資産運用に興味があっても、初心者にとって株式投資のハードルは高いもの。本連載では、現役の証券アナリストが株式投資の魅力や付き合い方をやさしく伝えます。
- 電気自動車は政策の追い風を受け、グローバルで販売台数を伸ばしている
- 日本でも「レベル3」の走行が解禁されるなど、自動運転はますます身近に
- 日本電産(6594)、デンソー(6902)、富士ソフト(9749)に注目
政策の追い風が吹く電気自動車
今回は、電気自動車や自動運転など次世代の自動車をテーマにした銘柄選びのお話をしたいと思います。
新型コロナウイルスの影響で、世界の自動車販売台数は大きく落ち込みました。経済活動再開後には、中国などを筆頭に回復の傾向も出てきていますが、コロナ前の水準に戻るまではまだまだ時間がかかりそうです。
そんな中で、電気自動車(EV)の販売が伸びています。2021年から欧州では排ガス規制が強化され、基準を満たせないメーカーには罰金が課せられることになっています。また、中国では補助金の支給や申請が必要なナンバープレートを取得しやすくする便宜が図られており、電気自動車に対する政策の追い風がさらに強化されています。
自動運転についても、日本では2020年4月からドライバーが前方を監視しなくても良い「レベル3」の自動運転が解禁されています。日産自動車は、今後発売する新車にはすべて簡易自動運転の機能を標準装備するとしており、自動運転もより身近なものになってきました。
電気自動車と自動運転は、今後も引き続き投資テーマとして注目できるでしょう。今回はそんな次世代の自動車に関連する、おすすめ銘柄を紹介していきます。
おすすめ① 日本電産(6594)
まずは、日本電産をご紹介します。日本電産は、小型モーターでは世界一のシェアを誇る電子部品メーカーです。軽くて小型で省電力性に優れた低コストの精密モーターを作る技術を武器に、世界シェアを伸ばし続けてきました。創業者の永守重信代表取締役会長の、経営者としての手腕でも非常に有名です。
電気自動車の部品点数は、ガソリン車の約3分の1にすぎません。極端なたとえですが、モーターとバッテリーと車体とタイヤさえあれば、ある程度組み立てることが可能です。そのためモーターやバッテリーで高いシェアを取る会社が、電気自動車市場の覇権を取ることができるのです。
日本電産には、すでに多くの電気自動車メーカーから駆動用モーターの注文が殺到しています。加えて同社は、自動運転で使われるミリ波レーダー車載用のカメラモジュールといった電子部品も手掛けています。これらも自動車市場において、先行き期待の高い分野の一つと言えるでしょう。
日本電産の9月21日の終値は10335円。最低投資単位は100株で、およそ104万円程度から投資できます。
おすすめ② デンソー(6902)
次にデンソーをご紹介します。デンソーはトヨタ系列の自動車部品の大手で、ドイツのボッシュ社に次ぐ世界第2位の売上高となっています。現在は、トヨタ系列以外の自動車メーカーとも取引が増えてきました。
デンソーは自動車の駆動を司るパワートレインシステムを手掛けており、ガソリン車から電気自動車まで自動車の制御システムに強みを持っています。さらに衝突安全システムや周囲の環境を認識する走行環境認識システムなど、自動運転に必要な各システムの開発を続けています。
9月21日の終値は4880円。最低投資単位は100株で、およそ49万円程度から投資できます。
おすすめ③ 富士ソフト(9749)
最後に富士ソフト(9749)をご紹介します。富士ソフトはソフトウェア開発を手掛ける独立系の企業で、特に自動車や産業向けの組み込みソフトを得意としています。
組み込みソフトとは、家電や自動車などに搭載されている専用ソフトのこと。例えば自動運転では、アクセル、ブレーキの制御、周囲の状況の認識、運転操作の判断など様々な場面でそれぞれの動作や制御を司る組み込みソフトが必要になります。自動運転のレベルが上がり高度化するにつれて、搭載されるソフトウェアの品質やボリュームも膨大なものになるため、組み込みソフトの重要性がさらに増しています。
富士ソフトは欧州発の自動車向けソフトウェアの標準規格である「AUTOSAR(オートザー)」の知見も持っているため、今後の業績拡大にも期待が出来そうです。
9月21日の終値は5840円。最低投資単位は100株でおよそ59万円程度から投資できます。