1本で全世界株に投資できる投資信託は数多くあります。それは「世界経済の成長の恩恵を手軽に得たい」と考える投資家が多いことの表れともいえるでしょう。中でも手数料が割安なインデックスファンドは、資産形成の主役として活躍してくれます。本記事では、数ある全世界株インデックスファンドのうち、特に低コストな投資信託を紹介します。

  • 米国株式だけでは不安なら、日本や他の先進国、新興国にも分散投資する
  • 世界中の株式に幅広く投資するなら、信託報酬が安いインデックスファンドが便利
  • 信託報酬や純資産総額などを基準に、世界株式のインデックスファンドを4本紹介

新興国を含む全世界株式への連動を目指す

長期にわたって安定的な成長が期待できる投資先といえば、米国株式をイメージする人が多いのではないでしょうか。確かに米国株は、アメリカの高い経済成長率を背景に、安定して高成長を維持してきました。コロナ禍のダメージからいまだ抜け出せない日本とは対照的に、景気が過熱気味の米国ではインフレが加速し、ついにFRBもインフレ対策の利上げに踏み切るほどです。

将来に向けて資産の成長を実現するために、米国株の個別銘柄やETF、投資信託を購入している投資家も多いことでしょう。しかし、足元では利上げに加えて世界情勢の悪化もあり、株価は頭打ちになっています。米国経済がいつまでも成長を続けるとは言い切れないのが実際のところです。リスク分散を考えるなら、投資先を米国に絞らずに、日本や他の先進国、新興国の株式などに幅広く分散させておくといいでしょう。

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世界中の先進国と新興国の株式に幅広く投資し、地域分散が効いたポートフォリオを作るのに便利な投資信託が、全世界株を対象にしたインデックスファンドです。株式市場の平均への連動を目指すインデックス型ファンドの魅力は、何といっても運用コストの安さ。最近では、売れ筋のインデックスファンドの大半が購入手数料ゼロとなっています。信託報酬もかなり安くなってきており、税込みで年0.1%程度の投資信託も登場しています。

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世界株に投資する代表的なインデックスファンド

ここでは、新興国を含む全世界株に投資するインデックスファンドの中から、信託報酬の低さや純資産総額を基準に、ポピュラーなものを4本選出しました。

インデックスファンドは、基準となるベンチマーク(株価指数)が同じであれば信託報酬が低いもの、純資産総額の大きいものを選ぶのが安心でしょう。4本のファンドについて信託報酬とリターンなどを表にまとめたので、ファンドを選ぶ参考にしてください(以下、データは2022年4月28日時点)。

投資信託名 信託報酬
(年率・税込み)
1年
リターン
3年
リターン
純資産総額 運用会社
SBI・全世界株式
インデックス・ファンド
(愛称:雪だるま(全世界株式))
実質
0.1102%程度
9.5% 49.9% 566.7億円 SBIアセット
マネジメント
eMAXIS Slim 全世界株式
(オール・カントリー)
0.1144% 11.2% 52.4% 4979.9億円 三菱UFJ国際投信
eMAXIS Slim 全世界株式
(除く日本)
0.1144% 11.7% 54.1% 1346.7億円 三菱UFJ国際投信
楽天・全世界株式
インデックス・ファンド
(愛称:楽天・バンガード・
ファンド(全世界株式))
実質
0.2020%程度
9.7% 50.6% 1713.0億円 楽天投信投資顧問

※データは2022年4月28日時点の月次レポートから抜粋

SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(全世界株式))

ベンチマークはFTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(円換算ベース)。信託報酬がとにかく安いのが特徴で、実質0.1102%程度です。今回紹介する4つのインデックスファンドのうち、信託報酬が最も安くなっています。コスト重視の人で、利用している証券会社が取り扱っているなら検討の価値ありでしょう。

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

ベンチマークはMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス。信託報酬は0.1144%で、こちらもまた超低水準となっています。『SBI・全世界株式インデックス・ファンド』よりやや信託報酬が高いですが、無視できるレベルの差といえます。信託報酬だけにこだわらず、信託報酬以外の要素(純資産総額や取扱証券会社、過去の運用実績など)で比較した方がよいでしょう。

eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)

『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』から日本を除いた投資信託です。信託報酬はオール・カントリーと同じ0.1144%となっており、非常に低水準です。

ベンチマークはMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスから日本を除いたもので、日本以外の資産に広く投資したい人におすすめです。すでに国内株式の個別銘柄に投資している人は、投資信託ではあえて日本以外の株式に投資するインデックスファンドを保有するという考え方もあります。

なお、過去3年のリターンはオール・カントリーより高くなっています。

楽天・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:楽天・バンガード・ファンド(全世界株式))

『SBI・全世界株式インデックス・ファンド』と同様に、ベンチマークはFTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(円換算ベース)です。信託報酬は実質0.202%程度で、SBIより若干高くなっています。ベンチマークが同じであれば値動きに大きな違いはないので、手数料や証券会社の取り扱いの有無で選ぶとよいでしょう。

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