自分の老後の人生をより豊かにするiDeCo(個人型確定拠出年金)。iDeCoをもっと賢く運用したいという人に向けて、iDeCoの運用テクニックのひとつである「スイッチング」について解説していきます。
- スイッチングとは、iDeCoで運用している商品を解約し、別の商品に変更すること
- 主な利用用途は、「利益の確保」と「リバランス」の2つが挙げられる
- 頻繁にスイッチングを繰り返し、コスト倒れにならないように注意
前回の記事はこちら→ iDeCoで負けない運用テク① 配分変更
スイッチングとは他の運用商品に買い換えること
スイッチングとは、iDeCoで運用している商品を解約し、別の商品に変更する手続きのことをいいます。イメージとしては、以下の通りです。
この図では、商品B(20万円)を解約し商品D(20万円)と買い替えています。これまでに積み立ててきた商品を別の商品に変更したい場合に利用する運用テクニックです。
配分変更との違い
配分変更とは、毎月購入する商品の内訳を変更する運用テクニックのことをいいます。主な利用用途としては、リスクを抑えたい、あるいはリスクを増やしてリターンを大きくしたい場合などがあります。スイッチングとよく似ていますが、同じではありません。以下の表を見てみましょう。
その後の拠出金の 資産配分 |
その時点での 商品ごとの資産配分 |
|
---|---|---|
配分変更 | 変更される | 変更されない |
スイッチング | 変更されない | 変更される |
配分変更は、これから購入する運用商品の配分のみを変更するものであり、これまでに購入した商品の資産配分を変えるものではありません。また、スイッチングに伴い売却時や購入時の手数料がかかることがありますが、配分変更は手数料がかからないといった違いがあります。
利益確保、リバランスに活用
スイッチングの主な利用用途として、「利益の確保」と「リバランス」の2つが挙げられます。順番に解説していきます。
利益の確保
iDeCoは60歳以上にならないと利益を受け取ることができません。途中で損益がプラスになり、利益を確定したいときには元本確保型商品にスイッチングをすることで利益を確保することが可能です。
リバランス
運用を続けていくうちにずれてきた資産配分割合をもとに戻したいというときにも、スイッチングは有効な手段です。資産配分割合の調整はリバランスといい、年に1回ほど定期的なリバランスが好ましいとされています。リバランスは、以下のようなイメージです。
上記の左の図がリバランス前の状態で、右の図がリバランス後の状態です。このように、乱れてしまったバランスをリバランスすることで、リスクを調整することができます。
スイッチングは、関心がなくても理解はしておこう
iDeCoは長期的な視野で考えることが大切です。現在スイッチングが必要ないと思っていても、将来必要になる可能性があります。もし転職や起業をして収入が変化したら、iDeCoの運用商品の値動きをどれだけ許容できるかも変わるでしょう。そういった事態に備えておくためにも、スイッチングを覚えておきましょう。
スイッチングをうまく利用することで、利益をさらに伸ばしたり、利益を確定して暴落時に備えたりすることができます。ただし投資信託の種類によっては、「信託財産留保額」というコストがかかってしまいます。頻繁にスイッチングを繰り返し、コスト倒れにならないように注意が必要です。
運用している商品の見直しは、1年ごとを目安に行うと良いでしょう。短期的な目線にならず、長期かつ定期的な見直し計画を立てましょう。