「認知症予備軍」には回復のチャンスあり
~60代母と40代息子の会話~
たけし「冷蔵庫に空いてない牛乳が3本もあるよ」
せつこ「そうなのよ。買ってあるのをつい忘れちゃって」
たけし「母さんも歳とったもんなあ。お医者さんに診てもらったら?」
せつこ「あらやだ、認知症だっていうの?」
たけし「一応だよ、一応」
せつこ「もしそうだったとしても、認知症は治せないんだから意味ないじゃない」
たけし「それもそうか」
この二人の会話、どこに誤解があるか分かりますか?
たしかに、認知症にはいまだ特効薬がなく完治することはありません。しかし、病院で診察を受け、早い段階で認知機能の衰えを知ることには大きな意味があります。その時点で適切なケアを行うことで、症状が回復したり発症を遅らせたりできる可能性があるからです。
健常者と認知症の中間には、軽度認知障害(MCI)という状態があります。いわば「認知症予備軍」です。MCIを放置すると認知機能はどんどん低下していき、認知症への移行率は1年で10%、5年で40%といわれています。逆に、適切なケアを行うことで26%が健常者へと回復するという報告もあります。MCIにいち早く気づき、対策を行うことはとても重要なのです。
MCIのケアのポイントは「運動の習慣をつくる」「認知症に効果があると認められているDHAなどの栄養素を積極的にとる」「脳を活性化させるトレーニングを行う」などが挙げられます。こうした生活改善は、日々の暮らしをより豊かにすることにもつながるでしょう。
認知機能を5分でチェックするツール
最近では、認知症予防に重きを置いた保険商品も発売されています。例えば、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命の『リンククロス 笑顔をまもる認知症保険』は、MCIを保障するユニークな商品です。自動付帯されるサービス「認知症サポートSOMPO笑顔倶楽部」には認知機能をチェックするツールが搭載されており、最短5分で自身の状態を調べることができます。
65歳以上の高齢者で認知症になる人は、2020年には631万人、2030年には830万人に増加すると推計されています。長生きすれば誰にとっても他人ごとではない認知症。がんと同じく、早期発見が大事であることを知っておいてください。
【図表】認知症患者数の将来推計(各年齢の認知症有病率が上昇する場合)
出所:「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」(平成26年度厚生労働科学研究費補助金特別研究事業)より作成