住宅の購入をする際、多くの人が頼ることになる住宅ローン。住宅ローンを借りている人向けには、一定期間税金の負担を軽減する「住宅ローン減税制度」が用意されています。この減税制度について、2024年1月からいくつかの変更がありましたので、今回はその概要をご説明していきます。

  • 2024年1月から住宅ローン減税を受ける場合に必要な環境性能の条件が変更
  • 子育て世帯や若者夫婦世帯は、住宅ローン減税の条件が緩和される
  • 環境性能が住宅ローン減税の条件を満たしているかどうかにも注目したい

「省エネ性能が必須」など制度が変更

住宅ローン減税とは、住宅ローンを借りて住宅を購入する場合、住宅ローン残高または住宅の取得対価に応じた金額が、一定期間所得税(所得税から控除できなかった分は翌年の住民税)から控除される制度です。ニーズに応じた住宅を確保しやすくなるように、費用負担の軽減を目的として設けられました

住宅ローン減税を受けるためには、購入住宅が以下の要件を満たしている必要があります。

【図表1】住宅ローン減税を受けるための主な要件
  • ①自らが居住するための住宅
  • ②床面積が50平方メートル以上
  • ③合計所得金額が2,000万円以下
  • ④住宅ローンの借入期間が10年以上
  • ⑤引き渡し又は工事完了から6カ月以内に入居
  • ⑥昭和57年以降に建築又は現行の耐震基準に適合など

出所:国土交通省「住宅ローン減税」を基に筆者作成

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これに加えて、新築・買取再販か中古(既存)かによって、必要な住宅の環境性能や借入限度額、控除を受けられる期間が異なります。2024年1月からは、新築・買取再販物件で住宅ローン減税を受ける場合に必要な環境性能の条件が変更になりました。2024年1月以降に建築確認を受けた物件で住宅ローン減税を受ける場合、原則として一定の省エネ基準を満たしている必要があります。また、借入限度額も引き下げられています。

【図表2】2024年・2025年入居の場合の住宅ローン減税の条件
新築/既存等 住宅の環境性能等 借入限度額 控除率 控除期間
新築住宅
買取再販
長期優良住宅・低炭素住宅
(認定住宅)
4,500万円 0.70% 13年間
ZEH水準省エネ住宅 3,500万円
省エネ基準適合住宅 3,000万円
その他の住宅
(省エネ基準を満たさない住宅)
0円
既存住宅 長期優良住宅・低炭素住宅
ZEH水準省エネ住宅
省エネ基準適合住宅
3,000万円 10年間
その他の住宅 2,000万円

出所:国土交通省「住宅ローン減税」を基に筆者作成

こうした省エネ基準を満たしていると証明できる建設住宅性能評価書、または住宅省エネルギー性能証明書を準備の上で、入居翌年に確定申告を行うと、減税を受けることができます。なお、会社勤めの方の場合、一度確定申告を行えば以降は年末調整のみで手続きを完了できます。

子育て世帯・若者夫婦世帯には条件の緩和措置が実施

2023年12月に閣議決定された「令和6年度税制改正の大綱」により、子育て世帯や若者夫婦世帯は、住宅ローン減税の条件が緩和されています。子育て世帯は、子どもを扶養するのに適した安全性や快適性、駅近などの利便性を重視した住宅選びが必要となるため、子育て支援の一環として講じられた措置となります。

18歳以下の子どもを扶養しているか、自身または配偶者の年齢が39歳以下の場合、借入限度額と床面積要件が以下のように緩和されます。なお、控除率や控除期間に変更はありません。

【図表3】子育て世帯・若者夫婦世帯の場合の要件
新築/既存等 住宅の環境性能等 借入限度額
新築住宅
買取再販
長期優良住宅・低炭素住宅 5,000万円
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円
省エネ基準適合住宅 4,000万円

床面積要件:合計所得金額1,000万円以下の場合に限り40平方メートル以上 
出所:国土交通省「住宅ローン減税」を基に筆者作成

トラリピインタビュー

住宅購入時には立地や間取りだけでなく性能にも注目を

住宅ローン減税で受けられる控除は、住宅購入での費用負担を軽減するため、ぜひ利用したいという人も多いでしょう。しかし一方で、上記のように制度利用には様々な条件を満たしている必要があります。

住宅の購入というと立地や間取りなどに注目することも多いと思いますが、環境性能が住宅ローン減税の条件を満たしているかどうかにも注目してみてくださいね。

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