投資信託のパフォーマンスを確認すると、聞きなれない横文字がたくさん並んでいます。一目では理解できない言葉も多いものの、実は投資信託を選ぶ際の重要な指標になっていることも多いのです。今回は重要な用語である「レーティング」、「リスクメジャー」、「トラッキングエラー」について解説します。
- レーティングとは投資信託のパフォーマンスを評価するための指標
- リスクメジャーは投資信託の値動きの大きさ(リスク)を示す目安
- トラッキングエラーは投資信託がベンチマークからどれだけかい離したかを示す指標
レーティング=投資信託のパフォーマンス評価
レーティングとは投資信託のパフォーマンスを評価するための指標です。レーティングは投資信託の評価会社が、独自の基準で投資信託の良し悪しを評価して、それを数値で表したものです。
レーティングの中ではモーニングスター社が算出している「モーニングスターレーティング」が有名です。
モーニングスターレーティングは、同社が独自に算出するリターンとリスクの差をもとに、5段階で評価する指標です。過去3年・5年・10年の運用実績に基づく期間ごとのレーティングと、これらのレーティングの加重平均によって求める「総合レーティング」を、投資信託ごとに公表しています。総合レーティングを確認すれば、投資信託の中長期の運用成果を確認できます。モーニングスターレーティングの評価は★の数で表されていて、★が5つついているファンドは上位10%以内の優れたファンドということになります。
同じ日本の株式を投資対象とするファンドでも、運用成績が良い商品と悪い商品があります。相場全体が上昇している場合は、運用成績が悪い商品でもリターンはプラスになっていることが多いのですが、レーティングを見ることで、同じカテゴリーの中でもより優れた運用成果を出しているのか否かが一目瞭然となります。
ただし、レーティングはあくまで過去の実績をもとに算出しているものなので、評価した投資信託が今後も同じパフォーマンスを出し続けるとは限りません。レーティングは将来の成果を約束するものではありませんので、投資先を選ぶ際には注意しましょう。
リスクメジャー=値動きの大きさの目安
リスクメジャーとは、投資信託の値動きの大きさを示す目安です。基準価額の変動から算出する標準偏差(平均からの離れ具合を表す指標)がどのような水準にあるかを示しています。
モーニングスター社のリスクメジャーは5段階で評価されていて、数値が大きいほど値動きが大きいファンドです。したがって、海外の株式など比較的値動きの大きなものはリスクメジャーの数値も大きくなり、債券などの値動きが小さなファンドではの数値も小さくなります。
リスクメジャーはレーティングのように、数値が高ければ優れているというわけではありません。リスクメジャーが高いということは、高いリターンを得られる可能性があるかわりに、大きな損失を抱える可能性もあるということになります。自分の運用スタイルに合わせてどれくらいのリスクをとるか、つまりどの程度の値動きを受け入れるかを、リスクメジャーを見ながら検討する必要があります。
複数の投資信託に分散して投資をする場合は、リスクメジャーを確認し、数値が高いものと低いものを組み合わせてもよいでしょう。レーティングはパフォーマンスが良い・悪いという指標でしたが、リスクメジャーは一概に数値だけで良い・悪いの判断ができないので、勘違いしないように注意が必要です。
トラッキングエラー=ベンチマークとの「かい離」
トラッキングエラーとは、投資信託の値動きがベンチマークからどれだけかい離したかを示す指標です。
ベンチマークとは投資信託の参考指標となる数値です。ベンチマークには、国内株式であれば日経平均株価やTOPIX、米国株式ならS&P500指数といった、代表的な指数が設定されています。
投資信託にはベンチマークを上回る運用成果を目指す「アクティブファンド」と、ベンチマークと同じ運用成果を目指す「インデックスファンド」があります。
アクティブファンドは今後成長が見込まれる企業や割安に放置されている企業など、さまざまな基準で投資対象の企業を選定し、結果としてベンチマークを大きく上回ることができれば、良好な成績を出している優良なファンドということができます。一方でインデックスファンドは、たとえベンチマークを上回る収益を出していたとしても、良いファンドとはみなされません。
インデックスファンドはベンチマークと全く同じ運用をすることを目指しているので、上にも下にもかい離してはいけないのです。
インデックスファンドの値動きと、ベンチマークとのかい離の幅をトラッキングエラーといいます。トラッキングエラーが小さければ小さいほど、ベンチマークとのかい離が小さい、優れたインデックスファンドと評価されるのです。