FXは「怖い」「危ない」というイメージを持たれがちですが、それはFXの仕組みに理由があります。FXの特徴である「レバレッジ」「ロスカット」を理解すれば、リスクのコントロールが可能です。漠然とFXが怖いと思っている方は、本記事でFXの基本的な仕組みを理解したうえで、まずは小さなリスクで取引を始めてみてはいかがでしょうか。

  • FXが怖いと思われる理由その1 自己資金以上の取引ができる「レバレッジ」
  • FXが怖いと思われる理由その2 強制的に取引を終了する「ロスカット」
  • レバレッジを抑え、無理のない余裕資金で取引すればリスクはコントロール可能

FXのイメージは「怖い」「危ない」

FXとはForeign Exchangeの略で、日本語では「外国為替証拠金取引」と言います。基本的な仕組みは外国為替取引、つまり外貨の両替と同じです。

日本人がアメリカに旅行する際には、日本円から米ドルに両替をします。もし、出発時に1ドル=130円で両替し、帰国時には円安が進んで1ドル=140円となっていれば、帰国後に再両替すると1ドル当たり10円分得します。このように2つの通貨の間で、価格変動による為替差益を狙って通貨を売買することを「外国為替取引」といいます。

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FXの場合は、外国為替取引を行うことは通常の外貨の両替と同じですが、「証拠金」という要素が絡んできます。これが「FXはハイリスク・ハイリターン」と言われるゆえんです。

ここからは、FXがハイリスク・ハイリターンと言われる2つの理由について詳しく見ていきましょう。

理由1 自己資金以上の取引ができる

通常の外国為替取引では、その時実際に持っている金額の分だけしか外貨を購入できません。手持ちのお金が13万円で、為替レートが1ドル=130円なら、両替して受け取れるのは1000ドルとなります。

しかし、FXでは「証拠金」と呼ばれるお金を担保として差し入れることによって、証拠金の最大25倍までの金額を取引することが可能です。これをレバレッジ取引といいます。例えば、13万円の証拠金があれば最大325万円もの取引が可能ということになります。1ドル=130円なら、2万5000ドルが取引できます。

このように、少しの金額で大きな金額を動かせるために、短時間で効率よく稼げる可能性があることがFXの特徴です。

なお、レバレッジ上限の25倍という数字は、金融庁の規制によるものです。個人用のFX口座ではレバレッジは25倍を上限として、自由に設定できるのが一般的です。

レバレッジをかけると自己資金よりはるかに大きな金額を取引できるため、利益だけでなく、損失も大きくなりやすいのがFXの特徴です。例えばドル/円を買い持ちしたときに、為替が1ドル=135円から134円に下がった場合を考えます。通常の外国為替取引では約0.74%の損失となりますが、レバレッジが25倍の場合は、損失はなんと18.5%になります。ドル/円は1日で1円程度下がることも珍しくありません。レバレッジを最大にすると、1日で資産が2割も減るようなことが日常的に起こり得ることになります。

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高レバレッジでFXの取引をすると、1%に満たない為替変動でも大きな損失を抱えてしまうことがある

株式の個別銘柄であっても、1日で2割を超えるような下落はまれです。FXでレバレッジの倍率を高くすると、現物株や投資信託とは比べものにならないくらいハイリスクな取引になることが分かるのではないでしょうか。

理由2 強制的に取引終了することがある

ロスカットとは、FXの取引で損失が一定の水準を超えた時に、強制的に反対売買を行って損失額を確定させる仕組みのことをいいます。

損失額が証拠金以上の金額になると、証拠金を失うどころか損失を抱えることになってしまいます。例えばレバレッジ25倍で取引する場合、為替が想定の方向と反対に4%以上動くと、損失額は証拠金を超えてしまいます。もしロスカットがなければ、どこまでも負債がふくらんでしまう危険性すらあるのです。ロスカットは、投資家の損失が想定以上にならないように、投資家を守るための制度だといえます。

ロスカットはいわば強制的な取引終了なので、その時点で損失が否応なしに確定します。そのため、ロスカットは怖いと思う投資家が多いようです。


ロスカットは相場の急変動により損失が拡大することを防ぎ、投資家を守る仕組み

FXのリスクはコントロールできる

個人向けのFX口座では、自分のリスク許容度に合わせたレバレッジを選べるようになっています(設定したレバレッジによって必要な証拠金額が異なります)。25倍のレバレッジといえば非常にハイリスクですが、無理のない倍率で取引すればリスクを抑えることが可能です。

また、リスクを限定的にするためには「逆指値注文」という方法も有効です。逆指値とは、レートが「上がったら買う」、または「下がったら売る」注文方法で、通常の指値注文とは逆の取引のことをいいます。1ドル=135円でドル/円を買った場合、例えば1ドル=137円になったら売って利益を確定させるのが通常の指値注文ですが、これとは逆に、1ドル=133円に下がったら売って損失を確定させてしまうのが逆指値注文の使い方です。

あらかじめ許容できる損失額を決めて、為替レートが想定と逆方向にここまで動いたら決済するという逆指値注文をしておけば、思わぬ損失の拡大を防げます

FXは、リスクコントロールを正しく行えば必要以上に恐れる必要はありません。例えば松井証券では100円からFXの取引ができ、少額から気軽に始めることもできます。まずは少額かつレバレッジ1倍で、失敗しても痛くない範囲でチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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