エネルギーの国際価格が急騰したことへの緊急対応として行われていた「電気・ガス価格激変緩和対策」は、2024年5月使用分で終了しました。これから本格的な夏に入り、暑さが厳しくなる中で光熱費が家計を圧迫する懸念もあります。そうした中で、政府は「酷暑乗り切り緊急支援」の開始を発表しました。詳しい内容をみていきましょう。

  • 酷暑乗り切り緊急支援では8~9月分の電気・ガス使用量に応じた値引きが行われる
  • 2023年の使用量と同程度なら、3カ月で3,000円程度値引きを期待できそう
  • 9月も酷暑が予想される中、熱中症対策のためにもエアコンを積極的に活用したい

8月使用分から適用「酷暑乗り切り緊急支援」とは?

酷暑乗り切り緊急支援では、8月~9月分の電気・ガス使用量に応じた値引きが行われます。
自動的に月々の料金から使用料に応じた値引きが適用されるため、値引きにあたって書類の提出などの申請手続きは不要です。ガスの場合は対象となるのが都市ガスのため、LPガス(プロパンガス)は支援対象外となります。

なお、電気・ガス会社の検針日が異なる場合がありますので、「8月使用分」の対象期間が8月1日~31日とは限りません。その点はご利用の電気・都市ガス会社のウェブサイトなどで確認してみると良いでしょう。

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5月まで行われていた電気・ガス価格激変緩和対策と比べると、値引き額はやや大きくなっています。比較すると以下の通りです。

【図表1】酷暑乗り切り緊急支援の値引き額
酷暑乗り切り緊急支援 電気 都市ガス
2024年8・9月使用分 低圧:4.0円/kWh
高圧:2.0円/kWh
17.5円/㎡※
2024年10月使用分 低圧:2.5円/kWh
高圧:1.3円/kWh
10円/㎡※
(参考)
電気・ガス激変緩和対策
電気 都市ガス
2024年4月使用分 低圧:3.5円/kWh
高圧:1.8円/kWh
15円/㎡※
2024年5月使用分 低圧:1.8円/kWh
高圧:0.9円/kWh
7.5円/㎡※

※家庭及び年間契約量1,000万㎥未満の企業等が対象
出所:経済産業省エネルギー庁「電気・ガス料金支援」

実際の値引き額は? 単身世帯の値引き額をシミュレーション!

では、実際の値引き額はどれくらいになるのでしょうか。例えば単身世帯である筆者の場合、昨年8月~10月分の電気・ガス使用量を参考に算出した結果が以下となります。

【図表2】2023年の使用量を基に算出した値引き額イメージ

<電気>

8月の電気使用量:316kWh 請求額:8,623円…値引き額:1,264円

9月の電気使用量:262kWh 請求額:6,846円…値引き額:1,048円

10月の電気使用量:132kWh 請求額:3,889円…値引き額:528円

⇒値引き額合計:2,840円

<ガス>

8月のガス使用量:7㎡ 請求額:1,808円…値引き額:122.5円

9月のガス使用量:7㎡ 請求額:1,768円…値引き額:122.5円

10月のガス使用量:10㎡ 請求額:2,336円…値引き額:100円

⇒値引き額合計:345円

※あくまで筆者の2023年の使用量・請求額を基にした金額のため、実際の金額とは異なる場合があります。

2023年の使用量と同程度の利用状況であると仮定した場合、3カ月でおよそ3,000円程度値引きを受けられそうです。自力でこれだけの金額を削減しようとした場合、エアコンの温度設定などいろいろな工夫が必要となるため、手続きなどなしでこの金額が節約できるのは、お得感がありそうです。

電気・ガスそれぞれの値引き額の確認は、経済産業省の特設サイトで算出できますので、気になる方はこれまでの検針票などを参考に算出してみてください。

トラリピインタビュー

➔経済産業省エネルギー庁「電気・ガス料金支援」

最近は9月の最高気温も30℃を超える傾向に

暑さのピークを迎える7月の使用分が対象とならないのは気になるところですが、気象庁のデータによると近年は9月の最高気温の平均も30℃を超えるなど、厳しい残暑が続く傾向にあります。

エアコンを使う
今年も厳しい残暑が予想される。エアコンの使用は欠かせない

熱中症で救急搬送される人も一定数おり、昨年は9,000人を超える人が熱中症で救急搬送されています。9月の使用分も酷暑乗り切り緊急支援対象となっていますので、遠慮なくエアコンを使いやすくなり、健康上のリスクを下げることも期待できそうです。

また、親御さんが高齢で、「電気代が高いから」とエアコンをつけたがらない場合などには、電気代が値引きされることを理由にすれば、説得もしやすくなるかもしれませんね。
厳しい暑さを健康に乗り切るためにも、支援を頼ってエアコンなどをしっかり活用していきましょう。

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