牧野あおい先生の『さよならミニスカート』には、資産運用の世界で注目度急上昇中のキーワード「ESG」を理解するヒントが満載です。

<このまんがに、無関心な女子はいても、無関係な女子はいない。>

珍念には1歳下の妹がいるので、小さい頃からいわゆる少女漫画は身近な存在。ちなみに我が家は『ひとみ』(※)派でした。

※筆者注:1991年廃刊

妹が高校生になり、『ひとみ』を卒業して『Seventeen』に鞍替えしたため、私も少女漫画と疎遠に。その後、結婚し、娘が生まれ、彼女が小学生になって『ちゃお』を読み始めたので、私もまた、少女漫画と接するようになりました。

現在中学生の娘は『Popteen』を定期購入しつつ、少年・少女問わずコミックスをジャケ買いする日々。その中から、私にも読めそうな作品を勧めてくれます。

ある日彼女が、「これ、パパ絶対面白いって思うよ」と差し出したのが『さよならミニスカート』でした。「新聞やネットでバンバン紹介されているし」

「さよならミニスカート」 異色の少女漫画が異例の大ヒット中<産経新聞>

第64回「少女漫画『さよならミニスカート』人気の秘密は?」<毎日新聞>

10代女子の“リアル”描き反響 『りぼん』の異色作品『さよならミニスカート』作者の思い<北海道新聞>

「さよならミニスカート」が描く現実 りぼん異例の表明<朝日新聞>

[特派員コラム]『82年生まれ、キム・ジヨン』と『さよならミニスカート』<ハンギョレ新聞(韓国)>

どれどれ……とコミックス1巻をめくった途端のジェットコースター展開。こ、これ、本当にJS(※)がメイン読者の『りぼん』の漫画?

※筆者注:「女子小学生」の意

テーマはアイドル、主人公は学校で唯一スラックスを履く女子生徒・神山仁那。実は、彼女は半年前まで人気絶頂のアイドルグループ「PURE CLUB」の不動のセンターでした。

しかし、雨の握手会で、パーカーを深くかぶっていたファンにナイフで腕を切られ、心と体に深い傷を負います。アイドルを引退し、髪を切り、ミニスカートと別れ、遠い街に移り、男子のようなスラックス姿で高校生活を送ります。

心を閉ざした仁那は学校では浮いた存在。そんなときに出会った同級の男子生徒・光によって、仁那の心の扉は少しずつ開いていきます。ところが、仁那の周囲は気づきます。光とナイフ犯は、外見も特徴的なクセもそっくりだと……。


『さよならミニスカート』は、少女漫画「らしくない」としてマスコミの話題に

むぅぅ~、一気読みしてしまった。アイドルと屈折したファン心理、痴漢と冤罪えんざい、女性らしさと男性らしさ……etc。『さよならミニスカート』には、今の社会が抱えるさまざまな対立や矛盾が描かれています。

ただし、作品全体は「サスペンス」仕立てなので、大人の男性でも最後の1ページまで目が離せません。読後には、これらの社会的テーマが重過ぎず軽過ぎず、絶妙な強さを伴ったメッセージとして私たちの胸に刺さります。

社会的テーマを巧みに盛り込んで多くの読者を獲得した『さよならミニスカート』。実は、資産運用の世界でも、現実社会とのつながりを重視した投資手法が注目を集めています。それが、「ESG」です。

ESGは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の略です。簡単にまとめると、ESG投資では、投資先を探すときにこれら3つの要素も重視する考え方となります。

例えば、株式投資。これまでは、本業の売り上げや利益、借金の額などの数字(=財務情報)を基に、投資先の企業を絞り込むのが一般的でした。

ESG投資では、財務情報に加えて、「地球に優しい取り組みに力を入れているか」「女性の経営幹部は増えているか」「決算をごまかしたり、品質を偽ったりする不正はないか」など、数字では表れにくい観点からも企業を比較・検討します。

「成長する企業」の考え方

●通常の株式投資
売り上げや利益が伸びている、借金が少ない……など
 ↓
財務情報

●ESG投資
「環境」「社会」「ガバナンス」など、数字以外の要素も重視
 ↓
財務方法 + 非財務情報

ESG投資を採用した投資信託も増えています。投資信託協会によると、2018年11月末時点で国内には2034本のESGタイプの投資信託が存在し、運用総額は38兆円を超えています。日本の国家予算が101兆円ですから、膨大な金額ですね。

運用の世界でESG投資が注目を集めるようになったのは、2008年のリーマン・ショックでした。それまでの企業経営や投資における行動原理の第一は「欲望」であり、「儲かればいい!」精神が世界中に蔓延まんえんしていました。

でも、行き過ぎた収益至上主義がリーマン・ショックを増幅させて、企業や個人に壊滅的なダメージを与えました。「儲けるぞ!」だけでは成功は長続きせず、ひとたびつまづけば、取返しのつかない損失を抱える時代になったのです。

そこで私たちは気づいたのです。経済や金融は特別な世界ではなく、社会という大きなフィールドの上に成り立っている空間に過ぎないと。企業経営や投資で長期に成功し続けるには、社会的テーマも考慮した検討姿勢が求められると。

個人向けの金融商品でも、ESG投資を前面に出したものが増えています。

名称に「ESG」が入った個人でも購入できる投資信託の例

One ETF ESG   
運用会社:アセットマネジメントOne
備考:ETF(上場投資信託)なので取り扱いは証券会社のみ

ダイワ上場投信-MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数
運用会社:大和証券投資信託委託
備考:ETF(上場投資信託)なので取り扱いは証券会社のみ

三井住友・日本株式ESGファンド
運用会社:三井住友アセットマネジメント
備考:証券会社のほか、一部銀行でも取り扱っている

ESG投資は、一般の認知度はまだ低いのが現実です。でも、人生100年時代を迎え、老後の備えには資産運用が重要になりつつあるのも事実でしょう。

『さよならミニスカート』ふうに言えば、「関心のない日本人は多いが、関係のない日本人はいない」ESG投資。次の金融危機が訪れる前に、社会的テーマにも配慮しながら持続的に収益を積み上げる投資を検討してみませんか。

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