何かにコントロールされている方が楽かもしれない
くきわかめ- 石川県の金沢ご出身なんですよね。
るってぃ- はい。実は東京に出てくる以前、5年くらい前までは、こんな地方にとどまってちゃいけないと思い込んでいました。それが最近では、金沢はいいところだなと思うようになってきてまして。いま無性に故郷が恋しいです。
自分の地元のことをもっと知りたくて、数カ月間でも帰郷して、金沢の歴史や文化、芸術についてじっくり勉強したいなと考えています。
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くきわかめ- 何について勉強したいとかあるんですか。
るってぃ- 金沢出身の仏教哲学者、鈴木大拙さんのこととか。日本の禅について英語で執筆して、海外に広めた方です。その友人で哲学者の西田幾多郎さんにも興味があります。
くきわかめ- 金沢はたしかに歴史も文化も芸術も、興味深いですよね。
るってぃさんは最近、アート作品も作成していらっしゃいますよね。
るってぃ- はい。これまでブログやTwitter、YouTubeなどを通して、一生懸命自分の考えや体験談を発信してきました。それが誰かの役に立つかもと思って。
それで感じたのは、伝えるって難しいです。もちろん、僕の考えが100%理解されるとか受け入れてもらえるとは思っていません。ただ、言葉にすると誤解されることも少なくない。
それがもどかしくて、何か方法はないかと。そんなときアートに出会いました。
くきわかめ- るってぃさんの作品を見たとき、ジャクソン・ポロック※みたい(というのは言い過ぎかもしれないが)で、カッコいいと思いました。
- ※20世紀のアメリカを代表する抽象表現主義の画家。アクション・ペイティングという独自の制作スタイルを生み出した。
るってぃ- 僕のブログを読んで、会社をやめてフリーランスになる方もいます。でも、続けることは難しいみたいで。
会社に再就職する方や、うまくいかなくてメンタルが病んでしまう方もいます。
何かにコントロールされている方が、自分を委ねられる分、楽なのかも知れないですね。
くきわかめ- たしかに管理されている方が、自分で考えなくて済むので気が楽ですよね。
るってぃ- そうなんです。やってみて思ったんですが、でも何にも縛られない環境で、自由に生きるって難しいです。コントロールする方法を学ばなきゃいけないですね。
- 僕自身もまだまだ勉強中なのですが、こうした生き方は、すごく教養や知識が問われると思います。僕は全然、足りていない。もっと勉強したいです。
くきわかめ- 自由に生きることと、ラクをして生きることは違うのかも知れませんね。
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むしろ一人でがんばってはいけないんです
るってぃさんは問題意識の強い人。プロ無職という言葉のイメージとは裏腹に、自分自身の生き方はもちろん、今の社会で悩みを抱える他人の生き方についても真面目に考えている。
るってぃ- プロ無職なんていう活動をしていて思うのは、「他人に依存する、誰かを頼る」ことの大切さ。自由に生きたいなんて言いながら、矛盾しているように聞こえるかもしれませんが……。自由に生きる=独立して生きる、ことではないし、むしろ一人でがんばってはいけないんです。
- 少し話は飛びますが、ネットで日本人の自殺率の高さについて書かれた記事に、「日本では“助けて”と言うことが、自殺することより難しい」とありました。このままでいいわけがないと思う。
- 僕は、いろんな人に自由に出会って、自分が誰かのために動くことの楽しさを知りました。また、誰かが自分のためにお金を投資してくれたり、友達を紹介してくれたり、楽しい集まりに誘ってくれる幸せに出会いました。
自分を拡げて人と出会うことで、色々な可能性が開けると思います。 - 僕が「プロ無職」というのは「無色」のことでもあるんです。素直な子どものように何色でも何者でもない、フラットな状態で人と出会いたいと思っています。
くきわかめ- 私たちは遠慮せず、もっと他人に甘えることができれば、自分も他人も大切にできるのかもしれません。そのためには、人の懐に飛び込んでいく勇気を持つことですね。
- 今日は貴重なお話しを聞かせていただき、ありがとうございました。
るってぃ- こちらこそ、ありがとうございました。