「預金なら安心」って本当なの? 「元本保証」って、実際に何を保障してくれるの? 実は、現金にもリスクが潜んでいるのです。本連載ではそんな「現金のリスク」を切り口に、お金のほんとうの価値を守るための資産運用について考えていきます。今回は「50歳以上の方のためのやさしいNISA」を一度お休みして、先日の解散総選挙でも大きな話題となった、「食品の消費税をゼロにする」ことの影響について考えます。
- 消費税には軽減税率があり、外食を除く食品は8%の税率が適用されている
- 食品の消費税をゼロにしても、パッケージや電気代などの消費税は価格に反映される
- 消費税の減税でも家計支出が大きく変わらないのであれば、やはり投資は必要
先月の選挙は驚きの連続でした。その最たるものは政党ごとの議席の獲得数でしょうか?
筆者にとって最も印象深かったのは、一つの政党を除いて、多くの政党が「消費税減税」を主張していたことでした。今でも、みりんを含むアルコール類の商品や、いわゆる外食を除いた食品類は「軽減税率」が適用されています。それが軽減どころか、ゼロにしてしまおうというのですから……。果たして、うまくいくのでしょうか?
そもそも食料品にかかる軽減税率とは?
ここで消費税の軽減税率について、簡単におさらいしましょう。
現行の消費税率が10%の標準税率と8%の軽減税率に分かれているのは、ご存知の通りです。次いで8%の内訳です。軽減税率の8パーセントのうち、国に納める消費税率は6.24%、残りは地方自治体等に納める地方消費税率1.76%となっています。
つまり、食品に掛かる消費税率をゼロにしてしまうと、地方にも影響がある、ということなのですね。
なお、軽減税率が適用されるのは食品の他に、新聞購読(要件あり)なども対象になっています。
突然ですが、人が命を保つために絶対に欠かすことができないのが「水」ですね。では、水の消費税率は何パーセントでしょうか?……はい、命を保つために、またご飯を炊くことも含め料理にはもちろん、またお茶やコーヒーなどを飲むためにも水は、当然、必要ですね……。
「水」にかかる消費税は、当然、軽減税率の8%なのでしょうか?
答えは2通りあります。まず一つ目は、コンビニやスーパーマーケットなどで「飲料」として販売されている「水」は、はい、ご指摘の通り軽減税率8%です。
ですが、ペットボトルに入った水を使って、ご飯を炊いたり料理をしたりという方、どのくらいいらっしゃるのでしょう? ペットボトル入りの水は、その用途は「飲料」に限られると思います。ですから軽減税率です。
もう一つは、蛇口をひねる(もしくはレバーを操作する)と出てくる、あの「水」、こちらは消費税率10%の標準税率です。
いわゆる蛇口の水をそのまま飲む方も、温めて白湯にして飲まれる方も、料理に使われる方も、それぞれいらっしゃるでしょう。また飲むだけでなく、お手洗いや洗濯、それに入浴などにも蛇口の水は使われますから、ペットボトル入りの水に比べて、その用途はかなり広いことが、あらためて確認できます。ですから、蛇口の水は軽減税率ではないのです。
消費税の軽減税率と標準税率、つまり8%の消費税と10%の消費税、その差は2%ですから、意識することはあまりなかったかもしれません。それが「ペットボトル入りの水」の消費税はゼロ、「蛇口の水」は10%ですから……いろいろと考えることが出てくるかもしれませんね。

同じ「水」でもペットボトルに入った水は軽減税率、蛇口から出る水(水道代)は標準税率
食品にかかる消費税は本当にゼロになるのか?
食品にかかる消費税が現状のままなのか、いくらかでも下がるのか、現状のままなのか。また期間限定なのか、恒久的なのか、いずれも定かではありません。
一つだけハッキリしているのは、2年後の2028年には参議院議員選挙がある、ということだけです。少なくとも、この時期までにはなにがしかの結論が出ている可能性が高いと、筆者は踏んでいます。
食品にかかる消費税がゼロになれば、投資はいらない?
では仮に、期間が限定なのか恒久的なのかは別にして、食品にかかる消費税の税率がゼロになったとしましょう。投資は不要になるのでしょうか?
少なくとも、1日3食×365日、食べるわけですから、フルに自炊の生活ですと、そのパフォーマンスは大きいかもしれません。何せ、食費を8%減らすことができますからね。預金金利・国債金利・配当利回り、いずれも8%もパフォーマンスはありませんからね。
では消費税がゼロになったとして、食品にかかる支出を本当に8%減らすこと、つまり8%のパフォーマンスを得ることができるのでしょうか?
皆さん、病院やクリニックを受診された時の領収書って、熟読なさったことはございますか? 健康保険で治療を受けた場合には、治療費の自己負担には消費税はゼロですね。ですが、病院やクリニックの領収書をよくご覧ください。
『厚生労働省が定める診療報酬や薬価等には、医療機関等が仕入れ時に負担する消費税が反映されています』
というコメントが載っています。
食品を販売するお店にも、同じことが言えるのではないでしょうか?
販売するお店が仕入れるのも、やはり食品ですから、仕入れに消費税がかかることはなさそうです。しかし、食品を陳列するお店や什器、電気代、買い物カゴ、パッケージやラップなど……食品を販売するお店が払う消費税は多々あります。
これらにかかる消費税を「反映した販売価格」が設定されることが考えられます。ですので、仮に食品にかかる消費税がゼロになったとしても、食品にかかる支出を8%減らすことができるか……筆者は疑問を感じざるを得ません。
さらに昨今の「賃上げ=人件費の高騰」、「輸入価格の上昇」を踏まえると、食品にかかる消費税がゼロになったとしても、食品にかかる家計支出は「ほとんど変わらない、せいぜい誤差の範囲」だと思っています。
まとめに代えて
選挙を「政治は私たちの暮らしに身近なもの」と言うと、学校で使う教科書のような美しい響きに聞こえます。正確に表現するなら、「私たちの暮らしは政治に振り回されている」というべきではないでしょうか?
そして消費税という税制に変化があったとしても、食品にかかる家計支出が「ほとんど変わらない、せいぜい誤差の範囲」ということですと、やはり投資は必要なのではないでしょうか?
むしろ、消費税がゼロになっても「家計支出がほとんど変わらない」という程度なら、まだラッキーなのかもしれません。
筆者は投資は「生涯、必要なこと」だと思います。
次号から「資産寿命」という考え方についておさらいします。

















