資産運用に興味があっても、初心者にとって株式投資のハードルは高いもの。本連載では、現役の証券アナリストが株式投資の魅力や付き合い方をやさしく伝えます。

  • 株価が安くなり、見かけの配当利回りが上がっただけの株は減配リスクが高い
  • 配当性向が100%を上回る銘柄は継続性に注意。概ね30%から50%程度が妥当
  • NTT(9432)、第一生命HD(8750)、キヤノン(7751)がおすすめ

株式の配当は預貯金に比べると魅力的な水準

コロナ禍の中、若年層を中心に新たに株式投資を始める人が増えています。NISAやiDeCoなどの制度の拡充もさることながら、年金や終身雇用はあてに出来ないとの考えが広まり、資産形成に真剣に取り組む人が増えていることが背景となっているのでしょう。

低金利の昨今、利回りが確定したものではないとは言え、やはり株式の配当は預貯金に比べると魅力的な水準です。配当を目当てに株式の銘柄選びをしている方も多いでしょう。

配当狙いの投資で重要なのは、見かけの配当利回りに惑わされないことです。単に株価が安くなって見かけの配当利回りが上がっただけの株は、業績の悪化によって配当が下がる減配リスクがついてまわります

株式の配当は、通常は利益の範囲内で行われることが多いです。企業が健全な配当をしているかどうかを図る指標に配当性向があります。配当性向は企業の1株あたりの配当金を1株あたりの利益(EPSといいます)で割り算して(100倍して)求められます。

例えば、ある企業の1株あたりの配当が50円で1株あたりの利益が100円であった場合、配当性向は50%となります。配当性向が低いと配当を出す余力がたくさん残っていることになり、逆に配当性向が高く100%を上回っているような場合は利益以上に配当しているということになり、将来の配当の継続性に注意が必要です。配当性向は概ね30%から50%程度が妥当な水準でしょう。

そのような視点も加味して、おすすめの高配当株をご紹介します。

おすすめ① NTT(9432)

まずはNTT(日本電信電話)をご紹介します。2021年5月20日の終値は2858円、今期2022年3月期の予想配当金は1株110円なので、予想配当利回りは約3.8%となります。予想1株利益は299.6円で配当性向は約37%です。

NTTの魅力は現金を稼ぐ力です。傘下に国内での移動通信キャリアとして契約数1位のNTTドコモや固定電話のNTT東西などを抱え、安定した現金収入(キャッシュフロー)が続いています。

また総務省の指導により携帯端末の過度な値引きが規制されていることで、ユーザーは他のキャリアに移りにくくなっています。発表した低価格プランのアハモによる減収の影響も株価にはある程度織り込まれたとみられ、配当狙いの投資にはもってこいの株といえるでしょう。

おすすめ② 第一生命ホールディングス(8750)

次のおすすめは第一生命ホールディングスです。2021年5月20日の終値は2202.5円、今期2022年3月期の予想配当金は77円なので、予想配当利回りは3.5%と高い利回りです。予想1株利益は251.3円で配当性向は約31%です。

第一生命の魅力は純資産の額に比べた株価の割安さです。金融や保険などの業種は長引く低金利で収益力が落ちている企業が多く、成長性が低いと見られ割安な株が多いです。保険期は特に加入者から集めた資金を長期の国債などで運用するので金利水準が高いと利ざやを稼ぎやすいということになります。

米国や中国を中心に新型コロナウイルスの影響から経済活動の再開の動きが見られ、景気の体温である長期の金利は少しずつ上昇傾向にあります。いずれは日本にもこの動きが波及すると見られており先行きの収益力の回復が期待されます

おすすめ③ キヤノン(7751)

最後にキヤノンをご紹介します。2021年5月20日の終値は2551円、今期2021年12月期の予想配当金は90円なので、予想配当利回りは約3.5%とこちらも高い利回りです。予想1株利益は133.9円で配当性向は約67%です。

キヤノンの配当性向は例年少し高めなのでその分減配リスクはやや高いですが、株価の出遅れ感や業績の回復期待で取り上げました。

主力のプリンターなどの事務機やカメラは、新型コロナウイルス禍における業績の落ち込みから回復途上にあります。また、防犯カメラやヘルスケアなどの事業も立ち上がりの傾向が見られます。株価も2007年の上場来高値7450円に比べるとおよそ3分の1と低迷していますが景気回復局面での上昇余地がありそうです。

キャノンのカメラコロナ禍の収束とともに主力製品の販売が回復すれば、株価も上昇していくかも?
BLGKV / Shutterstock.com

高配当の魅力的な企業が沢山ある

今回はおすすめの高配当株3銘柄をご紹介しました。この他にもさまざまな高配当の魅力的な企業が沢山ありますので気になる企業があったら業績や配当の動向など調べてみると新たな発見がありそうです。

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