現役証券アナリストの佐々木達也さんが、株式市場で注目度が高い銘柄の強みや業績、将来性を解説する本連載。第40回は、個人向け気象情報アプリでおなじみのウェザーニューズ(4825)を取り上げます。

  • ウェザーニューズは、世界最大の民間気象情報会社。21カ国で気象予測を提供
  • 航海、航空、水産、エネルギー、防災、イベントなどあらゆる企業にサービス提供
  • 今期2023年5月期は過去最高売上高の予想。株価も上昇トレンド回帰の兆し

ウェザーニューズ(4825)はどんな会社?

ウェザーニューズは、世界最大の民間気象情報会社です。世界21カ国で独自の予報モデルによる気象予測を提供しています。気象情報アプリやサイトの「ウェザーニュー“ス”」を使ったことのある方も多いのでは、ないでしょうか?

1970年、福島県いわき市で起きた爆弾低気圧により、15名の命が失われました。当時は気象技術も未発達で予測ができませんでした。創業者の石橋博良氏は、この事故をきっかけにした「船乗りの命を守りたい」との思いから米国の気象予測会社オーシャンルーツに転職します。その後、オーシャンルーツの日本法人から転じて1986年、ウェザーニューズを設立し、最終的には親会社を買収するまでに至っています。

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ウェザーニューズ(4825)の強みは?

ウェザーニューズの強みは、気象情報を利用した幅広いサービスです。

個人向けには、「ウェザーニュース」などの気象情報などを提供しています。法人向けでは、航海、航空、水産、エネルギー、防災、イベントなどあらゆる企業に気象予測をベースとした情報を提供しています。

例えば、船舶向けには、気象予測を元にした経済的な航路の計算などを行っています。船舶は、最短距離で目的地に向かうことができれば最も燃料費などの効率が良いですが、ルート上で台風や大波などと遭遇してしまう場合は、適切な回避をしなければなりません。同社はこうした気象予測をもとに最小燃料、最短時間での航海をサポートしています。

道路向けでは、高速道路を管理するNEXCOなどの道路管理者向けに、気象リスクを分析し、施策や通行止めなどのオペレーションを支援しています。また、ドライバーにとっても天候や交通渋滞などの的確な情報を届けるため、スマートフォンやサービスエリアなどのモニターで情報提供を行っています。

また、最近増えているゲリラ雷雨や台風による土砂崩れなど地方自治体と連携した防災気象サービスも手がけています。自治体と防災気象コンテンツチームとの24時間365日利用可能な専用ホットラインにより、避難確認などの意思決定に必要な防災データをリアルタイムで提供し、サポートしています。

ウェザーニューズ(4825)の業績や株価は?

ウェザーニューズが4月6日に発表した2022年6月~2023年2月期は売上高が前期比7%増の158億円、営業利益は19%増の25億円と増収増益となりました。

コロナ禍が後退したことで国際線などの便数が回復した航空業界向けが伸びました。船舶向けでは日本や欧州向けで契約隻数が増えたほか、為替の円安も業績のプラスになりました。個人向けのモバイル・インターネット向けは、広告強化による効果でサブスクリプション売上高や広告収入が伸びました。

今期2023年5月期は売上高が7%増の210億円、営業利益が10%増の32億円を見込んでいます。売上高は過去最高を更新する予想となっています。

4月7日の終値は6610円で投資単位は100株単位となり最低投資金額は約67万円です。

ウェザーニューズ(4825)の株価(2022年1月~、月足)
ウェザーニューズ(4825)の株価チャート

株価は2022年11月の高値8170円から下落トレンドとなっています。広告宣伝費の増加やソフトウエアの開発などの人材費用が増えて、コストがかさんでいたことが嫌気されました。

ただし、マスク着用の考え方の見直しなどもあり、国内でも経済活動が活発化する流れで、さまざまな業界でウェザーニューズの気象情報の需要は回復すると思われます。

株価も7日に上値の抵抗ラインとなっていた下向きの25日移動平均線を一時上抜ける場面があり、上昇トレンドへの回帰の可能性も少しずつ高まっているとみられます。

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