将来に備えて自身で年金を作るのに役立つ「個人型確定拠出年金」のiDeCo(イデコ)は、2022年に法改正されます。本記事では変更点の概要やメリット、注意点について解説します。iDeCo加入者、加入を検討している人はぜひ参考にしてください。

  • 2022年4月~ 受け取り開始を75歳まで延長できる
  • 2022年5月~ 加入できる年齢が5年長くなる
  • 2022年10月~ iDeCoと企業型DCが併用しやすくなる

2022年4月~ 受け取り開始を75歳まで延長できる

従来のiDeCoの受給開始は、60歳から70歳までの期間で選ぶことができました。しかし2022年4月からは、受給開始の選択期間が5年間延長され、60歳から75歳までの間で受給開始を選択できるようになります。なお、2022年4月1日時点で70歳に達している場合は、75歳までの延長ができません。

受給開始の時期を5年延長できることによるメリットは、より資産を増やせる可能性が高まることです。iDeCoで運用している資産は、受給開始するまで非課税で運用することができます。つまり、従来のiDeCoよりも非課税で運用できる期間が5年間延びるというわけです。この5年間で資産が増えた場合は非課税による恩恵をより受けられるでしょう。ただし、市場の動向によっては資産が増えるどころか減ってしまうリスクがあることに注意しましょう。

新しいNISAの“裏技”教えます! ニッセイアセットマネジメントの情報発信&資産運用アプリ

2022年5月~ 加入できる年齢が5年長くなる

2022年のiDeCo改正による変更点の2つ目は、iDeCoの加入できる年齢が5年長くなることです。従来のiDeCoでは、60歳まで加入できましたが、2022年5月からは65歳までになります。

ただし、60歳以降もiDeCoに加入するためには国民年金の被保険者であることが必要です。会社員や公務員が加入する厚生年金には国民年金が含まれているため、60歳以降も厚生年金に加入して働く人は第2号被保険者としてiDeCoに加入できます。

一方、自営業者やフリーランス、専業主婦・主夫などは60歳に達すると国民年金の被保険者ではなくなり、原則としてiDeCoに加入することができません。ただし、国民年金の「任意加入制度」を利用すれば60歳以降もiDeCoに加入できます。国民年金に任意加入するためには、老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていないこと、厚生年金保険や共済組合などに加入していないことなど5つの条件があります。

参考:日本年金機構「任意加入制度」

加入期間を5年延長できるメリットは、その分運用期間を長くできることです。非課税期間が延び、運用益を伸ばす効果が期待できます。ただし、年金の受け取り開始を先延ばしするのと同じように、市場動向次第では逆に資産を減らしてしまう可能性があることに留意しましょう。

2022年10月~ iDeCoと企業型DCが併用しやすくなる

従来のiDeCoでは、企業型確定拠出年金(通称:企業型DC)に加入している人の大半がiDeCoに加入できていませんでした。iDeCoと企業型DCの併用をする為には、iDeCoの拠出限度額分を企業型DCの会社掛金の上限から引き下げる労使合意や規約の変更が必要だったためです。

2022年10月からは改正によって規約の定めが不要になり、本人の意思のみで企業型DCの加入者がiDeCoに加入できるようになります。

iDeCoと企業型DCの併用がしやすくなることのメリットは、投資する商品の選択肢を広げられることです。企業型DCは勤め先によって金融機関が決められ、その金融機関が取り扱っている商品しか買えないという問題がありました。iDeCoと併用することで、この問題が解消されることになります。

ただし、企業型DCの加入者本人が掛金を上乗せ拠出する「マッチング拠出」を利用している場合は、併用ができないことを覚えておきましょう。


より長く、より多くの人が利用できるようになるiDeCo。運用にはリスクが伴うことをよく理解して活用したい

法改正によってiDeCoはこれまで以上に利用しやすくなり、加入者はさらに増えていくと考えられます。現在、iDeCoについて興味がある人、企業型DCのみに加入している人はiDeCoへの加入も検討し、将来への備えをしていきましょう。

メルマガ会員募集中

ESG特集