「預金なら安心」って本当なの? 「元本保証」って、実際に何を保障してくれるの? 実は、現金にもリスクが潜んでいるのです。本連載ではそんな「現金のリスク」を切り口に、お金のほんとうの価値を守るための資産運用について考えていきます。今回は、上昇が続いている日本株に投資する手段として、投資信託やETFに注目してみます。

  • 株式の集中投資は難しい。投資信託による分散投資や、ETFの活用を考える
  • 日本株のETFには、配当など株主還元に積極的な銘柄を対象としたものもある
  • 株価の動向に注目しながら、「投資の機会」を逃さないことが大切

日本株がすごい勢いですが……こういう株価の情勢の時には、平成バブル崩壊やITバブル崩壊、リーマン・ショック、コロナショックなど、とかく、日本の歴史に学んでしまいがちです。さあて、こんな時は、どうしましょうか?

こういう時にこそ分散投資

伸びる株式に「一点集中」といきたいところですが、株式を選ぶのも、時間と労力を要しますし、目移りもします。できることなら、伸びそうな「複数の株式」に投資したいところですが、今度は投資資金という課題もあります。

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そこでファンド(投資信託)による分散投資を考えます。分散投資というと「リスク分散」をイメージしがちですが、一つのファンドで「複数の株式」に投資が可能ですから、「複数の投資機会を得る」という発想もできそうです。

しかし、一般的な投資信託は「投資する日の基準価額も分からないまま」の投資となりますし、指値すらできません。そこで、こういう時だからこそ、選択肢に入れたいのがETFです。

売りか買いかを悩む人
日本株は売りか、買いか? 買うのなら個別銘柄に集中投資か、それとも投資信託か、ETFか?

では、どんなETFなら?

ETFといえば、TOPIXや日経225、JPX日経400などの代表的な指数(インデックス)によって構成されたETFは、ご存知の方も多いと思います。実はETFの中には、「配当、自社株買いなどの株主還元を積極的に行っている銘柄を選定して、構成銘柄とする株価指数」というETFも存在します。

日本株(テーマ別)のETF一覧(日本取引所グループ)

ですので、もし、相場全体が下降気味になっても、積極的な株主還元で多少なりともリカバリーできるかもしれません。ちなみに、先述のETFは、分配金の支払い日が年に4回となっています。

ほかにも、予想配当利回り4.5%の「高配当」のETFもあります。やはり、先述と同じく相場全体が下降気味になっても、配当金で少しでも回収しようというスタンスです。配当金の支払い日は、やはり年4回です。

また、時価総額や流動性が特に高い30銘柄を集めたETFなどもあります。

【図表】ETFと投資信託の比較
ETF 投資信託
上場・非上場 上場 非上場
取得可能な時間 取引所の取引時間中 申込期間中の9時~15時
取得価格 取引時間中にリアルタイムで変動する市場価格 1日1回算出される基準価額は翌営業日に判明する
取得場所 証券会社 ファンドごとに異なる販売会社で、証券会社や銀行、郵便局など
買い方 上場株式と同じく市場で指値/成行注文で取得 販売会社を通じ基準価額をもとに購入価額を算出して購入
コスト 取得時
の費用
市場で取得する際に、証券会社により異なる売買委託手数料 ファンドによって、また販売会社ごとに異なる販売手数料
信託報酬 一般的に非上場の投資信託に比べ低い 一般的にETFより高め
売却・解約
時の費用
市場で売却する際の売買委託手数料など 信託財産留保額や換金手数料がかかる場合がある
分配金・配当 分配金は課税対象 普通分配金は課税対象
元本払戻金(特別分配金)はない 元本払戻金(特別分配金)となる場合がある

まとめに代えて

今の日本の株価が「上がり過ぎ」なのか?、「まだまだ伸びる」のか? その答えは、「今が歴史」にならなければ分からないかもしれません。

大切なことは「投資の機会」を逃さないことだと思います。投資資金がゼロなら、何も迷うことはありません。ゼロはゼロなのですから。しかし、まとまった余剰資金があり、当分、大きな支出を伴うライフイベントがないのでしたら、「投資の機会」を逃さない方が良いでしょう。

なお、ETFは「1口」単位や「10口」単位で投資できるものもあります。売買手数料も考慮しつつ、少額で投資しつつ、様子を見るのも良いかもしれません。

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