現役証券アナリストの佐々木達也さんが、株式市場で注目度が高い銘柄の強みや業績、将来性を解説する本連載。第48回は、出張買取などを軸にリユース商材の販売・買い取りを手がけるBuySell Technologies(7685、バイセルテクノロジーズ)を取り上げます。
- バイセルテクノロジーズは、リユース商材の販売・買い取りを手がけている
- 遺品整理など個人の持ち物をまるごと売却したいというニーズが出張買取の6割以上
- 年後半にかけて業績の拡大が期待され、仕込み時を考えてもよいタイミングかも
バイセルテクノロジーズ(7685)はどんな会社?
BuySell Technologies(7685、バイセルテクノロジーズ)は、出張買取などを軸にリユース商材の販売・買い取りを手がけています。
イメージキャラクターの木村佳乃さんが出演する「着物の妖精」などのテレビCMを見たことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
同社は2001年に設立され、当初は人材紹介を中心に事業をスタートしました。転機が訪れたのは2015年、出張買取を軸としたリユース事業を譲り受け、「スピード買取.jp」サービスを開始し、現在の事業の基盤となりました。2019年には、マザーズ市場(現在は東証グロース市場)に上場した成長企業です。
その後は、全国に事業や店舗展開を広げながら、事業者向けのバッグ・宝石・時計のオークションのタイムレス、ブランド品の買取事業のフォーナインなどをM&Aで買収し、事業規模を広げてきました。
バイセルテクノロジーズ(7685)の強みは?
バイセルテクノロジーズの強みは、出張買取です。
フリマアプリやネットオークションなどにより、CtoC、BtoCのリユース業界の競争環境は、激化しています。こうした中で、同社の出張買取は切手や着物などの高額品に強みを持っています。
着物や切手などは、大量に自宅に保有している顧客も多く、特に着物は自力で持ち運ぶことが困難である点も、出張買取にマッチしています。
また、ユーザー層の主力は、50代以上のシニア層です。遺品整理などで個人の持ち物をまるごと売却したいという整理ニーズも多く、こうしたニーズが出張買取の6割以上を占めています。
同社によるとネットオークションやフリマアプリ、ネット買い取り業者によるリユースマーケットは、直近で約3兆円と言われています。
しかし、同社の出張買取がターゲットとする潜在的な自宅内で一年以上使用されていない資産、「かくれ資産」を主とするリユース市場は約37兆円と非常に膨大な規模であるとされています。
また、出張買取だけでなく、リアル店舗での買い取りなども行っています。買い取った商材は、ライブコマースなどの電子商取引(EC) や催事販売、店舗販売などの様々なチャネルで消費者、事業者に販売しています。
バイセルテクノロジーズ(7685)の業績や株価は?
バイセルテクノロジーズの今期2023年12月期連結決算は、売上高が前期比32%増の446億円、経常利益が23%増の45億円と大幅増収増益を見込んでいます。将来の成長のための人材採用強化、テクノロジー投資を継続しながらも大幅増収増益を予想しています。
5月に発表した2023年1~3月期決算は、売上高が30%増の90億円、経常利益が32%減の5億2300万円でした。出張買取は2月まで外部環境の変化でやや鈍化したものの3月には業績が回復し、期初の予想通りの着地となりました。
経常利益は減益となりましたが、社内計画通りであり、もともとは7~12月期にかけて消費者向けの販売が伸びる傾向にあることもあり、通期業績予想は据え置いています。4~6月期決算は8月14日に発表する予定です。
8月4日の終値は5110円で投資単位は100株単位となり最低投資金額は約52万円です。
株価は、昨年の11月に上場来高値の7190円を付けたのちは、下落トレンドとなり、上値の重い展開が続いていました。しかし日足チャート上では、23年4月安値の4420円、5月安値の4470円を付けて以降は値固めも進み、再度の上昇トライに十分調整が進んだとみられます。
8月に入って日本株も夏枯れモードとなり、大型の優良株も銘柄によっては一服ムードとなる銘柄も増えてきました。
こうした中でバイセルテクノロジーズのような中小型株に再度注目が集まる地合いになる可能性があります。前述のとおり年後半にかけて業績の拡大が期待されることもあり、仕込み時を考えてもよいタイミングかもしれません。