700人以上所属する日本放送作家協会(放作協)がお送りする豪華リレーエッセイ。テレビ、ラジオ、動画配信も含めて様々なコンテンツの台本や脚本を執筆する放送作家&脚本家、そして彼らと関わる様々な業界人たち・・・と書き手のバトンは次々に連なっていきます。ヒット番組やバズるコンテツを産み出すのは、売れっ子から業界の裏を知り尽くす重鎮、そして目覚ましい活躍をみせる若手まで顔ぶれも多彩。この受難の時代に力強く生き抜くユニークかつリアルな処世術はきっと皆様の参考になるはず!
連載第183回は、沖縄を拠点に活躍する伊藤麻由子さん。

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沖縄ぁ~???

伊藤麻由子さん
伊藤麻由子
放送作家、ルポライター、フォトグラファー

「なんで沖縄に行くやねん」
心の底から不思議でたまらない、といわんばかりの表情をしたアッコさんの顔が、今でもわすれられない。
22年前の出来事だ。

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当時、私はニッポン放送で「アッコのいいかげんに1000回」のひとつのコーナーを担当していた。スタッフが男性ばかりということもあり、番組内で私ができるアッコさんアシストは作家稼業以外にもいろいろあって、もしかすると原稿書きより一生懸命だったかもしれない。
それゆえアッコさんも気にかけてくださることが多々あってありがたい限りだったが、私の沖縄行きだけは理解できない!という感じだった。

それでも沖縄に移住すると伝えたのだ。
30歳後半だったこともあって、私にとっては40代の人生を考えるための移住。生放送だったアッコさんの番組は降りざるを得なかったが、放送作家の仕事は東京にいくつか残し、隔週で収録スタジオに沖縄から通うというスタイルを選択した。

ちなみに、残りの一週間は45もある沖縄の離島を一つずつ回って取材し、地元の有力企業の広報誌に連載(のちに一冊の本にまとめて出版)。
もう一週は那覇の自宅で過ごしていた。
今思えば、ワーケーションの走りを実践していたわけで、移住を決意したのも、原稿は手書きFAXからメールに、電話も固定から携帯になって、どこにいても取材も原稿書きもできるようになったからだった。

……と、ここでやっとお金の話だが、24年前の東京と沖縄の物価はずいぶんと違っていた。
那覇空港近くのマンションを借りたが、東京にいた頃より広い間取りになり、車も持ち、隔週で東京沖縄間を往復しても、東京と沖縄の家賃の差額でやりくりできたのだった。
さらに東京での滞在は、小さな1DKを大森に借りたが、それでも足りた。
お金の使い方次第でこんなにもライフスタイルを変えられるなんておもしろいなぁ……とつくづく思った移住だった。

「マネーの虎」が沖縄にいた!

人生はご縁でできていると思うが、沖縄に来て一人でも地元の知り合いが多い方がいいんじゃない~といわれて紹介された人がいた。
あの日本テレビの「マネーの虎」、の、「虎」ではなく、その題字を書いた書浪人善隆氏だった。
へぇ~、沖縄の人が書いたとは!と思ってあれこれ話を聞いているうちに、いつしか人生のパートナーとなったのだが、実は大昔、大流行した「海人」Tシャツのデザイナーでもあった。

沖縄在住のアーティストがどうやって番組タイトル揮毫に関わったのかが一番気になったのだが、なんでも番組プロデューサーがプライベートで沖縄に遊びに来たときに、「海人」Tシャツやさんに立ち寄ったそうだ。

沖縄のイメージ
22年前に沖縄に移住した伊藤さん。いまでいうところの「ワーケーション」の走りを実践していた (写真提供:伊藤麻由子)

彼はその時、デザイナー兼店長をしており、そこでいろいろ話をしているうちに、プロデューサーは彼を気に入ったらしい。
そして、企画書見せながら「書いてみない?」と声かけたという。
その時の彼は海人Tシャツの会社員だったので、残念ながら会社の仕事になり、個人的なギャラはもらえなかったが、それが、あの番組だったとは。
彼にとってはひとつの転機。
ギャラ以上のご縁をもらったのだった。

かつての虎たちは今でも健在で、現代も現代なりの動きを続けている。
「令和の虎」としてYouTubeでガンガンやっている虎もいるし、海外展開している虎もいる。
そうそう、新事業のために「令和の猫」というタイトルを書いて欲しいと依頼をいただいた虎もいる。

書浪人善隆が私のパートナーになったこともあり、今、私は彼のマネジメントもしている。そんな彼とのご縁も含め、これまでを振り返ってみると「動いてナンボ」というのが、私の人生とマネーの基本軸ということができる。
今年の春から娘が湘南の大学に進学したこともあって、今度は、沖縄から東京に逆ワーケーションも始めた。
まだまだ私の「動いてナンボ」は続く。

次回も伊藤麻由子さんが、沖縄の暮らしとマネー事情について書きます。
お楽しみに!

ぜひ、お越しください!

■書浪人善隆の書アート体験のご案内

自分と向き合う時間になること間違いなし。
企業研修として、社員の自分開発・柔軟な発想のトレーニングとしても人気。

日時:9月15日(日)、10月20日(日)14時~ 
場所:キッズフォレ(横浜市都筑区中川中央1-20-15)
ご予約は下記メールアドレスで受付中です
m-itoh@mrj.biglobe.ne.jp

書浪人善隆書アート告知

ぜひ、読んでください!

■『おいしい沖縄』(河出書房新社)

テレビ朝日の「料理バンザイ!」を始めとする料理番組を多数手がけていたこともあり、沖縄に移住後は食にまつわるエッセイやルポを書く。その中の私のエッセイを大先輩方と一緒に掲載いただいた、作家冥利に尽きる一冊。

■『沖縄ターザンの冒険ずかん 生き抜く力を身につけよう』(幻冬舎)

2024年4月に発売になった最新本。『世界の果てまでイッテQ!(日本テレビ系列)』でお茶の間の人気者になった沖縄ターザン・キジーの「生き抜く知恵」をまとめた一冊。

一般社団法人 日本放送作家協会
放送作家の地位向上を目指し、昭和34年(1959)に創立された文化団体。初代会長は久保田万太郎、初代理事長は内村直也。毎年NHKと共催で新人コンクール「創作テレビドラマ大賞」「創作ラジオドラマ大賞」で未来を担う若手を発掘。作家養成スクール「市川森一・藤本義一記念 東京作家大学」、宮崎県美郷町主催の「西の正倉院 みさと文学賞」、国際会議「アジアドラマカンファレンス」、脚本の保存「日本脚本アーカイブズ」などさまざまな事業の運営を担う。

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