レポート提供:アセットマネジメントOne(2019年8月29日)
- ドイツIfo経済研究所の8月の景況感指数は5カ月連続で低下し、2012年11月以来の低水準。4‐6月期の同国のGDPが前期比-0.1%とマイナス成長を記録し、足もとの景気後退が懸念される状況に。
- 一方、中国や米国の工業・製造業指標には足もとでやや持ち直しの兆しも。ドイツの景気悪化には留意が必要も、米国や中国の製造業は、懸念されているほど実態は悪くない可能性が考えられる。
ドイツの景況感指数は5カ月連続で低下
26日にドイツのIfo経済研究所が発表した8月の景況感指数は94.3と、5カ月連続で低下し、2012年11月以来の低水準となりました。内訳をみると、景況感指数と現況指数、期待指数のいずれも市場予想(ブルームバーグ集計。以下、同じ。)よりも大幅に低下しました。このうち期待指数は91.3と、およそ10年ぶりの低水準を記録しました。このほか同景況感指数のうち、製造業(食品を除く)については2009年12月以来、9年8カ月ぶりの低水準を記録しました。
27日に発表された4‐6月期のドイツの国内総生産(GDP)の確報値が前期比-0.1%と、過去4四半期で2回目のマイナス成長を記録し、ドイツは足もとで景気後退が懸念される状況となっています。
【図表1】製造業景気指数の推移
※期間:2014年8月~2019年8月(月次)
米:ISM製造業景気指数と中国:製造業PMIは2019年7月まで
出所:ブルームバーグのデータをもとにアセットマネジメントOne作成
中国や米国ではやや持ち直しの兆し
一方、中国では、27日に発表された7月の工業利益が前年同月比+2.6%と、前月の同-3.1%からプラスに転じました。前年と比較した価格上昇などが要因との見方はあるものの、製造業を中心に広範な改善がみられ、足もとで悪化傾向に歯止めがかかりつつある様子がうかがえます。このほか、先に発表された7月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.7と、市場予想の49.6を小幅に上回って4カ月ぶりに上昇し、新規輸出受注指数も上昇に転じました。
また、米国では7月の米供給管理協会(ISM)製造業景気指数は市場予想を下回り、4カ月連続で低下したものの、8月のニューヨークおよびフィラデルフィアの各連銀製造業景気指数は、ともに市場予想を上回り、足もとでやや持ち直しの兆しがみられます。
こうしたことなどから、ドイツの景気悪化には留意が必要であるものの、米国や中国の製造業は、市場で懸念されているほど足もとの実態は悪くない可能性が考えられます。
【図表2】中国 工業利益の推移
※期間:2014年7月~2019年7月(月次)
春節の影響を考慮し、1・2月分は公表なし
出所:ブルームバーグのデータをもとにアセットマネジメントOne作成
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【指数の著作権等】
ISM製造業景気指数は全米供給管理協会が発表する指数です。