レポート提供:アセットマネジメントOne(2019年6月14日)

  • 5月以降の各国・地域の通貨のパフォーマンスについては、トルコリラとアルゼンチンペソの上昇がみられる。一方、下落が目立つのは資源国通貨。豪ドルは利下げや追加利下げの可能性も影響か。
  • 安全通貨とされる円やスイスフランは上昇したものの、各々の通貨上昇・下落の背景を考慮すると、総じてリスク回避の動きとは異なる要因が足もとの各国の通貨に影響していると思われる。

世界の金融市場は5月上旬以降、米中貿易摩擦が拡大するとの懸念などを背景に不安定な動きとなりました。6月に入ると米国株が反発するなど、市場は総じて落ち着いているようにみえます。

こうしたなか、各国・地域の通貨のパフォーマンスは5月以降、どのようなものとなっているでしょうか。

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トルコとアルゼンチンの通貨が足もと上昇

全体としては比較的小幅な動きにとどまるなか、高インフレや多額の経常赤字など、ぜい弱な経済を抱えるトルコリラとアルゼンチンペソの上昇がみられます。

トルコは、3月の選挙結果への異議申し立てから最大都市イスタンブール市長選が6月23日に再選挙となるなど政治的混乱は続いています。ただし、1-3月期の国内総生産(GDP)が前期比+1.3%と、2018年10‐12月期の同-2.4%からプラスに転じるなど経済面での懸念は一時と比べやや和らいでいると思われます。

アルゼンチンは、経済改革に対する不満などから支持が低下していたマクリ大統領の10月の大統領選挙における再選の可能性が指摘され、足もとでペソは反発しました。また、両国通貨は2月以降、下落基調が続いたこともあり、買い戻しの可能性も考えられます。

【図表1】各国・地域の通貨 騰落率
【図表1】各国・地域の通貨 騰落率

※期間:2019年4月30日~2019年6月13日(日次)
ブルームバーグ算出のランキングから任意で抽出
騰落率は対米ドル
出所:ブルームバーグのデータをもとにアセットマネジメントOne作成

下落が目立つのは資源国通貨

一方、下落が目立つのは資源国通貨であり、原油など商品市況の動きが6月以降、株式市場と比較して軟調であることと整合的といえます。このうち、豪ドルについては、オーストラリア準備銀行による2年10カ月ぶりの利下げと今後の追加利下げの可能性も影響したとみられます。

安全通貨とされる円やスイスフランは上昇したものの、各々の通貨上昇・下落の背景を考慮すると、総じてリスク回避の動きとは異なる要因が足もとの各国の通貨に影響していると思われます。

【図表2】トルコリラとアルゼンチンペソの推移
【図表2】トルコリラとアルゼンチンペソの推移

※期間:2018年12月31日~2019年6月13日(日次)
出所:ブルームバーグのデータをもとにアセットマネジメントOne作成

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