インデックスファンドとETFは仕組みが似ているので混同されがちですが、上場・非上場の違い、手数料の違いなど、意外にも大きな違いがいくつもあります。投資のスタイルによっても、どちらが適切なのか変わってくるので、自分に合ったものを選びましょう。運用に慣れている人は、ぜひ場面によって使い分けてみてください。
- 市場で自由に売買できるETF。インデックスファンドは1日1回基準価額で取引
- ETFは信用取引、信用売りも可能。最低購入金額はインデックスファンドが低い
- 機動的売買ならETFが優れる。投資経験やスタイルによって使い分けを
市場で自由に売買できるETF
ETFとはExchange Traded Fundsの略語で、日本語では上場投資信託と訳されます。
日本株や欧米株、アジア株、債券・商品先物指数など、ベンチマーク(基準)とする指数との連動を目指すのが特徴です。例えば、米国株指数に連動するETFであれば、米国株と似た値動きが期待できます。
また、ETFは株式市場に上場しているので、証券取引市場で売買できるのが特徴です。取引時間中なら値動きを見ながらいつでもタイムリーに取引できます。ただし、株式の個別銘柄と同じく、ETFを取り扱う金融機関は証券会社のみです。銀行などでは買えません。
1日1回基準価額が決まるインデックスファンド
インデックスファンドとは、投資信託の一種です。証券会社、銀行、信用金庫など幅広い金融機関で取り扱っていますが、金融機関によって扱っている商品が異なります。
ETFと同様に、株価指数や債券・商品先物指数などの値動きに連動するように資産が組み込まれています。インデックスファンドがベンチマークとする指標は、日経平均株価やTOPIXなどさまざまなので、自分が好きな投資対象を選べる点が特徴です。
投資信託はETFと違い、株式市場に上場していないことに注意が必要です。投資信託では一日一回基準価格が決まり、それがその日の価格となります。したがって、インデックスファンドを買う時点では正確な価格がわかりませんし、価格を指定して売買する「指値注文」もできません。
リアルタイムで売買できないのはデメリットのようにも感じられますが、昼間働く会社員の方などにとっては、常に株価などのチャートと向き合うのは難しいものです。インデックスファンドは、その日に売買を申し込めば、申し込んだ時刻が何時何分であっても全員同じ価格で取引をすることになります。日中に時間がとれない人にとっては公平でありがたい仕組みかもしれません。
ETFとインデックスファンドは似ているようで意外と違う
ETFとインデックスファンドは特徴が似ているようにも思えますが、実は意外と違う特性を持っています。
ETFは株式市場に上場しているので、基本的に株式と同じように売買可能です。信用取引の対象でもあるので、「買い」だけでなく「信用売り」からの取引もでき、相場が下落する時でも利益を狙うことができます。また、インデックスファンドに比べると信託報酬が割安なことが多いようです。
ただし、ETFは株式の個別銘柄と同じく、買付手数料がかかります。一方、インデックスファンドは購入時手数料ゼロの「ノーロード」と呼ばれる商品が増えてきました。購入時手数料や信託報酬など全部ひっくるめると、ETFの優位性がだんだん弱くなってきているのも事実です。
なお、ETFの最低投資金額は数万円~10万円程度です。これに比べるとインデックスファンドは1万円から、金融機関によっては数百円の超小口で購入できるため、購入のハードルは低いでしょう。
投資経験やスタイルによって使い分けを
ETFとインデックスファンドは、投資スタイルによって使い分けると効果的です。
機動的な売買や、下落局面で利益を狙う投資をしたい人はタイミングを見てすぐに売買できるETFがおすすめです。短期的に売買を繰り返したり、状況によって信用取引を活用したりすることで、売買益を大きく伸ばすことも可能になります。
これに対して初心者は、小口で分散投資がしやすいインデックスファンドのほうが手を出しやすいでしょう。インデックスファンドは1日に1回しか値段が変わらないので、常に株式市場をチェックできないという人でも割り切って買うことができます。投資に慣れてきたら、長く保有するほど低コストの恩恵を得られるETFに切り替えてもいいかもしれません。