米国の政策金利であるFF金利が高止まりしている中、投資信託の一種である「米ドル建てMMF」の運用利回り(4%後半で推移)の高さが注目されています。今回は米ドル建てMMFを中心に、MMFという金融商品の仕組み、リスク、コストなどについて見ていきます。

  • MMFは債券などで運用する「公社債投資信託」。現在MMFは外貨建ての商品のみ
  • 外貨建てMMFの主な収益は分配金。金利変動や為替変動などのリスクがある
  • 外貨建てMMFは為替手数料や運用管理費用がかかり、商品や金融機関ごとに異なる

MMFとは債券などで運用する「公社債投資信託」

最初にMMF(マネー・マーケット・ファンド)の仕組みについて見ていきます。
MMFは株式を一切組み入れず、主に国債やCP(※)、社債など債券で運用する「公社債投資信託」の一種です。公社債投資信託の中でも、MMFは格付けの高い債券や短期証券を中心に運用するため、価格変動がほとんどなく、安全性の高い投資信託と言われています。

MMFの主な収益は分配金です。分配金は運用実績に応じて毎日分配され、月末にまとめて税引き後に再投資されます。それにより、投資家は複利の効果を享受できます。

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円建てMMFは、2016年の日銀のマイナス金利政策により全て償還されています。現在、MMFは外貨建ての商品しかありません。以下では、米ドルの外貨建てMMFを中心に、リスクやコスト、直近の利回りについて見ていきます。

※CP(コマーシャルペーバー):企業が資金調達のために発行する無担保の約束手形。償還まで期間が30日以内のものが多い。

外貨建てMMFの主なリスクは?

外貨建てMMFは、米ドルや豪ドル、南アフリカランドなどの外貨で運用する公社債投資信託です。
主なリスクは、以下の3つになります。

1. 信用リスク

発行体の財務状況などにより、利払いや元本の償還ができなくなるリスクです。

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2. 金利変動リスク

金利変動により分配金の利回りが変動するリスクです。例えば米ドル建てMMFは、FRB(米連邦準備理事会)が誘導目標を決める政策金利(FF金利)の上げ下げに影響を受けて変動します。

3. 為替変動リスク

為替変動により円に換算した時に分配金が変動するリスクです。投資した時より円安になれば円換算した分配金は増え、円高になれば減ります(分配金の額が変わらない場合)。

外貨建てMMFの運用にかかる費用は?

次に、外貨建てMMFに投資した時の費用面について見ていきます。

【図表】外貨建てMMFにかかる主な費用
外貨建てMMFにかかる主な費用

購入時の購入(申込)手数料や換金時の換金(買戻し)手数料、信託財産留保額はかかりませんが、円から米ドル、米ドルから円に換える際に為替手数料がかかります。為替手数料のレートは証券会社など金融機関により異なりますので、事前に調べておきましょう。

また、最小の買付額も、1,000円程度から可能な金融機関や、10,000円程度が必要な金融機関など異なります。こちらも事前に確認していきましょう。

保有(運用)期間中は、運用管理費用(管理報酬など)がかかります。運用管理費用は、一般的な投資信託の信託報酬にあたる費用です。

3つの米ドル建てMMFの運用管理費用を比較してみますと、

ノムラ・グローバル・セレクト・トラスト U.S.ドル・マネー・マーケット・ファンド……上限0.66%
ニッコウ・マネー・マーケット・ファンド(USドル・ポートフォリオ)……上限0.91%
ゴールドマン・サックス・米ドルファンド……上限0.70%

と、ファンドによりばらつきがあります。

運用管理費用日々、間接的にかかるので、運用成果への影響も大きい費用になります。
また近年、信託報酬の引き下げ競争が激しいインデックス型投資信託に比べると、高い印象を受けます。
(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー):0.05775% など)

外貨建てMMFの直近の運用利回りは?

外貨建てMMFの運用利回りは、過去7日間平均年換算利回り(税引き前)で表示されます。
2023年10月18日時点の上記ファンドの利回りは、

ノムラ・グローバル・セレクト・トラスト U.S.ドル・マネー・マーケット・ファンド……4.755%
ニッコウ・マネー・マーケット・ファンド(USドル・ポートフォリオ)……4.729%
ゴールドマン・サックス・米ドルファンド……4.877%

と、組入れ銘柄の違いによりファンドごとの利回りは異なります。
各ファンドの運用状況は月次レポートなどで確認が可能です。

まとめ

以上、2023年3月のFRBの利上げ開始から利回りが急上昇した米ドル建てMMFを中心に、外貨建てMMFの仕組みやリスク、コストなどについて見てきました。

為替変動リスクはありますが、価格変動リスクを抑えたいと考えている方は運用先の1つとして考えてみてはいかがでしょうか。

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