商品やサービスが分かりやすい会社が人気
「FUNDINNO」のサイトを見ると、多くのベンチャー企業のプロジェクトが掲載されています。投資家から人気が高いのはどのような会社でしょうか?
柴原さん その時々のトレンドによって傾向は異なりますが、商品やサービスが分かりやすい会社は人気化しやすいですね。例えば最近では、クラフトコーラの製造・販売を手掛ける会社の募集があっと言う間に上限に達しました。また、現状の出版業界は約1割の印税率が一般的ですが、それを最大5割まで上げることを目指す会社も非常に人気が集まりました。
将来の爆発的な成長に期待して、というケースも多いと思いますが、それよりも、商材が分かりやすく、解決すべき課題がはっきりしていて、代表者の人柄に魅力がある。そんな会社がよく選ばれている印象です。
株主コミュニティに参加すれば相対取引もできる
ユニークなプロジェクトがたくさんあって、紹介ページを読むだけでも面白いですね。最初に、未上場株への投資は換金性に乏しいというお話がありました。投資を終えるにはどのような方法があるのでしょうか?
柴原さん 大きく分けて3つの方法があります。1つ目は、投資先企業が株式市場への上場を実現し、マーケットで売却する方法。2つ目は、投資先企業が買収されるケースで、買収する主体に株を売る方法。そして3つ目は、未上場株の取引手段として「株主コミュニティ」を利用する方法です。
株主コミュニティとは、未上場株を売買できる仕組みのことで、相対取引制度の一つです。当社は「FUNDINNO MARKET」というサービス名で株主コミュニティを運営しています。株主コミュニティを組成できるのは審査を通過した企業に限りますが、株主コミュニティに参加することでインターネットを通じていつでも未上場株を売買することが可能になります。
未上場株のデメリットである換金性の低さが解消されるのは、投資家にとって嬉しいことですね。
柴原さん 基本的には、会社の成長を長期的に応援することがベンチャー投資のあるべき姿だと思いますが、それよりも、もっと多くの方にベンチャー投資を体験してほしいという思いを持っています。
投資を終わらせる選択肢を広げることは投資家の多様なニーズに応えることでもあると考え、「FUNDINNO MARKET」を提供しています。イグジット(出口)を多様化することで、ベンチャー投資の流動性が高まり、市場の活性化につながるメリットもあると思います。
「FUNDINNO MARKET」では最大10.4倍のリターン実績
「FUNDINNO」のサービス開始以来の投資回収事例について教えてください。
柴原さん 「FUNDINNO MARKET」では、最大10.4倍のリターンを得られたケースがありました。株式会社ロジック・アンド・デザインという、画像・映像の鮮明化テクノロジーを提供しているベンチャー企業です。
そのほかにも、プロ卓球チームを運営する琉球アスティーダスポーツクラブ株式会社がTOKYO PRO Marketへ上場を果たし、1.4倍のリターンを得られたケースなど、さまざまな事例があります。
ただし、残念ながら倒産・解散に至ってしまった企業も数社あることも申し添えておきます。
1億円以上の資金調達が可能に。投資の選択肢が広がる
今後はどのようなサービスを実装していきますか?
柴原さん 今期「FUNDINNO+(プラス)」というサービスを開始する予定です。「FUNDINNO」で資金調達できる金額は1社あたり年間1億円までに限られるのですが、「FUNDINNO+」ではそうした制限がなく、1億円以上の資金調達が可能になります。
これまでは1億円という上限があったため、起業して間もないアーリーステージのベンチャー企業が中心でした。「FUNDINNO+」のスタートにより、今後はより大きな資金調達を必要とするミドルステージやレイターステージにあるベンチャー企業も活用できるようになると考えています。
これはベンチャー企業の幅広い資金調達ニーズを満たすと同時に、投資家に対してもより多くの投資機会を提供することにつながります。事業をスタートしたばかりのアーリー企業はどうしても倒産リスクが高くなりますが、ミドルやレイターであれば事業基盤がしっかりしている会社も多く、比較的リスクを抑えたベンチャー投資が可能です。
成長の過程を一緒に体験してほしい
最後に、MonJaの読者に向けてメッセージをお願いします。
柴原さん まずお伝えしたいのは、繰り返しになりますがベンチャー企業への投資はハイリスク・ハイリターンであるということです。夢はあるけれど、リスクは非常に高い。その特質をよく理解して、余裕資金で投資していただきたいと思います。
一方で、単にお金を投じるだけではない、さまざまな体験ができる魅力がベンチャー投資にはあります。株主の方々の支えがベンチャー企業の成長に直結します。ビジョンに共感し、応援したいと思える会社が見つかったら、その成長の過程をぜひ一緒に体験していただきたいです。