「預金なら安心」って本当なの? 「元本保証」って、実際に何を保障してくれるの? 実は、現金にもリスクが潜んでいるのです。本連載ではそんな「現金のリスク」を切り口に、お金のほんとうの価値を守るための資産運用について考えていきます。今回のテーマも前回に引き続きREIT(不動産投資信託)。今回は株式にはないREITの魅力のひとつ、「内覧できる」点に注目します。
- REITは投資している物件の中身を内覧できる場合もある
- 投資するREITを絞るには、まず目的ごとに分類する
- 目的を絞ったあとに、ホームページなどで物件の内容を確認
皆さん、こんにちは! 酷暑が続きますね。体温と変わらない気温が続いています。このまま温暖化が進むと、どうなってしまうのでしょうか? そして高いのは気温だけでなく物価も、です。この物価高に抗うための投資でもあります……。
今回も、REITの続きです。
REITは株式投資と違って内覧できる?
REITはreal estate investment trustの略です。「real estate」、つまり現物資産です。
REITの最大の特徴は実在する資産に投資すること、とも言えるでしょう。株式投資も、もちろん実在する企業への投資です。しかし企業は「実物」と言えるでしょうか? 企業が保有するビルやホームページを指し示すことができたとしても、企業それ自体を指し示すことはできません。
一方で、REITは先述のとおり実物資産です。指し示すだけに留まらず、実際に建物の利用の状況を見る(内覧する)ことができるものもあります。
例えば「事務所REIT」や「住宅REIT」、「商業施設REIT」などです。

東京都心に建つオフィスビルの中にも、REITが保有する物件がある
もっとも「事務所」や「住宅」などの場合には、入居者にでもならない限り、内覧することは難しいでしょう……。以前、筆者がクライアントのお宅にお邪魔したときは、偶然にも「住宅REIT」の物件でした。しかも、そのREITのホームページを見た3日後の訪問でした。
「事務所REIT」も、オフィスの中まで踏み入れることができないまでも、1階のエントランスや共用部分は観ることができますね。筆者も過去に、やはりクライアントのオフィスがREIT物件だった、ということがありました。
「商業施設REIT」でしたら、物件が「〇〇モール」だったりしますので、堂々と中に入ることができますね。また「ホテルREIT」なら、もちろん泊まることもできます。多くの方が憧れる「あのホテル」も実はREITだったりします。
株式投資でしたら、企業などが公表する「数字」を観て会社を知り、投資の可否を判断することになるでしょう。もちろん、企業によっては投資家向けにIR動画や説明会を開催している場合もあります。
しかしREITは物件を訪問したり、直接、観ることが可能です。また、直接は足を運ぶことが出来ないとしても、物件の中を撮影した動画を公開しているREITもあります。皆さんも、今のお住いを購入もしくは借りるときに、物件の内覧を行ったのではないでしょうか?
制約を伴いますが、REITも物件の中を観ることができる場合もありますし、叶わぬまでも動画などを視聴することができます。
さて、どうやってREITを選ぶ?
ではREITの内覧ですけれども、どうしたら良いのでしょうか? 立ち入ることができる物件には限りがあります。ですから、片っ端からREIT物件を観て廻るのもありかもしれません。しかし、そもそも地理的に難しい方もいらっしゃるでしょうし、立ち入ることができない、中を見ることができない物件を投資対象の候補から外してしまって良いのか、という課題が生じてきます。
REITを目的ごとに絞ってみてはいかがでしょうか?
REITの絞り方の一つとして「目的(=建物の用途)」に分ける、という方法があろうかと思います。
目的(用途) | 数 | |
---|---|---|
特化型 | 事務所 | 8 |
住宅 | 5 | |
商業施設 | 2 | |
ホテル | 5 | |
物流施設 | 8 | |
ヘルスケア | 1 | |
複合型 | 2つ以上の目的 | 5 |
総合型 | 3つ以上の目的 | 24 |
インフラ | インフラ | 5 |
※2025年8月18日時点
表はREITを目的別に分け、その数を表示したものです。まずは目的別にREITを絞り、その中から投資の対象を選ぶのです。
まとめに代えて
投資対象となる目的を絞ったら、ぜひREITを検索し、ホームページにアクセスして動画を観てみましょう(動画があれば、です)。やはり実物資産の内覧の動画は観ているだけでもワクワクするものですし、楽しいですよ。