テレビ、ラジオ、動画配信も含めて様々なコンテンツの台本や脚本を執筆する放送作家&脚本家が700人以上所属する日本放送作家協会がお送りする豪華リレーエッセイ。ヒット番組を担当する売れっ子作家から放送業界の裏を知り尽くす重鎮作家、目覚ましい活躍をみせる若手作家まで顔ぶれも多彩。この受難の時代に力強く生き抜く放送作家&脚本家たちのユニークかつリアルな処世術はきっと皆様の参考になるはず! 
連載第99回は、『踊る!さんま御殿!!』『1周回って知らない話』『サンデージャポン』など、数々の人気バラエティ番組に関わる山田美保子さん。

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最年長の女性放送作家ゆえの愉しみ

山田美保子さんの写真
山田美保子
放送作家、コラムニスト
日本放送作家協会会員

もう、ずいぶん前から私は女性では最年長の放送作家だと思う。脚本家では内館牧子さんや大石静さんら年上の方がいらっしゃるが、放送作家、それもバラエティ専門となるとダントツで最年長だ。すごく細かいことをいうと、『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)スタート時から会議室ではいつも隣に座る藤沢めぐみさんは同学年だが、誕生日は半年ほど藤沢さんのほうが後。やはり私が最年長なのである。

ゆえに、後輩たちの励みや目標に少しでもなれば……と、パッと見でわかるようなブランド品を身に着けたり、率先して現場に差し入れをしたり、ゴハンを奢ったりしてきた。

「最年長が理由? だとすると山田さん、この先もずっと最年長じゃないですか」とよく後輩たちから笑われる。その通りだ。でも、やれる限り、これでやっていこうと思っている。
もともと、口下手で消極的な性格だった私。豪快にお金を使う瞬間は自分が少し積極的になれたような気がするし、何より私自身の大きな励みになったものである。

芸能人の中には、「ない袖を振る」というタイプがたまにいる。よく、明石家さんまさんが話しているが、吉本興業では、たとえ売れていなくても必ず先輩が後輩に奢るというルールが昔からあるとか。なかには借金をしてまで、後輩に大サービスをする先輩芸人がいるそうだが、私もちょっと、それに近いところがあるかもしれない。

ずいぶん前の話になるが、『カノッサの屈辱』(フジテレビ系)を担当していたとき、番組の単行本を私が書くことになった。メイン作家は小山薫堂くんだったので遠慮したのだが、同じスタッフで次の番組も立ち上げなければならず、みんな忙しい。そのとき既に私は放送作家と並行して雑誌のライターをしていてフジテレビと同じ系列の出版社(扶桑社)に出入りしていたため、「山田さん、書けるでしょ」と総合演出から頼まれてしまった。

空っぽのお財布
借金をしてまで後輩に奢る先輩芸能人がいるが、私もそれに近いところがあるかもしれない(写真はイメージです)

いざ書き始めると、深夜番組と、文字に残す単行本とではずいぶん勝手が異なり、『カノッサ~』の真骨頂だったスポンサー名や商品名を文字ったり、匂わせたりができない章ばかり。出来上がった本にはスタッフ全員が「???」と首を傾げたし、私も激しく不本意だった。

だが、本はよく売れた。果たして、既定のパーセンテージよりはうんと低かったが、私には思いのほか大きな額の著者印税が入ったのである。

私はその全額を使い、スタッフ全員を赤坂の有名なしゃぶしゃぶ店に招き、最高級の肉をオーダーし、近所の有名シティホテルをリザーブし、希望者には宿泊してもらった。豪快にやり過ぎて、ちょっと“赤”が出た記憶がある。

後から聞いたら、「よほど儲けたんだね」と嫌みを言っていた外部スタッフがいたらしい。いやいや、印税残らず全て一晩で使いましたけど、何か? なんなら少し赤も出ましたけど、何か? と心の中で呟きながら、自分のお金の遣い方が他人のそれとはかなり異なることを思い知った。

そんなだから、お金が貯まるはずもなく、加えて私は昔から異性への貢ぎグセもある。かつて『恋のから騒ぎ』(日本テレビ系)を担当していたとき、「惜しいなぁ。山田さんがもう少し若かったら(ひな壇の)3列目に座れたのに」と、さんまさんからシミジミ言われたことがある。私が音楽関係の仕事をする男性と交際していたとき、彼に「スタジオを貢いだことがある」と、さんまさんに話したときのことである。正確には、一軒家に防音設備のある部屋を作ってあげたのだが、いつの間にか「山田美保子はミュージシャンの男にスタジオを建ててやった」というストーリーが完成していた。

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