資産運用に興味があっても、初心者にとって株式投資のハードルは高いもの。本連載では、現役の証券アナリストが株式投資の魅力や付き合い方をやさしく伝えます。
- SaaSはSoftware as a Serviceの略語。クラウド経由でソフトを利用
- 継続課金型のSaaSを提供する企業は、収益が安定しやすい
- SaaS関連企業として、マネーフォワード、BASE、Sansanに注目
新興市場を中心にSaaS関連銘柄が増えている
今回は、SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)をテーマにした銘柄選びのお話をしたいと思います。
SaaSとはサースまたはサーズと発音します。Software as a Serviceの略語です。従来のソフトウエアはパッケージによって提供されていましたが、インターネットやクラウドの利用が広がったことにより、クラウド経由で使いたいソフトウエアを使いたいだけ利用できるサービスが広がっています。課金の方式はサブスクリプションと呼ばれる継続課金型が主流となっており、ITなどのスタートアップ企業を中心にSaaS形式でサービスを提供する企業が増えています。
SaaSの利点は、ユーザー側は使いたいサービスを使いたい期間だけ契約して使うことができるため、サーバー投資や初期費用を抑えることができることです。実はあまり意識しないで使っている方が多いと思いますが、個人向けのスマホのサービスはかなりの部分がSaaS形式で提供されています。音楽のアマゾンミュージック、アップルミュージック、動画配信のネットフリックスやアマゾンプライム・ビデオ、課金型のニュースサイトなど、皆さんもどれかは利用しているのではないでしょうか?
SaaSのもう一つのメリットは、常に最新のソフトウエアを利用できるということです。買い切り型のパッケージのソフトウエアは、買って数年経つとバージョンが古くなってしまうため、ネットを通じたアップデートなどが必要ですが、SaaSで利用する場合はその時点で最新のソフトウエアを使うことができます。サービスを提供するSaaS企業も、ユーザーの声を取り入れて少しずつソフトを更新し続けることができる利点があります。
継続課金型のSaaSを提供する企業は、買い切り型のパッケージソフトを提供する企業に比べて、収益が安定しやすくなります。ユーザーの満足度が低いとすぐに解約されてしまうので、常にユーザーの声を取り入れて使い勝手を良くするメカニズムが働くため、SaaS形式のサービスは、顧客満足度が高くなりやすいとも見られています。
国内でも、東証マザーズ市場などに上場する新興企業を中心にSaaS関連銘柄が増えてきており、注目度が高まっています。いくつかの注目のSaaS関連企業を紹介していきます。
おすすめ① マネーフォワード(3994)
まずはマネーフォワードをご紹介します。マネーフォワードは個人向け家計簿アプリの「マネーフォワード」や法人向けの会計ソフトなどを提供しています。同社のミッションとして「SaaSやフィンテック領域での事業展開を通して、社会課題の解決に取り組む」を掲げています。
足元では法人向けの「マネーフォワードクラウド」が伸びています。請求書や給与支払いなどをクラウドで一括管理できるため、会計業務や給与計算などの業務を効率化できる便利さが受けており、個人事業主や中小企業を中心に利用が広がっています。
マネーフォワードの2月19日の終値は4560円。最低取引単位は100株なのでおよそ46万円から投資できます。
おすすめ② BASE(4477)
次にBASEを紹介します。BASEは、誰でも簡単にEC(電子商取引)のネットショップが開設できるECサイト構築を支援するプラットフォームをSaaS形式で提供しています。最近ではタレントの香取慎吾さんがCMをしていたり、香取さんの所属事務所の代表でかつてSMAPのマネージャーをしていた飯島三智氏が社外取締役に就任するなど、話題性のあるSaaS企業です。
特徴として、ネットショップ開設に際して初期費用などが掛からない点を売りとしています。同社の累計のショップ数は2020年末時点で130万ショップとなり、高い成長が続いています。
BASEの2月19日の終値は13940円。最低取引単位は100株なので140万円から投資できます。株価上昇により最低投資金額が高くなったこともあり、4月に1株を5株にする株式分割を予定しており、分割後はさらに投資しやすくなる見込みです。
ネットショップを無料で作成できるBASE。4月からは最低投資金額が5分の1になり、投資しやすくなる。
おすすめ③ Sansan(4443)
最後にSansanを紹介します。Sansanは名刺管理サービスを提供するSaaS企業です。個人や企業の従業員の名刺データをクラウドで一括管理するサービスや紙やPDFベースの請求書をクラウドで管理してオンラインで受領できるサービスなどを手掛けています。
コロナ禍でリモートワークやオンラインでの商談が増えていることもあり、利用が伸びています。サービスの認知度の広がりで解約率も低下しており、着実に継続課金型の収益が増えています。
Sansanの2月19日の終値は9280円で最低取引単位は100株なので、約93万円から投資できます。