ニッチなニーズを追求したチャリティオペラとは?
北岡さんの趣味は多彩ですが、筆者と同世代の女性に違わず、ワイン好きのグルメで趣味はレストランめぐり。
そして映画好きであることから「シネマde ワイン」なる同好会も主宰しています。
北岡さんはいいます。「コロナ禍で普通にレストランでわいわい楽しむことが難しくなりました。でも、コロナが収束したら、心置きなくおいしいものを食べに行きたい!」と。
しかし、北岡さんは考えました。「コロナ禍を、なんとか無事に生き延びた私たち。その中で、収束したらおいしいものが食べたいとか、旅行に行きたいとか思える余裕があるとしたら、それはなんらかの社会活動を通じて、還元しなければ!」と。
そこで、またまた北岡さんはあるチャリティイベントを企画しました。
「2月15日は国際小児がんの日なんですが、それにちなんで、2月18日に小児がんと闘う子どもたちを支援するチャリティイベントを飯田橋(東京都千代田区)のレストランで開催することにしました」と。
北岡さんによると「小児がんは、子供の死因の3大疾病の1つです。毎年2000~2500人の子どもたちが罹患し発症者すると言われています。14歳までの幼い子供たちに多く発症していますが、特に0~4歳までの罹患率は高くて。医療技術の進歩で、5年生存率は80%以上に上昇してはいますが、日々の治療は厳しく長期入院して、ふつうに幼稚園や学校にも通えないんですよ」と。
北岡さんは、子どもたちが治療を続けている病棟を訪ねたことがあります。
「そのときは、夏の納涼会を看護師さんたちが中心となって、子どもたちを楽しませようといろいろ工夫してました。お菓子をわしづかみにするゲームがあって、治療で真っ黒になった細い手でお菓子をつかんでたある男の子が『僕はお菓子は食べられないけど、お友だちのために、たくさん取ってあげたいんだ』っていう、けなげなひと言に涙がでました。自分のことよりも友だちを思いやる優しい心に打たれました。何か少しでも、子どもたちが笑顔になるお手伝いをしたいのです」と。
「単純に募金をお願いするほうが、効率よく集められるという考え方もあります。でも、同じ目的でみんなで集って、楽しい時間を過ごした分だけ、共有・共感できた気持ちは、大きくなると思うんです。その気持ちを、子どもたちの支援に繋げたいのです」と北岡さんはいいます。
まさに、それは『ノブレス・オブリージュ』の考え方です。
この連載で前回でも言及しましたが、ノブレス・オブリージュとは、世の富裕層が「高貴さは社会的責任と義務を伴う」という社会規範・道徳観によってチャリティやボランティア活動を積極的に行うことです。
コロナ禍で、しかも停滞する経済状況の中で、胸張って富裕層と言い切れる人は、人口比でいえば、それほど多くないはすです。
筆者など毎日いまだに「持続化給付金欲しいよお~!」と空に向かって叫んでいます!(が、何も降ってきませんが……)。
でも、今のところ感染もせず、元気に生きています。将来に不安を感じながらも、小さな幸せは享受しています。
毎日毎日、奉仕の精神で生きることはできなくても、何度か小さな幸せを感じたら、その分をまとめて、何かの形に還元する『自分サイズのノブレス・オブリージュ』なら実行できると思った次第です。
で、このチャリティイベントはどんな形で行われるのか?
北岡さんはいいます。「ライオンズクラブの奉仕活動の大きな柱に、視覚障害者を助け、眼を守る運動があります。これは三重苦を克服したヘレン・ケラーがライオンズクラブの国際大会で行ったスピーチがきっかけになっていまして、『ライオンと淑女のみなさん、どうぞ、盲人のために暗闇と闘う騎士になってください』という内容でした」。
北岡さんはヘレン・ケラーの言葉に大いに触発され、「今、ヘレン・ケラーが私たちの前に現れたら、『淑女よ! 暗闇と闘う騎士となれ』と仰るでしょう。今の時代はたくさんの暗闇がありますから、私は拡大解釈して、日ごろの社会活動を通じて、さまざまな暗闇と闘う騎士となろうと心に決めています」といいます。
なので、2月のイベントは、「奇跡の人と呼ばれたヘレン・ケラーにオマージュを捧げながら、みんなが奇跡の人になろう! という呼びかけをオペラスタイルで歌い、お食事を楽しんでいただけるカタチにしたいと思っているんです」と北岡さん。
で、構想はできたけど、オペラ部分の脚本が欲しいというので、筆者もそこは得意分野なのでお手伝いさせていただくことになりました。
まさに、『自分サイズのノブレス・オブリージュ』です。
さて、オペラの出演者はどんなアーティストが?
「それは、有志のボランティアで出演してくださる方を募っています。小さなすなっくでご一緒した方々にもご協力をお願いしたい」という北岡さんのひと言で、筆者は脚本だけでなく出演もすることになりました。
北岡さんは「チャリティは愛の精神に基づいて行われるので、見返りも愛です。目的を達成できたときの、仲間と分かち合う共有感は温かく尊くて、大きな幸福感で満たされるんです」と言います。
情熱を傾けることで、幸福感を得られたらと思い、仲間入りすることにしました。
聞けば、北岡さんの二人のお子さんは、美術と音楽の道で活躍するアーティストで、それはまさに母から受け継がれたDNA。
さらに、ライオンズクラブでは、社交ダンスのレッスンにも参加しているというエンタテイメントな才能もキラリと!
いやはや、最初に出会ったとき「ほぼ専業主婦」といった北岡さんですが、ほぼののりしろ部分が濃厚で深いです。
しかし、社会活動に落とし込んで、やりたいことをカタチにしていくというのもアフターコロナの時代に適った生き方であると思いました。
チャリティオペラという活動もさることならが、高齢者向きのIT&DX講座というニッチなニーズを、こちらは事業化しながら、自立可能な道筋をちゃんと整えつつ、母と妻の役割も全うする北岡さんの輝きに、筆者も刺激されました。
「いえいえ、私、なかなかのデスパレートな妻なんです」と笑う北岡さんは、自らを「東京版デス妻」だといい切り、ついには2月のチャリティイベントの出演者たちを束ねて『東京デス妻歌劇団』と名づけてしまいました。
このセンス! いやあ、北岡さんと20代に会っていたら、絶対に放送作家の世界に引き入れたと思います。
否、今からでも遅くないかな?
熟年女子で放送作家グループを立ち上げて、社会活動とリンクして新たなコンテンツをエンタテインメント業界に展開していくのもアリかも!
ご支援くださる方、よろしくお願いします。
北岡知子さんが企画しているチャリティーオペラ『みんな奇跡の人』
日時:2022年2月18日(金)18時開演(17時半 受付開始)
於:レストラン ソンブルイユ(東京・飯田橋)
お問い合わせは ジョアンナ会 090-7267-7005
ショートメールでも受け付けます。