務省統計局・平成28年10月「人口推計」)と仮定すると、LGBT層は1015万4640人にものぼることがわかります。神奈川県の人口を上回る規模です。
ちなみに、日本の人口に占める左利きの割合や、AB型の割合は約10%。
どちらも、あなたの周りで当たり前に見かけませんか?
左利きもAB型も、統計のうえではLGBTの人口とそう大差はないはず。
そう考えると、LGBTがいっそう身近な存在に感じられるのではないでしょうか。
自治体や民間企業が後押しする“新しい家族のカタチ”
最近では国や自治体によって、LGBTの権利確保へ向けた施策が発足しつつあります。
注目すべきは、同性カップルを公的に認める「パートナーシップ制度」。
自治体主体の取り組みであり、2015年の東京都渋谷区での導入を皮切りに、東京都世田谷区や北海道札幌市、大阪府大阪市など、現在全国9自治体にまで広がっています(2018年12月時点)。
このパートナーシップ制度により、同性カップルは「結婚をしていて、夫婦としての関係性を持つ2人」という公の証明を得られます。
「友人や会社の人など、周囲の人に言いやすくなった」「社会の一員としてお墨付きを得た気がする」など、2人の関係性を堂々とオープンにできることへの喜びの声も上がっています。
しかし残念なことに、いまのところパートナーシップ制度には法的な効力がありません。たとえば相続や入院時の面会など、家族としての当然の権利が認められていません。
そこで、その権利を補う役割として、保険やウェディング、不動産など、さまざまな民間サービスが展開されつつあります。
“結婚”のような大きなライフイベントを迎えたときに、2人の将来に向けたマネープランを立てようと考えるのは、LGBTのカップルもそうでないカップルも当然同じです。
その手段の一つとして注目されているのは、“保険”。
生命(死亡)保険は、遺産分割の対象外で、一般的にはあらかじめ指定した受取人が保険金を受け取れる仕組みとなっています。
同性パートナーは、公的な相続保障がないため、本人やパートナーのどちらかの死後、残された相手が法的に配偶者として認められず、遺留分がもらえないケースもあります。
もちろん、遺言書や公正証書を事前に作成しておくという手段もありますが、それには時間やお金がかかります。
とくに公正証書の場合は、強い法的拘束力があるため、介護や年金、葬儀など幅広い領域で内容を記載しなければいけません。そのため、弁護士や行政書士などの専門家に相談するケースが多く、その都度相談料や面談が発生してしまいます。
LGBTのカップルも生命保険が利用できれば、それは「パートナーへ確実に、できるだけ多くのお金を遺したい」という想いに適したサービスといえます。
そんな想いに応えるように、最近では生命保険の保険金の受取人に同性パートナーを指定できるようにするなど、保険業界全体に大きな変革が押し寄せています。