レポート提供:アセットマネジメントOne(2019年4月3日)
- 3月の米製造業景気指数や中国の製造業購買担当者景気指数が市場予想を上回ったことを好感し、1日の各国株式市場は大幅に上昇。ただし、一部の項目や指数などでは依然低下傾向がみられる。
- 2日にIMFのラガルド専務理事は、世界経済の勢いは一段と失われているとの見方を示す。各国の製造業景気指数が回復基調をたどるかは、今後の動向を注視する必要があると考えられる。
3月の米製造業景気指数は小幅に持ち直し
各国の景気指数の動向が市場で注目を集めています。
1日に発表された3月の米供給管理協会(ISM)製造業景気指数は55.3と、市場予想の54.5(ブルームバーグ集計。以下、同じ)を上回り、2016年11月以来2年3カ月ぶりの低水準を記録した前月から上昇しました。内訳をみると、生産指数や新規受注指数、雇用指数が上昇していることから、今回の結果は昨年12月以降にみられた景況感の不安定な動きがいったん落ち着いていることを示す内容といえます。
一方、その他の項目では、輸出受注や輸入指数は引き続き相対的に低水準にとどまっており、米中貿易摩擦などが景況感の足を引っ張るかたちとなっています。
【図表1】ISM製造業景気指数の推移
※期間:2014年3月~2019年3月(月次)
出所:ブルームバーグのデータをもとにアセットマネジメントOne作成
IMFは世界経済に慎重な見方も
中国では、3月31日に発表された3月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.5と、市場予想の49.6を上回りました。前月からの上昇幅は7年ぶりの大きさであり、中国政府による景気対策の効果の可能性も考えられます。ただし、同指数は例年、旧正月をはさんで2月に低下した後、3月には比較的大幅に上昇する傾向がみられる点には留意が必要です。
ドイツでは、3月25日にIfo経済研究所が発表した3月の景況感指数が、7カ月ぶりに上昇に転じたことが市場の一部で注目されました。しかし、同指数のうち製造業景況感については2016年2月以来の水準へ落ち込み、依然低下傾向が続いています。
米中両国の製造業景気指数が市場予想を上回ったことを好感し、1日の各国株式市場は大幅に上昇しました。その後、2日に国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は、年初来世界経済の勢いは一段と失われているとの見方を示しており、各国の製造業景気指数が回復基調をたどるかは引き続き、今後の動向を注視する必要があると考えられます。
【図表2】各国の製造業景気指数の推移
※期間:2014年3月~2019年3月(月次)
出所:ブルームバーグのデータをもとにアセットマネジメントOne作成
【ご注意事項】
当記事は、情報提供を目的とするものであり、投資家に対する投資勧誘を目的とするものではありません。
当記事は、アセットマネジメントOne株式会社が信頼できると判断したデータにより作成しておりますが、その内容の完全性、正確性について、同社が保証するものではありません。また掲載データは過去の実績であり、将来の運用成果を保証するものではありません。
当記事における内容は作成時点のものであり、今後予告なく変更される場合があります。
【指数の著作権等】
ISM製造業景気指数は全米供給管理協会が発表する指数です。