リスクがなく、絶対に損しない投資というものは存在しません。多かれ少なかれ投資にはリスクがあり、場合によっては資産を減らすことや、投入した資金以上の損失が生じることもあります。ただし、工夫をすることによって、損をしにくい投資を実現することは可能です。本記事では、損をしにくい投資のコツをご紹介します。

  • 投資のリスクとリターンは表裏一体。ノーリスクの投資は存在しない
  • 長期・分散・積み立てを心がけることで、投資のリスクを軽減できる
  • 投資商品ごとの特徴を理解した上で、それぞれに対して損をしにくい投資方法を実践

ノーリスクで預金より増える投資は存在しない

投資のリスクとリターンは表裏一体です。投資におけるリスクとは、「値動きの不確実性」のことです。「リターン(収益)の振れ幅」と言い替えることもできます。何かに投資したとき、その投資先が値上がりすることもあれば、値下がりすることもあります。リスク=値動きを抑えた投資はリターンが少なく、ハイリターンを期待できる投資はリスクも高い傾向にあります。

実際のところ、ノーリスクで預金より増える投資は存在しません。例えば、個人向け国債は預金よりも高金利ですが、国の信用状況が悪化して元本が回収できなくなる可能性はゼロではありません。そして、預金にもリスクが全くないわけではありません。お金を預けている金融機関が破たんしたら、「預金保険制度」によって預金は保護されますが、1金融機関につき、1人あたり元金1000万円とその利息が保護の上限となります。1000万円を超えるお金を預けていた場合、資産の一部を失うことにもなりかねません。

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投資のリスクを抑える方法は存在する

預金を含め、投資をするときは常にリスクを考えておくことが必要です。損をしない投資を実現するためにも、リスクを抑える工夫をしましょう。

投資のリスク軽減方法の基本は、「長期・分散・積み立て」の3つです。それぞれの方法でなぜリスクを抑えられるのか、また、具体的にどのように実践できるのか見ていきましょう。

長期にわたって投資をする

投資において、リスクとリターンは比例関係にあるといえます。リスクが低い投資はリターンが小さく、反対にリターンが大きい投資はリスクも高いことが一般的です。例えば、金融機関が破たんしない限りは決まった利息が約束される「預金」は、最もリスクが低い金融商品ですが、2023年2月現在では普通預金で年0.001%程度(税引き前)、定期預金で年0.002%程度(税引き前)と、リターンも小さく設定されています。

短期間で利益を得ようとすると、どうしてもリスクの高い投資方法を視野に入れなくてはいけません。うまくいく可能性もありますが、元本割れの可能性もあるため注意が必要です。リスクを抑えて投資をするためには、時間軸を長く持つことも大切です。1年単位などで見れば低いリターンでも、10年、20年と時間をかける長期投資で、大きく資産を育てることができます。

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そして、長期投資の最大のメリットは、投資期間が長くなるほど、リターンの振れ幅が小さくなりやすいことです。株式や投資信託を買った場合、短期的には元本割れの可能性がありますが、長く持ち続けていれば、収益がプラスになる可能性は高くなる傾向があります。目先の値動きにまどわされず、腰を据えて投資にのぞむことを心がけましょう。

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金融機関や投資対象を分散する

リスクを抑える2つ目の方法は「分散」です。どれだけリスクの低い金融商品を選ぶ場合でも、1つのみに集中して投資することはおすすめできません。

例えば、ローリスク投資の筆頭でもある預金も、万が一金融機関が経営破たんしたときは預金保険制度で1人あたり元金1000万円とその利息しか保護されません。1000万円を超える現金を預金するときは、複数の金融機関に分散するほうがよりリスクを抑えられるでしょう。

また、複数の金融機関に預ける場合であっても、すべての資産を預金だけで管理するとインフレリスクに対応できません。実際のところ、日本のインフレ率は年3%ほど(※)のため、預金として金融機関に資産を預けていると、利息がついても資産価値は目減りしていることになります。預金だけで資産を管理するのではなく、株式や投資信託などのリスクが高めの金融商品も視野に入れ、投資対象を分散させることも大切です。

※2021年の前年比消費者物価上昇率から
参考:2020年基準消費者物価指数 結果の概要(全国)

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積み立てタイプの投資をする

リスクを抑える3つ目の方法は「積み立て」です。積み立てとは一定期間ごとに同額の金融商品を購入する仕組みのことで、投資信託において利用されることが一般的です。例えば、積立投信を実施している証券会社で口座を開設し、投資信託Aを毎月20日に3万円ずつ購入するように設定しておくと、自動的に積み立て投資ができます。

投資信託は価格が変動するため、割高なタイミングで一括購入してしまうと、原価割れの可能性が高くなる点に注意しなくてはいけません。積み立て式で投資をするなら、購入するタイミングを分散でき、割高なタイミングで大量に購入することを回避できます

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商品ごとに、損をしにくい投資の方法を考えてみよう

長期・分散・積み立てを心がけることで、投資のリスクを軽減できます。加えて、投資商品ごとの特徴を理解した上で、それぞれに対して損をしにくい投資方法を実践することが必要です。

債券・株式・不動産・投資信託・FXの5つの投資商品について、それぞれの仕組みや種類、想定されるリスクをまとめました。損をしにくい投資方法もご紹介します。ぜひ、手堅い投資の参考にしてください。

債券

債券投資で損を回避する方法

  • 信用格付けが高い債券を選ぶ
  • 償還日まで保有する
  • 外貨建て債券は円安のタイミングで購入する

債券投資とは、国や自治体、企業などの団体が発行した債券を使って利益を得る投資方法です。債券は最初に金利と償還日(投資終了日)が決まっているため、計画的に運用できるというメリットがあります。

また、債券は償還日前に売却できるので、急にまとまった資金が必要になったときにも対応可能です。債券は、世の中の金利や景気などの影響で価格が変動します。債券価格が上昇していれば、途中売却により利益が得られるケースもありますが、逆に債券価格の下落によって損失が出ることもあります。また、個人向け国債などでは「中途換金調整額」などの手数料が引かれる点に注意が必要です。

債券の種類については以下をご覧ください。

国内債券 外国債券
国債(日本国が発行)
地方債(自治体が発行)
社債(民間企業が発行)
円建て外債(日本円で購入できる外国債券)
外貨建て外債(外貨で購入する外国債券)

債券には、主に信用リスクと価格変動リスク、為替変動リスクの3つのリスクがあります。

信用リスクとは、発行体が財政難のときに利子や償還を受けられなくなるリスクです。
一般的に信用リスクと金利は比例傾向にあるため、リスクを抑えた投資を目指すのであれば金利が低い債券を選択することになります。また、格付け会社の格付けも参考になります。BBB(トリプルビー)以上の債券は、比較的信用リスクが低いといわれているため、目安にしてみましょう。

価格変動リスクとは、償還日前に債券を売却する場合に発生するリスクです。債券によっては額面よりも低い金額になることもあるため、損しないためにも償還日までは保有するようにしましょう。

また、為替変動リスクとは、外貨建ての債券において発生するリスクです。償還の際に為替が円高方向に進んでいると、満額償還でも元本割れが生じます。為替変動リスクを抑えるためには、円安のタイミングで外貨建て債券を購入する、あるいは円建て債券のみを購入することも検討してみましょう。

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株式

株式投資で損を回避する方法

  • 長期保有による利益を目指し、株価が安定した大型株を狙う
  • 複数の銘柄に分散投資をする

株式投資は、売買と保有の2つの方法で利益を得ることが可能です。売買で利益を得るためには、株価が上昇しそうな株式(個別銘柄)を購入することが必要です。十分に株価が上昇したところで売却すれば差額を利益として得られますが、予想に反して株価が下がり、損をしてしまうことも少なくありません。

企業によっては、定期的に利益の一部を「配当金」として株主に還元したり、自社製品やサービス券などを「株主優待」として株主に提供したりしていることがあります。このような企業の株式なら、保有しているだけで定期的に利益を得ることが可能です。

売買による利益を目指すのであれば、実際の価値よりも株価が低い「バリュー株」に注目しましょう。証券会社などで公開しているPER(株価収益率)を同業他社のPERと比較し、株価が割安と判断できるときはバリュー株の可能性があります。

「PER」を株価評価のものさしに

銘柄を選ぶときは、時価総額にも注目してみましょう。時価総額とは「発行株式数×株価」によって計算できる数字で、東京証券取引所では時価総額が上位100以内に入る銘柄を「大型株」、次の400銘柄を「中型株」、その他を「小型株」と呼びます。

投資で成功するための売上・利益・時価総額の見方

大型株は比較的株価が安定しているため、保有による利益を目指すときに適していることが多いです。一方、中小型は株価変動が激しくなりがちです。ただし、いずれにしても債券投資に比べハイリスクな投資といえるため、複数の銘柄を保有して分散投資を心がけることが大切です。

不動産

不動産投資で損を回避する方法

  • 空室が生じることも想定して、ローンの返済計画を立てる
  • 補償と保険料のバランスを検討する
  • REITやREIT投信を活用する

不動産投資とは、不動産を活用して利益を目指す投資です。一般的には、マンション1室、アパート1棟を所有して家賃収入を得ることをいいます。

不動産投資は、土地代や物件代などに莫大な初期費用がかかることがあります。初期費用が不足するときには多額の借金を抱えることになるため、十全な資金計画を立ててから始めるようにしましょう。

不動産投資は、空室リスクと災害リスクに注意が必要です。空室があると家賃収入が減るため、ローンの返済にも影響が及ぶこともあります。

また、火災や地震などで物件が倒壊した場合には、建て直す費用が必要になります。火災保険や地震保険で補償を手厚くしておくこともできますが、保険料の負担が大きくなり収益率が下がる点にも注意しましょう。

少額の資金で不動産投資を始めたい方は、REIT(リート)やREIT投信(REITファンド)に注目できます。REITとは不動産投資信託のことで、投資家から集めた資金でオフィスビルやホテルなどを運営し、家賃収入や売却益を分配する金融商品です。

一方、REIT投信は複数のREITを組み合わせた投資信託で、リスク分散が可能なため、通常のREITよりもローリスクとされています。REITは数万円程度、REIT投信は1000円程度から購入でき、負担の少ない投資を実現できます。

現物不動産投資とリートのメリットを徹底比較!

投資信託

投資信託で損を回避する方法

  • バランス型の投資信託を選ぶ
  • 公社債投資信託を選ぶ
  • 株式投資信託は長期・分散・積み立てを実践する

投資信託は、株式や債券、不動産などを組み合わせて運用する金融商品です。投資信託は複数の投資対象を組み合わせているため、簡単に分散投資ができるというメリットはありますが、さらに徹底した分散投資を実現する場合は「バランス型」に注目してみましょう。

バランス型投資信託とは、株式だけ、債券だけというように1つの資産に偏らずにさまざまな資産を組み合わせた投資信託です。外国株式や外国債券も組み込んだものもあり、複数の国に分散投資もできます。

株式が組み込まれる株式投資信託と比べると、債券のみの公社債投資信託はリスクが低い傾向はあります。株式投資信託を運用するときは、長期・分散・積み立てを心がけ、リスク低減を実現しましょう。

投資初心者必見! 投資信託を選ぶ6つのポイント

FX

FX投資で損を回避する方法

  • レバレッジを低く設定する
  • 金利変動が激しい新興国通貨を避ける
  • 多額の投資は慎重に行う

FXでは為替レートの差を利用して、利益を得ることが可能です。例えば、1米ドル=100円のときに1万米ドルを購入し、1米ドル=110円になったときに売却すると、手数料を考慮しないならば10万円の利益が得られます。また、FXでは預金の利息にあたる「スワップポイント」があり、「買い」の通貨の利息が「売り」の通貨の利息より高い場合、通貨間の利率の差がスワップポイントとして、投資家の利益となります。

為替レートの差と利息(スワップポイント)が利益になる点で、FXは外貨預金に似ています。しかし、次の2つの理由により、そのまま外国通貨を購入するよりも、FXでは少ない元手で多額の利益が得られる仕組みとなっています。

  • 実際に取引をする金額の一部のみを「証拠金」として預ける
  • 実際の取引額を、証拠金の最大25倍(日本の場合)まで設定することができる(レバレッジ)

しかし、少ない元手で多額の利益を得られるということは、裏を返せば、多額の損失を抱えやすい投資であることに他なりません。やり方によっては他の投資と比べてもリスクが高くなりやすいため、レバレッジを高くし過ぎないこと、金利変動が激しい通貨に注意をすることなどを心がけて慎重に運用しましょう。

FXが「怖い」と思われてしまう2つの理由

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