インフラファンドは、REITと似た金融商品だといわれます。比較的安定性の高い資産に投資し、なおかつ高利回りという点は似ていますが、REITにはないインフラファンドならではの特徴もあります。本記事を参考にして、インフラファンドへの投資を検討してみてはいかがでしょうか。

  • インフラファンドとREITはどちらも「資産に投資」し、比較的「高利回り」
  • 「固定価格買取制度(FIT)」は最長20年間まで。20年経過後の利回りは不確か
  • 東証インフラファンドの投資対象が太陽光以外に広がれば、市場規模拡大を見込める

インフラファンドはREITとココが似ている

インフラファンドとREITが似ている点は「資産に投資する」「高利回り」の主に2つです。基本的な仕組みは似ていますが、知っておくべき違いもあります。ここでは、インフラファンド初心者に向けて、REITと比較しながら、その仕組みや特徴を簡単に解説します。まずは基礎知識を理解していきましょう。

資産に投資する

インフラファンドとREITは、いずれも資産に投資するという点で似通っています。

水への投資 世界的に不可欠な資源への投資機会 BNPパリバ・アセットマネジメント

インフラファンドはインフラ資産に投資を行います。現状では、東証インフラファンド市場には太陽光発電設備を保有する7銘柄が上場しています。

【図表】インフラファンド一覧
コード 銘柄名 予想分配金
利回り
9281 タカラレーベン・インフラ投資法人 6.00%
9282 いちごグリーンインフラ投資法人 5.90%
9283 日本再生可能エネルギーインフラ投資法人 5.58%
9284 カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人 6.08%
9285 東京インフラ・エネルギー投資法人 6.44%
9286 エネクス・インフラ投資法人 6.49%
9287 ジャパン・インフラファンド投資法人 6.48%

予想分配金利回りは2022年8月18日の投資口価格の終値および予想分配金をもとに算出
※予想分配金が公表されていないため、直近の分配金実績にて算出

太陽光発電には国による「固定価格買取制度(FIT)」があります。太陽光で発電した電気は最長20年間固定価格で買い取られるため、収益が安定している点が特徴です。インフラファンドの投資対象は、今後は風力やバイオマスなどその他再生可能エネルギーや空港、上下水道などに広がっていく可能性があります。

これに対して、REITの投資対象は不動産です。オフィスビルやマンションを所有して、その賃貸で得られる収益を投資家に分配するのがREITの基本的な仕組みです。

インフラも不動産も、直接投資用資産を保有するには莫大な資金が必要です。しかし、インフラファンドやREITであれば、証券化された権利を小口で売買できるという点で、個人投資家でも利用しやすくなっています。

高利回り

インフラファンドとREITは、高利回りが期待できる点もよく似ています。

どちらも「収益の90%超を投資主に分配する」などの条件を満たすと、法人税が免除され運用効率が上がる一因になっています。平均分配金利回りはJ-REITが3%台、インフラファンドがおおむね5〜6%と、比較的高めの水準となっています(2022年8月現在)。

また、インフラファンドにはFITもあります。一定期間電力の買取価格が固定されているので、エネルギー価格の変動の影響を受ける懸念がありません。そもそも電力需要は景気変動の影響を受けにくいこともメリットです。

REITにはないインフラファンドの注意点

インフラファンドとREITは基本的には似ていますが、インフラファンドだけに見られる注意点もあります。

まず、FITは最長20年間までと決まっています。20年経過後の電力買取は基本的に変動価格となるため、利回りがどれくらいになるか保証されません。

また、インフラファンドの法人税が免除されるのは上場後20年間のみです。今後、制度が改正される可能性もありますが、20年経過した後は、法人税が利回りに与える影響も考慮する必要が出てくるかもしれません。

ESG投資の選択肢として今後の市場拡大に期待

インフラファンドは、保有しているだけで再生可能エネルギーへの投資に貢献できます。利回りがよいだけでなく、環境問題への意識が高い人には適した投資対象といえるのではないでしょうか。


インフラファンドは昨今の潮流である「ESG投資」の王道という声も

ただし、注意点でも紹介したように、長期的には現在の利益水準を維持できなくなる可能性が指摘されています。10年以上の長期保有には注意が必要と考え、制度の動向も合わせて注視してください。

制度上の懸念はあるものの、今後インフラファンドの投資対象が太陽光以外に広がれば、市場規模の拡大も見込めるでしょう。再生可能エネルギー関連として、ESGの時流に乗った資金流入も期待できそうです。

メルマガ会員募集中

ESG特集