現役証券アナリストの佐々木達也さんが、株式市場で注目度が高い銘柄の強みや業績、将来性を解説する本連載。第4回は、多角化戦略で成長するソニーグループ(6758)を取り上げます。

  • ゲーム&ネットワークサービス、音楽、半導体の3事業が柱
  • ものづくり企業からテクノロジーやコンテンツを武器とする総合企業グループへ
  • 引き続きゲームや音楽などのデジタル分野の好調が期待される

ソニーグループはどんな会社?

ソニーグループはエレクトロニクスの世界大手であり、コンテンツや半導体などを軸とした多角的な企業経営を行っています。「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」をスローガンとし、企業買収(M&A)や構造改革を進めながら競争力を高めています。

ソニーグループはゲーム&ネットワークサービス、音楽、半導体(イメージング&センシングソリューション)の3つの事業を成長事業領域と定義しています。

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ゲーム&ネットワークサービスでは、主力のプレイステーションを中心としたグローバルでの販売が好調です。新型コロナの影響で在宅でのゲームプレイ時間が増え、コロナ感染拡大前のおよそ20%増となっています。新発売のプレイステーション5は半導体の不足の影響もありますが品薄の状況が続いています。パッケージよりも利益率の高いゲームソフトのダウンロードの比率が増加したことも収益力を高めています。

プレイステーション5
2020年11月に発売されたPlayStation 5(PS5)。依然として品薄状況が続く
agencies / Shutterstock.com

音楽分野ではストリーミング配信の普及が追い風となっています。傘下のソニー・ミュージックグループは国内ではLiSA、米津玄師、NiziU、YOASOBIなどの人気アーティストの楽曲配信、ファンクラブ・イベント運営、グッズ販売なども伸びており新人アーティストの発掘にも注力しています。グループ会社のアニプレックスが手掛ける人気アニメ「鬼滅の刃劇場版 無限列車編」は興行収入が400億円を超える大ヒットとなりました。今秋にはテレビ版の続編「鬼滅の刃 遊郭編」の放映も予定されており関連グッズなども含めた多角的な展開が続きそうです。

半導体分野ではCMOSイメージセンサーに注力しています。イメージセンサーはスマートフォン、デジカメなどのカメラレンズなどに使用される、人間で言う網膜に相当するセンサーです。スマートフォン向けのシェアは4割を超え世界トップとなっています。今後さらに利用が広がる監視カメラや車載カメラなどについても投資家から期待される分野です。

ソニーグループの強みは?

ソニーグループの強みは、事業の選択と集中による経営力と安定的な収益を稼ぐ力です。ソニーはかつてのウォークマンや液晶テレビに代表されるようなものづくりのエレクトロニクス企業から脱却し、テクノロジーやコンテンツを武器とする総合企業グループとなっています。

テレビやパソコン事業で大赤字を続けていた時代もありましたが、2012年に平井一夫前会長が社長兼CEOに就任しトップダウンで競争の激しい事業を縮小し、強みを活かせる分野に特化する地道な構造改革を続けた結果、現在の事業ポートフォリオとなりました。

また、リカーリングビジネスと呼ばれる安定的な継続収入を育てている点も評価されています。例えばデジタルカメラの交換レンズやプレイステーションのネットワーク有料会員、音楽配信のストリーミングサービスなどが伸びた結果、ソニーの売上高の4割以上がこうした継続収入によるものとなりました。

ソニーグループの業績や株価は?

ソニーグループの今期2022年3月期は、売上高が9兆7000億円、営業利益が9300億円を見込んでいます。今期から国際会計基準と呼ばれる会計基準に変わるため前年比較での増減率は記載していません。

引き続きゲームや音楽などのデジタル分野の好調が期待されます。また新型コロナの影響で製作の滞っていた映画分野などについてもワクチンの普及で業績の回復が見込まれます

ソニーグループ(6758)の株価(週足、終値)
ソニーグループの株価チャート期間:2021年1月4日~2021年9月24日

9月24日の終値は13000円で、投資単位は100株単位となり、最低投資金額は約130万円です。24日にはインドの放送大手企業の経営統合を発表するなど海外での多角化が好感され、株価は21年ぶりの高値を付けており、さらなる伸びが期待されそうです。

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