現役証券アナリストの佐々木達也さんが、株式市場で注目度が高い銘柄の強みや業績、将来性を解説する本連載。第22回は、野菜や花の種苗の世界大手メーカーであるサカタのタネ(1377)を取り上げます。

  • サカタのタネは世界170カ国以上で事業展開。売上高の約65%は海外
  • 強みは「研究開発力」。毎年約10品種の野菜、約40品種の花を世の中に送り出す
  • 種苗の需要は今後も伸びると期待。海外売上高比率の高い同社には円安も追い風

サカタのタネはどんな会社?

サカタのタネは野菜や花の種苗の世界大手メーカーです。花や野菜の種苗の研究開発、生産のほか、それらを支える農園の資材や造園事業も手がけています。種苗とは植物の生産や増殖に必要な種・苗・球根を総称した言葉です。我が国の種苗業は江戸時代に優れた種を育てた農家が副業として周囲の農家に種を販売したことが始まりと言われています。

種苗メーカーは農業などのプロの生産者向けや園芸愛好家に種苗を販売しています。生産者が花や野菜を育てながら次年度の栽培のための種を確保することは手間や効率、品質の面から難しいため種苗メーカーから種を毎年購入しています。同社は世界170カ国以上で事業展開を行っており、売上高の約65%は海外での売り上げです。

古くは1913年(大正15年)に創業者の坂田武雄氏が欧米からの帰国後に横浜に「坂田農園」を設立し創業しました。当初は苗木の輸出入やユリの球根の輸出を手がけていましたが、その後は種子の販売を手掛け、本格的に優良品種の育成に取り組みました。

サカタのタネの強みは?

サカタのタネの強みは「研究開発力」です。これまでに誰も取り組まなかった先進性の高い花や野菜、それらを栽培する農園芸資材を開発してきました。

種子の新たな品種は違った遺伝子を持つ品種同士の掛け合わせによって作り出されます。サカタのタネは100年の長い歴史で積み重ねた豊富な遺伝資源を持っており、経験豊富で優れた技術を持つブリーダー(育種家)が世界中で開発や情報交流を行っています。これにより毎年野菜で約10品種、花で約40品種を世の中に送り出しています

これまでもさまざまな高品質の種苗を開発しており例えば1977年には高品質なネットメロンのアンデスメロンを開発しました。それまでのネットメロンは栽培が難しく甘味や品質が不安定でした。サカタのタネは品質もさることながら日持ちの良さや収穫量も多いアンデスメロンを開発し、世界中に広がりました。「アンデス」とは「作っても売っても食べても安心です」というアピールポイントから来ています。


有名なメロンのブランド「アンデスメロン」もサカタのタネの開発品種
※画像はイメージ

そのほか、従来種の品種改良にも常に取り組んでおり、現在、ブロッコリーの世界シェアは65%、トルコギキョウのシェアは70%以上となっています。

サカタのタネの業績や株価は?

サカタのタネの2022年5月期は売上高が715億円、営業利益が100億円を見込んでいます。会計基準が「収益認識基準」に変わったため前期との比較はできませんが、単純な数値の比較では前期の売上高692億円から3%増収、営業利益97億円から3%の増益となります。

足元の事業環境はレタス、人参、ブロッコリー、カボチャ、トマトなどの野菜種子が海外向けで伸びています。トルコギキョウ、ヒマワリ、パンジーなどの花種子も販売が好調です。

7月8日の終値は4345円で投資単位は100株単位となり最低投資金額は約44万円です。

サカタのタネ(1377)の株価(2021年7月~、月足、終値)

ロシア・ウクライナ情勢や世界的なモノの値上がり(インフレ)で食料の価格が高騰しています。またコロナで人々の生活スタイルが変化し、住居に手間やお金をかけるようになり、ガーデニングの需要も高まっています。物流の混乱などの不透明要因もありますが、野菜・花の種苗の需要は今後も伸びると期待されます。また、為替の円安も海外売上高比率の高い同社にとって追い風となっています。

株価は先行きへの期待から2月以降しっかりとした展開が続いており、今後も堅調な展開を想定しています。

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