「株探ニュース」の「新規設定ファンド一覧 10月第1週(10/4~10/8)」の中に気候変動をテーマにしたファンドがありました。今回は、最近のキーワードをテーマにしたテーマ型ファンドについてみていきます。
- 特定テーマに対して成長率が高いと思われる企業を選び投資するテーマ型ファンド
- テーマに関わらず運用期間10年と設定されているテーマ型ファンドが多い
- インデックスファンドよりコストが高め。コストの差を上回る成績が求められる
特定のテーマをもとに投資先を選ぶテーマ型ファンド
気候変動などのテーマを設定し、そのテーマに対して成長率が高いと思われる企業を選んで投資するファンドがテーマ型ファンドです。
ここ1~2年では、気候変動に加え、SDGs(持続可能な開発目標)やESG、AI(人工知能)、DX(デジタルトランスフォーメーション)、宇宙などをテーマにしたファンドが多く設定されています。
テーマによっては運用期間が短く感じるファンドもある
投資信託は、償還日を設定しているものと無期限のものがあります。償還日とは、そのファンドに投資していた人に対して投資成果を支払い、そのファンドの運用を終了する日になります。保有している口数に応じて、償還日の基準価額をもとに償還されます。
テーマ型ファンドの多くは、償還日を設定して運用するタイプです。
気候変動に関連するテーマとして、脱炭素(カーボンニュートラル)があります。主要な先進国では、温室効果ガス排出ネットゼロの達成目標年を2050年(長期目標)に設定しており、中期目標を2030年に設定している国・地域もあります。
気候変動をテーマにしたファンドの償還日を確認すると、2030年前後に設定しているものが多く、中には2026年9月25日というファンドもありました。上記の温室効果ガス排出ネットゼロの達成目標年の2050年と比べるとかなり運用期間が短いような印象があります。
SDGs関連も、同じように2030年に償還日を設定しているファンドがほとんどでした。SDGsの場合、17の目標の多くが2030年の達成を目指していますので、償還日と達成年が同時期のファンドが多いことに違和感はありません。それ以外のテーマでは、ESGが2025~2030年、AIが2027年前後、DXが2030年前後、宇宙が2028年前後を償還日とするファンドが多くありました。
上記のテーマ型ファンドでは、それぞれのテーマによる運用期間(設定日から償還日まで)のばらつきがなく、10年というのが一般的なようでした。短いものでは5年というファンドもありました。ESGやAI、DX、宇宙といったテーマは、気候変動やSDGsのように目標達成年の設定がないので運用期間が長いのか短いのかの判断は難しいです。
テーマ型ファンドの運用コストは高め
テーマ型ファンドの運用方法のほとんどは、市場平均より高いリターンを目指すアクティブ運用になります。そのため、株価指数などと連動した投資成果を目指すインデックスファンドに比べ、販売手数料や信託報酬などの運用コストは高めに設定されています。
運用期間同様、運用コストもテーマによるばらつきは少なく、販売手数料は3.3%前後、信託報酬は1.50%~2.00%の間で設定されている商品が一般的です。
運用コスト比較 テーマ型ファンドとインデックスファンド
テーマ型ファンドは設定からの期間が短いものが多く、運用パフォーマンスをインデックスファンドと比較することが難しいため、10年間の運用コスト(販売手数料、信託報酬。税込み)を比較しました。比較するための条件となるトータルコストは、「販売手数料+(信託報酬(年)×10年)」で算出しています。
販売手数料 | 信託報酬(年) | トータルコスト | |
---|---|---|---|
テーマ型ファンド (東京海上・気候変動対応株式ファンド) |
3.3% | 1.84% | 21.7% |
インデックスファンド (eMAXIS Slim先進国株式) |
0.0% | 0.10% | 1.0% |
上記の例では、テーマ型ファンドはインデックスファンドの約22倍のコストがかかっています。この場合、テーマ型ファンドがインデックスファンドと同じ投資成果を生むためには、運用コストをカバーするために約2割を上回る運用成績を上げる必要があります。
また、テーマ型ファンドは、その時々に新聞やテレビなどのニュースで取り上げられる旬のテーマに沿って設定されるため、運用期間が無期限のインデックスファンドや他のアクティブファンドに比べ、買い時や売り時の判断が重要になります。