セゾンポケットは、セゾンカードで知られるクレディセゾンが2019年11月にスタートした積立投資サービスです。クレジットカードの引き落としで投資信託や個別株を積み立てられる点が大きな特徴。まとまった資金がなくても始められ、商品ラインアップも厳選されているので迷わないなど、投資初心者にやさしい設計が人気です。改めてセゾンポケットの特徴や今後の展開などについて、クレディセゾンの山﨑敦史さんと福井啓之さんに聞きました(聞き手・文=しらこしらお 取材日:2021年7月8日)。
ポイント運用サービスの次のステップとして開発
セゾンポケットのサービス開始から約1年半が経過しました。現状、どのようなお客さまにご利用いただいていますか。
山﨑さん 口座開設者の年齢は、40代の方が最も多く、その次に30代、20代と続きます。男女比では、男性がやや多いですね。一方、当社のコア事業であるセゾンカードの会員は、中高年の女性が一番のボリュームゾーンですから、会員さまの中で比較的若い年代の男性を、セゾンポケットでは獲得することができました。
また、セゾンポケットの口座開設者の約56%の方は、投資未経験者です。経験を問わず誰でも手軽に投資を始められるサービスとして、セゾンポケットをスタートしたので、当初思い描いていたお客さま像と近い方々にご利用いただいていると思います。
MonJaの読者層も20~40代が大半で、女性よりも男性のほうが少し多いので、ほぼ同じ層を対象にしているといえそうです。皆さん、どんなきっかけでセゾンポケットの口座開設に至るのでしょうか?
福井さん 最も多いのは、セゾンカードの永久不滅ポイント運用サービス経由の方です。ポイント運用で投資の疑似体験をし、次のステップとして、セゾンポケットに口座を開設するという流れです。永久不滅ポイント運用サービスは、2016年にスタートし、現在までに約60万人の方が利用しています。いきなり現金を投資するのには抵抗があるけど、ポイントだったらやってみようという方は、意外に多いということでしょう。
セゾンポケットの具体的なサービスを構築するにあたっては、永久不滅ポイント運用サービスを利用しているお客さまにアンケートを行いました。ポイント運用以外に、まだ本格的に投資を始めていないという方がかなりの割合を占めていて、始めない理由について聞いたところ「リスクが怖い」「知識がないからわからない」「口座開設が面倒」といった声が寄せられました。それを解消するようなサービスを提供しようというのが開発の背景です。
山﨑さん ポイント運用からのステップアップとしてセゾンポケットに口座開設する、という動線はうまく機能していると思います。その一方で、約2600万人いるセゾンカード/UCカード会員のうち、ポイント運用を行っているのはごく一部です。ポイント運用の利用者をもっと掘り起こすと同時に、カード会員に直接、資産形成の必要性を訴求する方法や手段を開拓し、ポイント運用を経由しなくてもセゾンポケットに口座開設してくれるような事例を増やしていくのが今後の課題です。
さらにセゾンカードをお持ちでない方にもセゾンポケットの魅力を知っていただき、口座開設と同時にセゾンカードの会員にもなっていただくという逆パターンの経路も開発していきたいですね。
個別株をクレジットカードで積立投資できる
改めてセゾンポケットのサービスの特徴やメリットなどについて教えていただけますか。
山﨑さん セゾンポケットは、セゾンカード/UCカードでのお支払いで気軽に積立投資ができるサービスです。投資信託は1,000円から、個別株は5,000円から積立投資できるので、まとまった資金でなくても、気軽に始めることができます。投信のクレジットカード払いは他社にも同様のサービスがありますが、個別株をクレジットカードで積立投資できるのはセゾンポケットだけです。
カード払い以外に永久不滅ポイントで投資することもできますし、投資でポイントを貯めることも可能です。セゾンカード/UCカードの会員であれば、面倒な入力もなく、口座開設が簡単なのもセゾンポケットの特徴です。
投資信託は、『セゾン資産形成の達人ファンド』と『セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド』という厳選した2本だけです。安定志向の方には『セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド』、成長志向の方には『セゾン資産形成の達人ファンド』をお勧めしていますので、投資初心者でも選択肢が多すぎて迷うようなことはありません。いずれもつみたてNISAに認定されているファンドですので、つみたてNISAを利用することもできます。
いずれも優れた運用実績を持つ、間違いない投信だと思います。一方、個別株も厳選した130銘柄ということですが、どのような基準で選んだのでしょうか。
福井さん 投資初心者が対象なので、日本企業の中でも身近さや認知度の高さなどを重視し、幅広い業種の中からラインアップしました。とはいえ、個別株も5,000円からの積立投資が基本なので、ファーストリテイリングや任天堂など現状の株価が高すぎる銘柄は、積立投資が現実的でないこともあり除外しています。あとは個別株以外にETFも10本程度ラインアップしています。
投信と個別株と、どちらを利用している方が多いのでしょうか?
山﨑さん 投信の方が多いですが、個別株で積み立てられている方も多くいらっしゃいます。『セゾン資産形成の達人ファンド』で資産形成の土台を固めて、それに上乗せするかたちで個別株を数銘柄というように、投信と個別株の両方を積み立てている方も少なくありません。
福井さん ETFを積み立てている方も大勢います。最近は低コストのインデックスファンドの人気が高まっていますし、セゾンポケットのお客さまの間でもコスト意識の高い方や、ある程度金融リテラシーの高い方はETFを利用しているケースが多いのかもしれません。